土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

蓮花寺、友禅作家が描いた天井画、一見の価値。

2017年08月07日 | 兵庫の古寺巡り






(2017.08.05訪問)


新大和路号は久々に三田にやってまいりました。高速から県道を走り、徐々に山懐に入って行く、夏の日差しと緑の清涼感、新大和
路号は機嫌良〜く走っています。播磨には伝説の人、法道仙人の名がよく出てきます。ここ蓮花寺もご多分にもれず法道仙人の開基
と伝えるお寺で、この方播磨から東方面での開基のお寺は100カ寺を越えるそう。播磨に根をおろした播磨のエース法道さん、さす
があっこっちと飛び回っていたようですが、このお寺、伝承としての法道さんの名は生きているそうですが、その名残を感じること
はありませんでした。





▼仁王門。重層楼門、三間一戸、草葦葺、八脚門。豊臣秀頼寄進。
 重層楼門と云ってはなにか仰々しい重厚な感じの響きですが、この楼門はこの地に相応しい質素でいくらか田舎っぽい感じの建築
 様式。おそらくこの地に一番相応しい様式で建てられたものと思い、境内に入る楽しみが膨らみます。

 

なんで入り口にクルマを置くんでしょうネ、駐車場ではないんです。





            [ 蓮花寺 ]
            ●山号 深谷山 (しんこくざん)
            ●寺号 蓮花寺 (れんげじ)
            ●宗派 真言宗大覚寺派 (しんごんしゅうだいかくじは)
            ●創建 大化年間 (645~650年)
            ●開基 法道仙人 (ほうどうせんにん)
            ●本尊 釈迦如来坐像
            ▲兵庫県三田市下槻瀬678 電話 079-569-0049
            ▲拝観料 境内自由 ご朱印300円
            ▲時間 8:00~17:00
            ▲http://rengeji.net
            ▲JR神戸「三田駅」下車、小柿・波豆川・龍坊行きバス20分 「木器」下車徒歩5分
             中国自動車道「西宮北IC」からR176を三輪で右折、県道37を北へ約8km





            ▼仁王門前に建つ寺号石碑。







蓮花寺縁起 (蓮花寺HPから抄出)
法道仙人開創の霊地として知られ、孝徳天皇の御代、今からおよそ1300年前に多田源氏の帰依を受けることに隆盛し、歴史的にも重
要な文化財を保有する古刹として今に伝わります。本尊の阿弥陀如来、観音菩薩、地蔵菩薩の三体は県の重要文化財に指定されてお
ります。山門も県の重要文化財に指定されており、豊臣家の寄進によるもので、織豊時代の荒木村重の乱に一度焼失したものを豊臣
秀頼が再建したと伝えられています。山の中腹の樹間には高さ20メートルの多宝塔がそびえ、そのむかし、七堂伽藍を備えた巨刹で
あったことがうかがえます。





▼仁王門。







▼仁王門扁額。じーっと見ると深谷山、山号が書かれています。

      





▼左右奥の間に仁王さんがいます。







▼向って右、阿形仁王さん。像高233cm、寄木造。
 お顔から上半身にかけて、墨かススか油類をかけられています。寺社に悪さをする例のアホの仕業か、非常にお気の毒な酷いこと
 になってます。見るに堪えません。







▼向って左、吽形仁王さん。像高237cm、寄木造。







▼参道上がってゆくと左に十三仏堂。三間四方、宝形造、本瓦葺。
 大日如来を中心に十三仏を安置。十三身の諸尊を守り御本尊とし功徳を積み、浄土往生を願い託す修業道場。







▼十三仏堂の扁額。







▼内陣の荘厳。中央奥に本尊大日如来坐像を祀り、左右脇陣に十三仏が安置されています。







▼本尊大日如来坐像。智拳印を結ぶ金剛界の大日さんです。







            ▼十三仏堂の前に立つ、ボケ封じ観音と、







            ▼お地蔵さん。







▼鐘楼。







▼百日紅満開の境内から東、槻瀬の街が見渡せます。







▼本堂は今、庫裏と共に屋根の改修工事に入ってます。ラッキーにも本堂の拝観は出来ました。







▼本堂外陣格天井の極彩色花鳥画。京友禅職人の筆による新しいものだそうです。













▼本堂内陣の荘厳。秘仏なのか本尊の姿は確認出来ません。奥にお厨子が見えるのですが。







            ▼この方が本尊釈迦如来坐像です。脇侍は聖観音菩薩坐像と地蔵菩薩坐像です。



            (本尊写真は蓮花寺HPからお借りしました)





▼本堂片隅に見事な塗り屏風。







さてそれでは、多宝塔へ行ってみましょう。

▼僅か200m足らずの坂なんですが、これが急坂。この写真ではそうとは見えませんが急坂なんです。







▼右に曲がると見えました多宝塔。







▼左の石段を上ると多宝塔。右手に石仏が集められています。







▼多宝塔。塔高20m、檜皮葺、初層一部桟瓦を葺いている。江戸期文化九年 (1812年) 建立。
 なんとあの鴻池組の建設だそうですヨ。













▼多宝塔軒。上層の垂木を見て下さい、二軒扇垂木になっており、初層の垂木との変化が見事です。







▼初層外縁には勾欄なし、中央桟唐戸、両端は花頭窓、ここでも変化を楽しんでるようです。







            ▼多宝塔相輪です。







▼池にぎっしりと蓮と睡蓮の競演と云いたい所ですが、お花は余り咲いていません。







▼ご朱印です。仁王門の柱礎石に置いて撮りました。







残念ながら本堂は屋根の改修工事中のため堂形は全く判りませんが、入堂は可能なので入って驚いたことに凄い天井画があるんです。
塗りの格天井に極彩色の花鳥画、京の友禅作家の作品と云うことで、彩色の華やかなこと、少々どぎつい感は否めませんが、デザイ
ンや構図を含めて従来の天井画に比べて現代風のパンチの効いたいい天井画です。いずれ時が立てば好い味になるのでしょう。一見
の価値はあります。

三田の蓮花寺これにて オ シ マ イ





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西江寺、西近江七福神弁天さんのお寺です。

2017年08月04日 | 滋賀の古寺巡り





(2017.07.29訪問)


常栄寺から少し遠回りして、マキノメタセコイアの並木通りの緑のトンネルを通り、次に訪ねるお寺、西江寺に向かっています。
途中マキノスキー場や箱館山スキー場のガイド標識が眼に入り、おお懐かしい、両スキー場に通っていた遠い日がよみがえってきま
す。マキノスキー場はべた雪で積雪も少なく、箱館山スキー場が開場されるとマキノスキー場は遠のきました。そんな思いに浸りな
がら走っていると西江寺の左折標識を見逃してしまいました。皆さんドライブ中はひたすら運転とナビとせいぜい周囲の景色を見る
くらいにしましょう。思い出に浸るのは止めましょうネ。





▼参道。手前の松並木、いい風情ですが手入れが大変らしく、いまはちょっとサボってるみたい。







[ 西江寺 ]
●山号 日照山 (にっしょうざん)
●寺号 西江寺 (せいごうじ) 正称 西江禅寺
●宗派 臨済宗東福寺派 (りんざいしゅうとうふくじは)
●創建 延久年間 (1069~1073年)
●開基 藤原頼通 (ふじわらよりみち)
●本尊 釈迦如来坐像
▲滋賀県高島市今津町藺生(ゆう)592 電話 0740-22-0637
▲拝観料 境内自由 ご朱印300円
▲時間 10:00~17:00
▲http://www3.plala.or.jp/o874daisuki
▲JR湖西線「近江今津駅」からJRバス「上藺生」下車 徒歩5分
 R161弘川を右折、R303を西へ約3km、標識ありの三叉路を左折スグ





▼参道正面に山門。







西江寺縁起 (西江寺HPから抄出)
延久年間平等院前関白藤原頼通の発願により荒谷山に釈迦堂を建てたのが、天台宗西江寺の始まりです。元亨三年兵火で焼失。貞治
年間伊勢の安国寺の契培大亀 (かいふだいき) 禅師が住職となり臨済宗寺院として再興。平成五年、契培大亀禅師六百年遠諱を厳修。





            ▼門前の寺号石柱。

      





▼袖塀を持つ瀟洒な山門です。







▼山門から境内、正面は本堂。







▼鐘楼。







            ▼三界萬霊等。等→塔の間違いと思いましたが、使用例はたくさんありましたワ。







▼ユニークな形の3mくらいの大きな石灯籠。







            ▼本堂前に立つ安産子育観音。平成七年造立。







▼旧本堂の大きな棟鬼瓦が置かれています。







▼本堂。







▼本堂正面戸口と扁額。













▼本堂内陣の質素な荘厳。大寺院方丈の室中仏殿という感じがします。







            ▼本尊釈迦如来坐像。







▼本堂。







▼境内奥、放生池の浮き島に弁天堂。













▼この方が西近江七福神の弁天さん。年一度の開扉には大勢の人々のお参りで門前列をなすそうです。開扉日を聞き漏らしました。



(弁天さんの写真は西江寺HPからお借しました)





▼ご朱印です。







お寺の草創に藤原頼通の名がでてきますが、藤原全盛期にこの地に建てられた壮麗な氏寺の後裔の面影を、今は偲ぶことは出来ませ
ん。今津山中の小さなお寺という印象。少しご住職とお話しをしましたが、今更ながらお寺経営のしんどさを嘆かれ、住職以外別に
職をお持ちのようでした。世情の悪さは何処も同じ、こちらも身につまされつつ頑張って下さいと云う以外云いようがなく西江寺を
辞しました。





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常栄寺、天台王国の中で曹洞宗の禅刹です。

2017年08月02日 | 滋賀の古寺巡り





(2017.07.29訪問)


次に大崎寺から常栄寺を訪ねます、湖岸のお寺から山中のお寺へ。海津大崎からR161に戻り北へ少し走り県道を左折、細い細い道
を右折で常栄寺到着。常栄寺は天台王国の中での曹洞禅のお寺、先ず驚いたのは場所柄似つかわしくない大きな山門、さぞや広大な
境内と思いきや、ささやかな境内で本堂のみのお寺です。しかし楼門といい本堂といい内容の濃い、江戸初期の建築技術がぎっしり
詰まった凄いお寺でした。





▼湖西随一評価の楼門。桁裄五間、梁間三間、五間三戸の楼門、銅板葺。
 評価通りの重厚な楼門です。ただし、著名古刹の山門をイメージすると重厚と云う言葉は間違いかもしれません。全体デザインな
 どは江戸初期の建造物ルネサンスの産物と云えないでしょうか。

 

お断り:「江戸初期の建造物ルネサンス」なんて云う言葉はありません。ボクがかってに云ってるだけです。





            [ 常栄寺 ]
            ●山号 龍谷山 (りゅうこくざん)
            ●寺号 常栄寺 (じょうえいじ) 正称 常栄禅寺
            ●宗派 曹洞宗 (そうとうしゅう)
            ●創建 慶長六年 (1601年)
            ●開基 旭洲禅師 (きょくしゅうぜんじ)
            ●本尊 釈迦如来坐像
            ▲滋賀県高島市マキノ町山中554 電話 0740-28-0651
            ▲拝観料 境内自由 ご朱印300円
            ▲時間 9:00~16:00
            ▲JR湖西線「マキノ駅」下車 徒歩3.4km
             国道161号線を北上、「小荒路」を左折。





            ▼禅宗御用達石柱。







▼楼門。

      





▼楼門扁額。正称常栄禅寺と書かれています。







▼楼門から境内を。正面は本堂です。三戸口の左右は仁王さんのお部屋ですが、現在修復中につきご不在です。







▼この鐘楼がまた凄い。屋根下の組み物をはじめ造りに手が込んでます。







▼四方柱の木鼻、梁の彫刻、コーナーの組み物どれをとっても一級品。    













            ▼本堂前の観音立像。







▼本堂。桁裄五間、梁間四間、入母屋造、銅板葺。余分を削ぎ落とした非常にシンプルな造形ですネ。
 これも江戸初期の建造物ルネサンスの新しい形なのか。







▼本堂扁額。読めません。







▼本堂前面。







▼堂内外陣に掛る山号の扁額。







▼外陣から内陣を見ます。外陣欄間のキンピカの透かし彫りには驚き。







▼中央の彫刻。主役は布袋さんのようです。







▼右は龍。







▼左は虎。竜虎対峙するの図でしょうか。







▼内陣奥須弥壇上に本尊釈迦如来坐像。左右は十大弟子のお二人。







▼本尊釈迦如来坐像。小粒の螺髪でお顔は小さめ、この表情こそ慈愛の眼差しと云うんでしょう。







▼本堂正面。







▼楼門前のお庭。           













▼ご朱印です。







▼マキノメタセコイア並木。次の訪ねるお寺の道すがら、チョット遠回りしてこの並木を通りました。







ここ常栄寺は楼門と本堂だけの小さなお寺ですが、その二つがとても立派な建造物、湖国の山の手のどちらかと云うと辺鄙な山里に
これだけの建造物を今に残すのは地域の信仰と祈りの強さの現れなのか。僅か400年の寺歴とはいえ、凝縮された精神の聖域をこの
湖国の山の手に頑に守って行く、その心意気にこちらの精神が洗われた常栄寺でした。が、常栄寺の縁起詳細は不明です。

常栄寺 オ シ マ イ





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