土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

吉田寺。端正、秀麗、賛辞あふれる阿弥陀さんがいます。

2018年04月05日 | 奈良の古寺巡り





(2018.04.01訪問) 


中宮寺を辞して次は吉田寺に向かいます。法隆寺の工事中の中門へ一言ごアイサツをしてそのまま松の参道を25号線へ。
相変わらず25号線はクルマで一杯、皆さんどこへ行くんでしょうネ。西へ走り龍田神社の信号を左折、ものの10分余りで吉田寺の
駐車場に到着です。このお寺吉田寺と云うより「ぽっくり寺」と云った方がとおりがいいでしょう。ココの本尊阿弥陀さんは腰下の
病に功徳があり、年輩の方々の信仰を集めていると聞きます。今のところボクは問題ありませんが、しかしなんと云っても歳が歳で
すので、阿弥陀さんとジックリお会いするつもりでやって参りました。





▼オシャレな参道ですネ。







[ 吉田寺 ]
●山号 清水山(しみずさん)
●寺号 吉田寺 (きちでんじ) 愛称 ぽっくり寺
●開基 伝恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)
●開創 伝永延元年 (987年)
●宗派 浄土宗 (じょうどしゅう)
●本尊 阿弥陀如来坐像
▲拝観料 300円 朱印300円 駐車場 無料
▲時間 9:00~16:00
▲奈良県生駒郡斑鳩町小吉田1-1-23 Tel.0745-74-2651
▲http://kichidenji.com/

▲JR大和路線 大和路快速乗車「王寺駅」下車タクシー約15分
 JR関西本線「法隆寺駅」または「王寺駅」下車タクシー約15分





▼門前の桜と椿が迎えてくれました。








吉田寺縁起 (吉田寺HPから抄出)
吉田寺の創建は古く、天智天皇の勅願によると伝えられ、本堂西側には妹君、間人内親王の御陵と伝えられる清水の古墳がある。
その後平安時代末期の永延元年(987年)に恵心僧都源信が開基された。浄土教の先駆者として知られる恵心僧都源信はお念仏の御
教えを早くから世に広められ、その著書の「往生要集」では、お念仏による衆生救済の功徳を理論付けられた。浄土宗の法然上人や
浄土真宗の親鸞上人にも多大な影響を与えられた。





▼簡素な山門には山号清水山の扁額が。







▼短い参道を行きますとスグ境内、左本堂と右多宝塔です。







▼本堂です。本尊阿弥陀如来坐像。桁裄5間、梁間5間、入母屋造、本瓦葺、1間向拝付。安政6年 (1859年) 再建。







▼お寺の春今盛りなり。







▼本堂前面。中央1間は折り戸付障子戸、左右2間づつは格子蔀戸。







▼本堂扁額。山号でもなし寺号でもなし、さてなんと読むのだろう。







▼本堂外陣から内陣須弥壇の様子。中央奥黄金に輝くのが本尊阿弥陀さん。                













▼端正を絵に描いたような本尊阿弥陀如来坐像(重文)。奈良県下最大の阿弥陀像、像高226cm。
 開基源信僧都が境内栗の樹から彫ったとの伝承があるが仏師は不詳。実際は平安後期の作。







▼本堂。







▼鐘楼。木製袴腰、切妻造、本瓦葺、安政3年 (1774年) 建立。鴟尾に注目、唐招提寺式鴟尾が乗っかってます。







▼鐘楼扁額。ミョウなんとかロウ、このお寺の扁額は難しい。







▼鐘楼袴の下に鬼瓦。







▼多宝塔 (重文)。本尊大日如来像。方3間、重層、本瓦葺、塔高約12m。寛正4年 (1463年) 建立。      



















▼上層の組み物。







▼大きさにもほどがあるスズメ蜂の巣。選りに選ってなんでこんなところに。
 重要文化財保護の観点から取らないようにという町からのお達しらしいですヨ。







            ▼多宝塔相輪。







▼さくらばな 散ってドコ曳く 花筏。







▼偉丈夫僧侶が書いてくれた優しいご朱印です。







本堂奥に端坐する本尊阿弥陀如来坐像は小さな境内全体を光り輝かせています。およそ800年前の作とはとても思えない美しく端正
な像形は如来仏のスタンダードたる資格を持つに相応しい丈六像です。正確な造像年代も仏師名も不詳のこの阿弥陀さん、吉田寺と
云う小さなお寺で営々と残し伝えてきた寺方の努力は並大抵ではなかったでしょう。吉田寺を隠れ寺とは申しませんが、こんな小さ
なお寺でこんな宝物が、奈良のお寺の奥深さを改めて感じた吉田寺でした。

吉田寺オシマイ。





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中宮寺尼門跡。謎の微笑は、はたして誰か?

2018年04月03日 | 奈良の古寺巡り





(2018.04.01訪問) 


寺伝では如意輪観音といい、史学的には弥勒菩薩と云われる中宮寺の謎の微笑み仏。今日の大和路号はこの謎の微笑みに会いに取り
敢えず法隆寺を目指しています。我が家からはR163を東に、そしてR168を南下、竜田川沿いはもうすでに桜吹雪が舞っています。
法隆寺は相変わらずの賑わい、しかし中門は今覆いテントで隠され修復工事中。にもかかわらずドンドン人波は西院伽藍へ吸い込ま
れて行ってます。その法隆寺はパスして中宮寺への細道を行きますとこちらはだんだん人影は減ってゆくのです。





            ▼そこが受付ですよと指案内。
             法隆寺東院伽藍の舎利殿北側に中宮寺の山門があります。







            [ 中宮寺 ]
            ●山号 法興山(ほうこうざん)
            ●寺号 中宮寺 (ちゅうぐうじ)
            ●開基 伝聖徳太子(しょうとくたいし)
            ●開創 7世紀前半
            ●宗派 聖徳宗
            ●本尊 如意輪観音菩薩半跏像
            ▲拝観料 600円 朱印300円 駐車料500円
            ▲時間 10/1~3/20: 9時~16時(受付~15時45分)
                3/21~9/30: 9時~16時30分(受付~16時15分
            ▲西国三十三カ所観音霊場第二十番札所
            ▲奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2 Tel.0745-75-2106
            ▲http://www.chuguji.jp

            ▲JR「法隆寺駅」から法隆寺門前行きバス終点下車徒歩8分
             近鉄「筒井駅」から王寺駅行きバス「中宮寺前」下車徒歩5分





▼門前の広場。写真右下影が法隆寺舎利殿の影です。







中宮寺縁起 (中宮寺HPから抄出)
中宮寺は聖徳太子の御母穴穂部間人皇后の御願によって、西の法隆寺と対照的な位置に創建された寺であります。その旧地を発掘調
査しましたところ、南に塔、北に金堂を配した四天王寺式配置伽藍であったことが確認され、それは丁度法隆寺旧地若草伽藍が四天
王式であるのに応ずるものといえましょう。その出土瓦から、法隆寺は僧寺、中宮寺は尼寺として初めから計画されたものと思われ
ます。国宝菩薩半跏像、寺伝では如意輪観音像は金堂の本尊であり、天寿国曼荼羅は、その講堂本尊薬師如来像の背面に奉安された
ものと伝えております。依然大和三門跡尼寺の随一としてその伝統を伝えております。飛鳥時代このかた千三百年の長きに亘り、尼
寺の法燈を続けておるのは日本広しと言えども実に中宮寺だけであります。





▼山門。







▼ココからは入山出来ません。







▼山門扁額、山号法興山と記されています。不思議なことにこの扁額は内向けに掛けられているんです。







▼表御殿の大玄関。







▼表御殿。女性の皇族宮家をお迎えするために造営された住居です。
 木造書院造平屋建、入母屋造、本瓦葺。現在の建物は江戸時代後期の建築です。







▼お寺が植栽で迷った時、困った時は蘇鉄が一番と聞いたことがあります。ココはどうか知りませんが。







            ▼ユニーク灯籠。







▼でわでわ国宝仏に会いに行きましょう。左の建物が本堂です。







▼参道脇には山吹と桜の競演。







▼これが本堂。昭和43年5月再建。堂内に飛鳥時代造像の本尊菩薩半跏像が安置されています。







▼幾何的文様の空堀と山吹に囲まれた土手。







▼本堂正面。堂々とした本堂ですが、尼寺のお堂としてはいささか違和感が。







            ▼遠慮がちな扁額。







▼本堂内陣の須弥壇。中央が超有名、皆様よくご存知の本尊菩薩半跏像。
 堂内撮影は不可のため、堂外からロングで撮りましたがピンがダメですネ。







            ▼ずいぶん以前に描いたペン画本尊です。







            ▼正真正銘の本尊(国宝)。
             像高87.9cm、総高132cm、楠寄木造り、鍍金、仏師不祥、造像年不祥(7世紀後半か)。



            (写真はネットからもらってきました)

中宮寺の熱い想い。(中宮寺HPから抄出)
本尊は、飛鳥時代の彫刻の最高傑作であると同時に、わが国美術史上、欠かすことの出来ない地位を占める作品であります。顔の優
しさを評して、数少い「古典的微笑(アルカイックスマイル)」の典型として高く評価され、エジプトのスフィンクス、ヴィンチのモナ
リザと並んで「世界の三つの微笑像」とも呼ばれております。半跏の姿勢で指先きをほのかに頬に触れんばかりの優美な造形は、人
間の救いをいかにせんと思惟されるにふさわしい清純な気品をたたえています。伝統千三百余年の中宮寺のこの像は、永遠に私たち
を見守ってくださるでしょう。





▼本堂。







▼ご朱印。







時代を超えた不朽の名作は相変わらず深い瞑想の最中 (さなかと読んでください)。この表情が世界三大アルカイックスマイルと呼ば
れる微笑みの極致と云われて久しいですが、ボクなどは全体造形の素晴らしさの方に想いはゆきます。思索の一瞬を捉えた右手の表
情や、右足を組み裳掛けの流れが幾重にも重なり落ち、左足の指先が上に反り気味なところなど静の中に一種の動きのリズムが感じ
られ、造形のバランスなど最高の作ではないでしょうか。この像が彩色され完成しお披露目した当時の衆生の評価や驚きはどんな感
じだったのか非常に興味があります。コレだけの像を彫り上げる仏師の力量は並ではないでしょう。謎の微笑みと同時に仏師も謎、
いつ造られたかも謎、謎だらけのこの菩薩、せめてこの方、如意輪さんか弥勒さんかさぁどちら、仏師に聞きたいですネ。
中宮寺オシマイ。





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