皆さんはどんなサウンドを目指してあるのだろうか?私が現在の「目指すサウンド」を意識し始めたのは40歳を越えた辺りからだと認識しています。
オーディオを始めた40年前は右も左も判らない状態で、とにかく「壊れないシステム」で「大音量再生で低音がドシンと来る」サウンドに酔っていたのを思い出します。当時はちょっと音量を上げるとSPのツィーターが飛んだ話を耳にしましたし、実際に友人のお宅で飛んだ場面にも遭遇しました。
入門時は「低音の迫力」に酔いしれていましたが、LUXMANの管球アンプ(CL35Ⅱ+MB88)を入れてから、「音の厚み」を意識するようになりました。それまで使っていたサンスイAU-9500では「迫力はあるが音が薄っぺらい」事に気づきました。聴いていた曲も、クラシックの交響曲がメインで、「運命」や「新世界」、「悲愴」等の有名な曲をカラヤンのLPの楽しんでいました。
音の厚みを意識しだしたのは20歳ころだと思います。その後ケンソニックのC-200をCL35Ⅱと入れ替え、「SNの良い音」に目覚めます。この頃にはブルックナーやマーラーを聴き始めています。奥行感のある雄大なサウンドを求め始めたように思います。
その後一旦オーディオから足を洗おうと思って、手持ちの機器を全て処分して、シンプルなダイヤトーンP610のシングルコーンSPを自作して、簡単なシステムで楽しんでいました。この頃はBGM的に鳴っていてくれればそれで良かったと思っていましたが、数年後にはタンノイアーデンを購入し、また本格的なシステムへと回帰して行きました。
アーデンとSQ38FDⅡの組み合わせで、クラシック向きに仕上げたつもりでしたが、アンプとSPの相性なのか?ケーブル類には一切構わなかったのが行けなかったのか?全く望むサウンドになってくれませんでした。スキルがなかったのですね。
その後JBL4343を入れ、マッキンC29が入り、MC2500を入れてそれなりの音が出るようになりましたが、ヴォーカルはほとんど全滅状態で、ソプラノの入ったCDを鳴らしたらすぐにCDを取り出す始末。システムが落ち着いてから「自分はどんなサウンドを目指しているのだろうか?」を真剣に考えるようになりました。
45歳くらいまではオーディオ雑誌を穴のあくほどに毎夜眺めていました。雑誌の機器の紹介に翻弄されていたようです。機器の接続ケーブル類の重要性にはほとんど気づいていませんでした。
自分で起業して「音質追求」をひとつのテーマに選び、本業そっちのけでのめり込んでしまいました。その目標は「CDに入っている音を全てSPから出す」事(必ずロスがありますので実際には100%は無理ですが・・・)を目指しました。その過程で「ケーブル」の重要性に気付き、「自分の欲しいケーブル」を目指すことにしました、試行錯誤の末「ルシファー」を作成し、一時の安閑を得ましたが、更なる追求で「ゴールドスター」を作成し現在に至っています。
その過程で、これから自分が目指すサウンドが固まっていきました。「柔らかくしっとりとして、艶やかで耽美なサウンド」。聴く曲もメロディの美しい曲や室内楽、オペラ等にも広がって、これから先、年齢を重ねても使い続けられる様に考えています。
機器類では「一本のケーブルの思想」で、CDPのOUTからSPユニット迄を同じケーブルで接続しています。「情報の伝送ロス」を極端に低減しています。その為プリアンプとパワーアンプの内部配線も苦労してすべて交換しています。Tr型のアンプではまずこれが出来ません。
デバイスとして真空管は非常に優秀だと思います。TRを長年作ってきましたが、TRの伝送はデジタル的にテレポートして行きますが、真空管は「水の流れ」の様に繋がって流れていきます。この電気の流れ方の違いで決定的に「質感」が違います。どちらも長所・短所が有る様に思いますので、使うSPユニットに合わせて選択すれば良いと思っています。現に私もマルチアンプの低域ユニットのドライブにはTR型パワーアンプを使っています。
プリアンプはシステム全体の「音質」や「雰囲気」を変えてしまいます。私の好みはマランツ#7の世界に近いと思います。今回作成した2種のプリアンプは管球の良さを出しながらも現代的なサウンドに仕上げています、周波数レンジ、SN比はハイエンドクラスTR型アンプと遜色はないと思います。プラスして管球の良さ(やわらかさ・艶やかさ・しっとり感)を出しています。機器が揃って初めて求めるサウンドが実感できます。機器の変遷をしているうちは次から次に「目指すサウンド」が変わっていくと思います。