The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

2013 サンプルモン ナチュール ACソーミュール フラノワ・サン・ロ

2017-12-10 10:39:29 | ワイン
カベルネ・フランと言う品種はボルドー右岸の品種構成には欠かせないものだが、果実感が前面に出てくるロワールのフランも嫌いではない。
ソーミュールやシノンなどがそうなのだけれど、今回開けたフランソワ・サン・ロのソーミュールはその果実感に見事な品格が備わっている。

葡萄はビオディナミの大家フィリップ・グルドンのピュイ・ノートル・ダムの3haの畑を継承して作られたものとのこと。
どうやら石灰土壌の優良区画とのことなのだ。





飲んでみて思うのはナチュールを歌っても余計な硫黄やマメは感じない。
それは2日経っても同じで、実にクリーンな果実を味わえるのだ。

ブラックチェリーやカシスリキュールの濃密な香気にあまやかな樽のアクセントがステキだ。
そして果実を支えるタンニンは中庸で、酸味は壮麗で舌をすぼめさせるお仕着せは一切無い。

2012年の設立のドメーヌとのことだが、センスがキラリと光る造り手とみた。
追い求めてみようと思う。

2007 ヌーデ カンパーニャ・アリアニコ IGT カンティーナ・ジャルディーノ

2017-12-07 22:31:46 | ワイン
上の橋の通りのいつものイタリアンでこの心地良いアリアニコを頂いた。
なにしろ超イタリア的なエティケットで、それだけ見れば、どこぞやのスーパータスカンなのかな?と思ったけれど、飲んでみれば南伊のタップリな果実が迫ってくる。





その日は『小槍烏賊のワイン煮込み』を食べながらの、このワインの登場で、その場は一気にテンションあげあげとなったわけ。



ここのカンティーナの当主『アントニオ・グルットラ』は嘗てマストロベラルディーノの醸造担当であったとのことだ。
このワインを飲む限りでは、ワインはマストロベラルディーノの延長戦上にはないけれど、その造りを聞けば納得。
すなわち樹齢80年のアリアニコの自然農法で作られた葡萄を使う。
25日間のマセレーション、バリックで一年、トノーで一年の熟成を行う、そしてもちろんニ酸化硫黄は無添加で造られるとのことなのだ。
タウラージの造られる地域で買い葡萄のアリアニコを使って、それをも凌ぐこんなワインが出来たとさ。
凄いの一言だと思う・・・

2000 マゾワイエール・シャンベルタン ヴィエ・ヴィーニュ アンリ・ペロ・ミノ

2017-12-03 14:59:05 | ワイン
このスタイルは好きではない!と、そのドメーヌを見限ることで失敗することは間々あることだよね。
それはその嫌いなスタイルが、熟成によって予想もしない見事なメタモルフォーゼを遂げていたり、そのドメーヌの代替わりによって全く違ったスタイルになるということが起りうるからなんだよね。

このワインは17年の年月を経て、まずは熟成が期待できて、なおかつこのドメーヌは1993年には当主がアンリからクリストフに代替わっているとのことだ。
そうするとこの2000年物は熟成は充分で、最初のスタイルは徐々に変わりつつある胸突き八丁のところにもあるわけだ。



実際最初の当主アンリの造り、すなわち凝縮性を重んじるあまり、繊細さやエレガンスに欠けたスタイル(当時は当方そのように感じていた)は、2000年から数年経過して、やっと今のクリストフの造りに変わってきたように思える。

そんな中での『2000 マゾワイエール』なのだが、当時感じた野暮ったいカリピノ傾倒のイメージは微塵もない。
これは熟成によるものと思われるけれど、テロワールの個性を投影した、実に調和のとれた、クラシックなブルゴーニュの王道と言っても過言ではないワインにメタモしていたのだ。
その当時『シャルム』を名乗れる『マゾワイエール』を、あえて『マゾワイエール』と名乗る理由は何か?とも思ってけれど、その理由は熟成されたこのワインを飲んで今分った。
それはこの『マゾワイエール』のソヴァージュな佇まいと味わいの引き出しの多様性なのだと思う。
『シャルム』は端正にまとまって、幾分大人しく正統派なワインだけれど、『マゾワイエール』の味わいはさながらカレイドスコープのように展開する。
当時の当主はそのことを見逃さなかったということなのだろう。

ともかくパパジイ忘年会に持って来た珈琲店主氏に拍手を送る。
それは好きではなかったドメーヌのワインが、17年経った後の予想だにしない晴れ姿を、危うく見逃してしまう所だったからだ。

それだけにこんな感じの緩い持ち寄りは欠かせない、そう思う今日この頃ではある。