昨年、フランスのブルターニュ地方の都市レンヌを観光した時のことである。
森の中に在るような都市で、5月の陽光にそちこちの大きな木々の枝葉がサワサワと揺れている光景は見事であった。
現地フランス人女性のガイド(Ms,セベリン)が付いて案内してくれたが、報酬を度外視した熱心な説明に敬服させられた。
中世のモルドレーズ城門を見学した時に、聞き間違えでなければ、徐々に拡充された城壁は古くは2000年前に遡ると言うのである。
その頃はローマ帝国のシーザーがガリア戦記に遺した時代である。
2000年前の城門は、いまは市街地化されアーチ部のみが遺されているのである。
当時、フランス北東部のアレッシア(古代地名)ではガリア人と ローマ帝国は最後の決戦をしていた。
シーザーに対抗するガリア軍の総大将はウエルキンゲトリクスであった。ウエルキンゲトリクスはガリア人の”自由”のために戦った。2000年前のことである。
日本で”自由”という概念が歴史に登場するのは明治以降であり200年にもみたない。
フランス人(ガリア人というべきかも知れない)の個人主義の奥の深さを思い知らされる。
ひょっとしたら…、城門のさきにはシーザーがいるのではないかと思い、アーチをくぐってみた。