裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

死んだらどうなるか?問題・10

2022年03月05日 09時02分02秒 | 死んだらどうなるか?問題

ちゃんと読めばご理解いただけるものと思いますが、これはスピリチュアルな問題ではなく、純粋な物理学によって世界の構造を探れるところまで掘り下げよう、という試みです。
不思議なことがいっぱいのこの世界を、オカルトだと思わないで、きちんと真実に向き合いましょ。

さて、この世は波のみでできている、という話を延々としていますが、人類サイドとしましては結局のところ、この波をなんとか検知して、自分たちが扱いやすい「三次元の立体感を持った描像」の形に起こすしか、世界の様態を認識することができないわけです。
そのために、宇宙に向けた望遠鏡やレーダーで、どこかから発せられているなんとか波を拾ったり、かんとか線を集めたりして解析し、宇宙の構造を理解しようと努めているのでした。
いろいろな波を集めると、天体の組成がわかったり、振る舞いがわかったり、そこまでの距離がわかったり、最も単純には、遠い遠い宇宙空間を覗いたりすることができます。
最近、ここに新しい波の観測方が加わりまして、この波を「重力波」と言います。
重力とは、質量が空間をゆがめて起こる現象で、ゆがんだ位置から正規の位置へと向かう最短距離の加速度のことを言い、これもまたアインシュタインさんの一般相対性理論が説明しているものです。
今、さらっと書きましたが、質量がある物体(波のかたまりなのでした)の周囲は、「時空間」がゆがみます。
時空間に関しては、のちに説明しますが、要するに、質量を持った物体があると、その周囲の時間と空間はゆがむのです。
「周囲」とは、それを取り囲む時空間を言いますが、この場合は「近辺」ではなく、「それを取り囲む宇宙全体」を指しています。
質量を持った物体の近くは大きくゆがみ、遠くは小さくゆがみ、このゆがみは延々と遥か彼方にまで伝わります。
海辺の水面に石を投げ込むと、波紋が立ってひろがりますが、それはいつか消えるように見えて、実は海の向こうのアメリカ大陸にまで達しているのです(遠ざかるに従って振動があまりにも小さくなるので、あちらに達したことは視認も感知もできそうにありませんが)。
同様に、質量を持った物体が時空間のをゆがませ、重力波が立つと、それは近辺にひろがり、遠方にひろがり、彼方にひろがり、ついにその影響は全宇宙にまで(ほんのかすかにですが)ひろがるわけです。
世界で初めて重力波を観測したのはアメリカのチーム(もちろんノーベル賞)で、その波は、ブラックホールがふたつ絡み合ってぐるぐるととぐろを巻いている、というおどろおどろしい光景が発しているものでした。
ブラックホールは、以前にちらりと説明しましたが、巨大すぎる質量の天体が重力崩壊を起こして一点に閉じ込められた凶々しい現象なので、これがペアとなりますと、時空間がとてつもないゆがみ方をします。
それが遠く地球上にまで伝わってきて、アメリカ大陸に広々と開かれた十字形の重力波検出装置に引っ掛かった、というわけなのですね。
これでまた、天体や宇宙空間の観測に、新しいツールが加わったわけです。
では、なぜ重力波を捉えるのが重要か、という話です。
先ほど「時空間」の話が出ましたが、この世界はタテヨコ奥行きの三次元でできているわけではありません。
「時間」を足した四次元の時空間構造と(人類にとっては)なっていまして、空間と時間は一体としてつながっており、ともに伸び縮みをしています。
このあたりの難しい話は別の章で語り倒しますが、空間と時間が一体となっていると直感的にわかるシンプルな例では、空の上の太陽と月です。
あなたが今見ているあの月は、現在の月ではなく、1秒前の過去の月です。
月が放った光が地球に届くまでに、それだけの時間がかかるのです。
同様に太陽は、地球上では8分前の姿を見ていることになります。
日食の際にぼくらは、8分前の太陽を、1秒前の月が隠している像を見ているわけです。
一光年先の天体は1年前の姿、十光年先の天体は10年前の姿を、地上では観測しています。
640光年離れたベテルギウスは、まさに今か今かと爆発しそうになっていますが、これもまた「640年前に爆発を起こしていたのなら」、ようやく今夜にでもそれが見られます。
ご理解いただいたように、宇宙の遠くを見るのは、宇宙の昔の姿を見るという行為なのです(空間と時間とは一体化しているので)。
こうして人類は、10億光年先、100億光年先・・・と、どんどんと宇宙の奥深くへ踏み入り、同時に、太古の宇宙を観測してきました。
ところが、ここで障壁にぶつかります。
宇宙開闢(かいびゃく)から38万年間は、ビッグバン由来のとてつもなく強い光が宇宙中に渦巻いていたために、決して見ることができないのです。
「見る」というのは、波を拾うことなのでした。
ビッグバンで放たれた猛烈な波が絡まり、混線しまくっていて、なんとか波もかんとか線もどれもこれも、技術的にも理論的にも、決して検出できません。
ここで満を辞して、じゃじゃ〜ん!重力波の登場というわけです。
ビッグバンは、全宇宙の質量をもともと腹の中に蓄えていた特異点という、桁外れの大質量ポイントなので、ここいらの時空間のゆがみときたらとてつもないのです。
驚くべきオーダーの重力波が検出できるのは、言うまでもありません。
この138億光年先の「世界がはじまった瞬間」を覗くために、重力波の観測が力を発揮するのでした。

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園


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