土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

喜光寺は行基さんが建て、示寂したお寺です。

2014年02月18日 | 奈良の古寺巡り


(2014.02.16訪問)

近鉄西大寺からテクテク20分、いいお天気で歩き日和、金曜と土曜日に降った雪は見事に跡形なし。
この日の喜光寺は拝観の方は僅か。本坊で茶菓子の接待まで戴いて小林副住職としばらく文字談義。最後の
御朱印を見てください見事な字でしょう、小林さんの書です。母上が書道家でご本人も習っていたと云いま
す。お上手なはずです。
喜光寺は薬師寺末、住職は現薬師寺管主山田法胤さんが兼ねています。小林さんはこのお寺の副住職で薬師
寺録事でもあり、師弟でこのお寺を盛り上げ、ここ数年で見違えるお寺に変身。お寺経営も僧侶の力関係と
経営センスが大きなウエイトを占めるんでしょうね。

▼本堂。




[ 喜光寺 ]
●山号 清涼山 (せいりょうさん)
●寺号 喜光寺 (きこうじ)
●宗派 法相宗薬師寺末別格本山
●開基 行基 (ぎょうき)
●開創 伝養老五年 (721年) 異説あり。
●本尊 阿弥陀三尊。
▲奈良市菅原町508 TEL.074-245-4630
▲拝観料 500円 御朱印300円
▲拝観時間 9:00~16:30
▲近鉄西大寺駅から徒歩20分。 近鉄尼ケ辻駅から徒歩10分。

喜光寺縁起
養老五年(721年)僧行基が元明太上天皇の勅願により、行基創建四十九院の一つとして創建。当時は地名
をとり菅原寺と称していたが、天平二十年(748年)聖武天皇により喜光寺と改名。戦国時代兵火で寺地伽
藍が壊滅。天文十三年(1544年) 再建されたのが現在の本堂。
行基さんはこのお寺で天平二十一年(749年)二月二日入寂。

▼南大門。楼門様、三間一戸、入母屋造、総檜造。
初層左右に金剛力士が控え、上層は納経蔵。平成二十二年五月一日落慶。




▼南大門扁額。




▼南大門金剛力士。
初層左右の金剛力士像は、現代日本彫刻界の最高峰、2007年文化勲章受章の中村晋也さん造像。
彫刻家が造る仏像とはこれだ!の造形。像の性格から当然の大迫力、肉体造形学からの筋肉の動き、今にも
筋肉各部がピクピクしそうな感覚、ギョロっと見据えた両眼から発する畏光に仏敵もいたたまれなくなり逃
散請け合い。

現在の仏師といわれる方たちの作風との差はアリアリ。造像には儀軌に則った作法があり、各仏師のご苦労
は並大抵ではないでしょうが、釈迦哲学を消化した往時の精神の聖域を保ちつつ現代に蘇らせれば、こうな
ると云う仏像表現の新しい作例でしょう。それにしても素晴らしい仁王さんです。

▼南大門阿形金剛力士。像高3.2m、ブロンズ像。




▼南大門阿形金剛力士。




▼南大門吽形金剛力士。像高3.2m、ブロンズ像。




▼南大門吽形金剛力士。




▼本堂 (重文)。桁行五間、梁間四間(正面一間は吹き放ち外陣)寄せ棟造、単層吹き抜けの裳階付。
創建本堂は、室町時代の明応八年(1499年)焼失、室町末期の天文十三年(1544年)再建。




▼本堂扁額。旧寺名菅原寺とあります。




▼本尊 阿弥陀三尊。背面壁に飛天が翔んでるのわかります?




▼阿弥陀如来のお顔。




▼中尊、阿弥陀如来坐像 (重文)。像高233cm、木彫寄木造、漆箔、藤原期。
漆箔は僅かに残るのみですが、からだ全体はやや細身、眼は彫り込みが浅く黒目は墨彩、上瞼は切れ長で半
眼風、お口は小さく引き締まり、穏やかな思考中といった感じを受けます。




▼左脇侍、観音菩薩坐像。像高164cm、木造、漆箔、南北朝期。




▼右脇侍、勢至菩薩坐像。像高161cm、木造、漆箔、南北朝期。




▼三尊の後ろで翔んでる飛天?
菩薩系三体、僧形一体が背面の虚空を翔んでいます。非常に新しいので最近作かと。




▼行基菩薩坐像。像高83cm、唐招提寺所蔵の行基菩薩坐像のレプリカ。




▼行基さんのお顔。
複製とは云え、相当迫力のあるお顔は、ボクたちがよく見る行基さん立像(近鉄奈良駅前像、霊仙寺行基像
や九品寺行基像など)の柔和な表情とは違い壮年期の生気溢れる気迫がググッと。




▼本堂天井。




▼境内に会津八一さん歌碑。
ひとりきて かなしむてらの しろかべに 汽車のひびきの ゆきかえりつつ




▼一株のサザンカが懸命に咲いていました。




▼四十七体の石仏。江戸期のものだそうです。







▼釈迦初転法輪石像と仏足石。




▼本堂背面に建つ弁天堂。




▼可愛い弁天さんがお厨子の前に。お厨子には御神体宇賀神が祀られ、この神は弁天さんの本地仏らしいで
すね。ご神体は毎年7月中旬に特別開扉されるそうです。




▼御朱印です。副住職小林さんの字です。




小林さんが撮ったという写真を見せてくれました。金曜日の深々と雪が舞う本堂の写真、モノクローム情景
はなかなかの出来、ご本人も謙遜の中にも満更でもなさそう。こういう写真を見ると雪のお寺情景はいいも
のです。寒いとか冷たいとか何とか云う前に出かけたいのはやまやまなれど……。
は~るよこい! は~やくこい!





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