Mr.トレイルのオーディオ回り道

「音質アップ」を目的として、
システム全体の「基礎的項目の見直し」に、
重点を置いて試行錯誤や実験をしています。

一つの帯域を複数のユニットでドライブする「パラレル化」は?

2009年12月17日 | ピュアオーディオ

私のJBL3大ホーンシステムは「ユニットのパラレル化」をしています。低域、中域、高域の3ウェイに分けて、それぞれの帯域を複数のユニットでドライブしています。

B4000amoorish1

この方法は古くからある方法で、例えば35年前に初めて出会ったのはボザーク社の「ムーリッシュ」である。このSPは低域・中域・高域をそれぞれ同じユニットを複数使ったシステムで、「精緻」なサウンドで、奥行き方向に音場が広がるクラシック音楽には素晴らしいサウンドでした。

B4000amoorish2

25年前くらいのマッキントッシュ社のXRT-20や22等も同じ類と言えるでしょう。ツィーターアレイと言われる高域が特徴の「広がりある音場」が特徴で豊かなプレゼンスを聴かせてくれました。このシステムの低域はWウーハーです。

Xrt20

現在でも低域だけにWウーハー仕様が採用されているシステムは多いです。B&Wやウィルソン等も高級機に採用しています。

と云う訳で、私が行っている「ユニットのパラレル化」は珍しい物ではないのです。ただこれまでの考え方とチョッと違った考え方をしています。上述のシステムでは同じユニットを複数使う事をしていますが、私は「違う性質のユニット」を組み合わせるようにしています。

低域について私流の考え方は、38cmユニットでも「軽い低音」と「重い低音」を出すユニットが有ります。40Hz~500Hzくらいの周波数なら20cmクラスでも出せるのです。当然38cmクラスの低音と20cmクラスの低音では「質」や「バランス」、「位相」が違います。10cmのユニットでも同じことが言えます。これらの音を合成すれば「豊かな低音」が得られると考えたのです。そして実際にやってみて間違っていない事を確認しています。但し、実験の過程で「ユニットの材料の違い」で「質感が合わない」場合が出てくる事も確認しました。例えば紙コーンとプラスティックコーンでは質感がうまく整合してくれません。

中・高域は基本的なラインは「コンプレッションドライバー+ホーン」にしています。能率が極端に高いので「基本の音」(オンの音)にし易いのです。また「質感」も最高クラスと思います。これに最初に組み合わせるのは「オフの音」として「リボン型」を組み合わせます。同じリボン型でも「音色」や「位相」が異なりますので、現物合わせで試してみるしか有りません。意外と500Hzから使える物がありません。ドーム型やコーン型のユニットを組み合わせるのも面白いと思っていますが、こちらも現物合わせで試してみるしか有りません。

SPユニットが増えると言う事は「音変換ロスの極小化」に繋がると考えています。一つのユニットで一つの帯域を持たせるのは「コストダウン」の考え方が固定化したものだと思います。本当に良いSP(音変換ロスの極小化されたSPシステム)は音の厚みや前後左右への音の広がりが良い物だと思います。各ユニットの「時間軸のズレ」が音の厚みや質感を良くしてくれます。

SPユニットが増えると言う事は「コストアップ」と「スペースの増大」と「複雑化」する事も併せ持っていますので、トラブルの元が増える事でもあります。