前回の当ブログで、今後の超マクロ撮影の主力レンズとして60mmとしたが、その理由をもう少し分り易くしておきたいと考え、その要点を下の表にまとめた。なお、表中の水色は特筆すべき利点があるという意味であり、赤色は大きな欠点を有し、オレンジ色は余り使いたくない程の欠点を有すると言う意味である。
レンズ焦点距離 | 40 mm | 60 mm | 90 mm | 180mm |
横長さ | レンズ単体 | 22 | 23.3 | 23.0 | 22.7 |
接写68mm | 8.2 | 10.0 | 11.3 | 13.4 |
倍率 | レンズ単体 | 1.1 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
接写68mm | 2.9 | 2.4 | 2.1 | 1.8 |
レンズ端 | レンズ単体 | 29 | 100 | 59 | 241 |
接写68mm | 5 | 69 | 81 | 203 |
鏡胴繰出 | ナシ | ナシ | アリ | ナシ |
レンズ内径 | 52 | 55 | 55 | 72 |
最大外径 | 69 | 73 | 72 | 85 |
レンズ全長 | 65 | 80 | 97 | 166 |
レンズ単体重量(gr) | 235 | 400 | 405 | 920 |
なお、この結果は私の有しているレンズに限定される問題である可能性が大きく、今の市場にあるレンズに当てはめられる事ではあり得ないのである。 なぜなら、40mmは他の三本とはメーカーが異なり、また、90mmはその他よりも2~3年前に購入しており、構造が古いものかも知れないのである。
下の写真は90mmを最短距離撮影のために鏡胴を伸ばした状態。 この状態に加えて、テレコンや接写リングを装着することは、カメラへの荷重負担が大き過ぎて、破損の危険を感じるのである。
結論的には、前出の通り、60mmに軍配は上がるが、40mmの欠点はレンズ端(ワーキングディスタンス)が短い事のみであり、倍率が大きいメリットは捨てがたいものがあり、買い換えがこの先の課題として残るのである。 買い換えでの測定が望ましいことはわかるが・・・・・?。
さて当面は、60mmが超マクロ撮影の主力レンズと決まったので、早速その能力と実用テストを試みた。 先ずは、コンバージョンレンズ(以下Cレンズと略す)の装着方法の実験である。 (時間が経過後この記述を読む場合の事を考えて書いているので、同じ事を重複して書くが、ご理解を賜りたし)
これは、60mmレンズの内径にメネジあり、これを利用して、Cレンズとリングストロボの発光部を取り付けようとするものである。 一般にはレンズの内径のメネジにはフイルターレンズかプロテクターレンズを取り付けるためのものであって、ここにCレンズとストロボを付けることは邪道であり、ねじ山もピッチも小さいので強度的には十分ではないと思われるが、これしか方法がないので試みるのである。
60mmレンズのメネジは55mm。Cレンズにはオネジ37mmが切ってあり、リングストロボの発光部を取り付けるためのアタッチメントには、62または55mmのオネジがきられているので、これらの間にいくつかの「ステップダウンリング(以下Dリングと略す)」または「ステップアップリング(以下Uリングと略す)」を使用して取り付けるのである。 理論的にはこれらのリングガ3個あればとりつけられるが、適正な寸法のリングが販売されていないので、購入することもままならない。
そこで、私の持てるリングを総動員させてみることにした。 つまり、大きくしたり小さくしたりを繰り返し、何とか取り付けられる組み合わせが出来たので、披露したくなったのであった。 私自身出来るとは思っていなかったので、出来ると知った瞬間は奇跡が起きたとさえ思い、一瞬ではあるが感動を覚えたものであった。
それを分解して並べたのが下の写真であり、左端が60mmのレンズ、右端がストロボ、中央一番下がCレンズである。 その間にはUリングが1個、Dリングが4個、ストロボ用アタッチメント1個の合計6個を組み立てるのである。
その“ミソ”は左から3個目のDリングのメネジ(62mm)にストロボのアタッチメントのオネジ(62mm)とCレンズを付けるためのDリングのオネジ(62mm)を両側から、ねじ込む事にある。 有効なねじ山数が少ないので、両側の入る長さが均等になるように、また、ネジを痛めないよう慎重な作業が求められる。
この組み合わせは今後も見る事があるので書いておく
60mmレンズ=
55♀←♂55
∧ Uリング
72♀←♂72
∨ Dリング
67♀←♂67
∨ Dリング
62♂ →62♀ ←♂62=リングフラッシュ
∨ Dリング
52♀←♂52
∨ Dリング
37♀←♂37=Cレンズ
全てのリングとCレンズを組み立てたのが下記である。 全ては金属製、結構な目方になり、これが全てレンズからカメラに掛かってくると思うと、不安感が増してくる。
これを60mmレンズに付け、カメラに取り付けた状態が下記写真である。
さらに、リングストロボを付け、合計68mmの接写リングを取り付けるとこうなる。 下記の写真。
焦点距離が25mmと短いCレンズの先端が、リングストロボの発光面よりも中に引っ込んでるのは、問題かも知れない。 要はストロボの光が被写体に届かず、露出不足になる恐れがあるからである。
問題含みの構成ながら、取り敢えず、先ずはその性能を撮ってみることにする。
測定データ
Cレンズ付 | 接写リング |
0 | 12 | 20 | 36 | 56 | 68 |
横長さ | 11.6 | 10.7 | 10.1 | 9.2 | 8.2 | 7.7 |
倍率 | 2.0 | 2.2 | 2.3 | 2.6 | 2.9 | 3.1 |
レンズ端 | 22 | 20 | 18 | 15 | 14 | 11 |
センサ面 | 185 | 197 | 200 | 210 | 235 | 242 |
上記のように、テレコン無しの状態で、接写リングを68mm付けた場合の倍率が3.1はそこそこの効果は認めるが、レンズ端(ワーキングディスタンス)寸法が倍率の上昇と共に小さくなり、この状態で既に上限を超えており、実用はかなり難しく、これ以上の測定は無意味と判断し打ち切りとした。
また、参考データとして、手持ちの90mmマクロレンズでも試みたが、ワーキングディスタンスは接写リングもテレコンも何も付けない状態で18mmと少なく、実用はかなり難しいことが判明した。
180mmのレンズで実施したときは、接写リングにテレコン2.0を装着しても、このワーキングディスタンスが概ね25mm前後であったことから、その違いを検証したところ、今回の実験は応急的に、現有U,Dリングの組み合わせで実施したために、60mmレンズとCレンズの距離があり、これが焦点距離を長くした可能性がある。
これを正すには、U,Dリングの数を減らして、焦点距離を短くすることが、対策になる可能性がある。 前にも書いたように、理想的なU,Dリングの組み合わせは、リングが販売されていないので、何らかの別法を考えねば成らず、実験も先送りとせざるを得ないのである。
以下は、参考のため撮影したので、紹介する。
「ト ク サ(砥草)
勿論、60mmマクロレンズに、Cレンズも何もナシで撮影。
花とおぼしき部分のクローズアップ。
茎の部分、昔の人が歯ブラシ代わりに使ったとか、使わなかったとか言われた部分のギザギザを初めて撮影。
以上のように、折角ここまできたのに、マクロレンズでのCレンズ使用は頓挫したことになるが、まだ諦めた訳ではないので、当面は休止するが、何らかの形で再活動をしたいと考える。
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