始めて一眼デジカメを手にして既に3年余り、未だに満足な写真を撮る事が出来ないでいる。そんなある日、病院行きボランティア運転手の客待ち時間つぶしにと買った雑誌「日本カメラ(H24-9月号)」に「黒バックで花を撮る」と言う記事に出会い、ブログのネタも切れてるし、少しでも写真の質が上がればと思い実験してみる事にした。
雑誌の記事
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写真を撮る時に、最も重要なのはその主役たる「被写体」であり、私の場合それは花である事が多い。しかし、花ばかりに目を奪われているばかりでは写真の価値は上がらない。脇役として極めて重要なのは、背景なのである。この脇役を務める背景が主役の花をうまく盛り立てることにより、一枚の写真が成り立つのである。
背景が比較的うまくボケた一例(後方の草むらがボケた) (花:ネジバナ)
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こんな事は子供でも判る事ながら、実際にやって見るとなかなかうまく行かない。背景がうるさくて主役が霞んでしまったり、邪魔になる事もあるし、色の組み合わせが良く無く主役が何なのか判らなくなる。そこで、背景をぼかしてうるさく無くするのは常套手段であるが、これが難しかったり、色合いが不味い場合もしばしばある。
そんな時、偶然背景がまっ黒な写真が撮れることがあり、まっ黒な中に花が浮かび上がるのも、時と場合によるが、驚くほど見栄えの良い写真になることがある。それを計画的にやろう、意図的に黒い背景を作りだそうとするのである。今、考えて見ると、その偶然とは、花に明るい光線が当たり、背景が相当に離れた場所、そして日陰であったから生まれたものであった。
偶然撮れた”背景真っ黒”の例 (シーラカンパニュラ)
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言ってみれば簡単な事、花と背景の明暗差を大きくすればよいのであるが、例えば野原の小さな花を撮る時に、周囲の草などを傷つけずに整理して、バックに日陰を作るのはかなり難しい。カメラの絞りを開けば、背景はボケて邪魔にならなくなるが、絞りを開けると、ピントの合う範囲が狭くなり、花のシベにはピントが合うか、花弁はボケてしまうのである。
花をクローズアップで撮る事が多いから、当然望遠のマクロレンズになるから、焦点距離が長くなり、焦点の合う範囲「被写界深度」は浅くなるのである。これをカバーするためには、絞りは極限まで絞らねばならず、そうすると背景まで明瞭に写り込んでしまう(ボケない)。だから、その背景を隠すために背景をまっ黒くすることにより、花を一層引き立つように写そうとするのである。
別の方法として、背景の前に色の着いた布や紙を置く事で、うるさい背景を隠す事が出来るので、カバンの中には"100均"で買った各種の風呂敷や布が入っているが、これを使える場面はそんなに多くはない。花との距離が近いと風呂敷が明確に写り、遠くても中途半端な色であったり、光の反射があったり、また、布の規則正しい模様は野原には合わない事もある。
不自然な背景色(ブルーの風呂敷による) (レイウシア)
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背景を隠すためとは言え、最もボケの少ない「絞り最小」で撮るとなると、シャッタースピードはかなり遅くなり、当然三脚は必要である。また、更に小さい花を撮るとなると、90mmの望遠マクロレンズにテレコンを付けるから、レンズ絞りの最小はF32ながら、実効絞りは更に小さく(F値は大きく)なってくる。そこで必然的に登場するのが、フラッシュ様なのである。(絞り値とは、レンズの焦点距離をレンズの有効口径で割ったものであるから、例えば2倍のテレコンを付けることにより、焦点距離が2倍長くなるから実際の絞り値は32×2=F64相当となるのである)
ここで使うフラッシュは、近接撮影専用の特殊なフラッシュで、キャノン系では「マイクロリングライト」と読んでるようだが、ここでは「リングフラッシュ」と呼ばせてもらう。純正品であると、6万円前後もするが、シグマ製をネットで買うとして、2万円位安いのを注文し、やってみることにした。それは、何と太陽が照りつける場所でフラッシュを同時に2個焚くのである。
リングフラッシュ(今回購入したもの)
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このリングフラッシュの場合はレンズの外側全周から光が来るから、リングフラッシュ単体では像は「無影」となるので、立体感に乏しいものになる。そのためにある側面からもう一つのフラッシュ(スピ-ドライト)を光らせて薄い”影"を作るのである。ただし、これは常にやると言う物では無く、撮って見た結果により、無くしたり、位置を変えたりしなければならない。
カメラにリングフラッシュを付けた状態(右)、左は普通のフラッシュ(スピードライト)
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また、通常屋外の直射日光下で撮影すると、濃い影が出来て、コントラストのきつい写真になってしまう。だから、近接撮影では専用のナイロン製"日傘”を使って、日光を和らげて撮っているが、これは不要となり、逆に日光による影を有効に活用することも考えられるのである。なお、この日傘は日光だけでなく、風を遮りブレを無くする効果を期待する事もあるので、風のある時は使わざるを得ないのは言うまでもない。
理屈はこの位にして、早速庭で使ってみる。古臭い言葉であるが「論より証拠」とする。
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従来のフラッシュなしで撮ったもの。下の方に不要なものが写り込んでいる。=背景がうるさい。
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フラッシュを焚くと、背景が黒くなりすっきりした。
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(スイレン)
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この場合は、背景との距離が短いために写り込んでしまうが、止むを得ない状態。
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真っ黒ではなく、この位の方が自然な感じがすると思う場合もありうる。 (センニチコウ)
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取りあえずやって見た段階ながら、結構使えることが判明した。
この先、色々な場面で使えば、多少は写真の質が改善されるかも知れない。但し、またしても荷物が増える(リングフラッシュのみで約900Gr)のは嬉しくないが、マクロ写真を撮る時には使って行こうと思う。
完