みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

<出産の喜びどこへ>(上)思い通りにいかない/ (下)誰もがなる可能性(稲熊美樹)

2016-06-15 15:34:22 | ほん/新聞/ニュース
名古屋の友人から、有松絞りの薄紫のショールが届きました。



前にお会いした時に彼女がかけていて、 、
とても似合っていたので「ステキ!」と褒めたら、
同じものを送って下さったのです。


ショール全体に細かい絞りが入っています。
  
絹なので手触りもなめらか。
コンパクトに畳めるので、ちょっと涼しいときに
肩にかけるのにちょうどよい大きさ。
よそいきの時にオシャレに変身!しますね。

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ところで、
6月9日と10日の中日新聞生活面に、
<出産の喜びどこへ>の連載記事が掲載されていました。
執筆されたのは、稲熊美樹さん。

わたしも昔、マタニティーブルーで苦しい思いをしたので、
他人ごとと思えず、わがことのように読みました。

「私だけは大丈夫だとみんな思っている。周りの人が気付いてほしい」と
いうことばにつよく共感しました。

  <出産の喜びどこへ>(上) 思い通りにいかない  
2016年6月9日 中日新聞

 出産後の母親のうち一割が産後うつになるとされる。長くても二、三週間で治るマタニティーブルーと違い、ほっておくと深刻な症状に陥り、生まれたばかりの子を残して母親が自殺してしまうこともある。問題の大きさに気付いた一部の医療機関は、早期発見と予防に取り組み始めた。

 難産の末に生まれた長男を見ていると、女性(45)は全身がぬくもりで満たされたように感じた。

 でも、幸せは長くは続かなかった。体調不良のため、実家で寝たり起きたりの生活。長男の世話は母親にしてもらった。自分のマンションに戻ったが、泣く長男を抱き上げることができない。出産前は「赤ちゃんに笑いかけるお母さんになるんだ」と思っていたのに。自分でも「おかしい」と感じて、産後二、三カ月で精神科を受診し、うつ病と診断された。

 長男を保育園に預けて仕事に復帰しても、体調はぼろぼろだった。二年後に長女が生まれるとさらに悪化。「どのように死ねば、人に迷惑を掛けずに済むか調べた」。マンション二階の部屋から外を見ると、「もっと高かったら簡単に死ねるのに」と感じた。

 死ぬと決めた日。子どもが急に病気になり、世話をしているうちに夜中になった。「死ぬこともできないなんて」。自己嫌悪がさらにひどくなった。

 夫は仕事が忙しく、休みは三カ月に一日だけ。仕事を辞めてから、子育てと家事は女性の役割だった。一見幸せそうに見える家庭に、二人の元気な子。幸せの絶頂のはずなのに、こんなことを感じるなんて…。

 若いころから、白黒をはっきりさせたい性格で、何事も努力でカバーしてきたと思っている。しかし、育児は思い通りにならないことの連続。赤ちゃんに笑いかけながら抱っこする「理想のお母さん像」と違う自分が嫌だった。「もっとちゃんとした人に育ててもらった方がいい。そのためには私が死んだ方がいい」

 そんな心理状態から抜け出せたのは、無料子育て相談電話で紹介されたカウンセリングを受けたことがきっかけ。産後うつの時の記憶は断片的にしか残っていないが、「今、生きていて良かったと思えます」。

 大阪府内に住むたかいたかこさん(56)も、かつて産後うつを患った一人。流産を経て、待望の長男を授かったが、退院して帰宅すると、長男は「怖いだけの存在」に変わった。

 母乳をあげても、おむつを替えても泣き続け、何で泣いているのか分からない。長男が寝てもいつ起きるかとドキドキし、気がつくと自分が泣いていた。長男が二歳になり、自分でご飯を食べ、言葉で意思疎通できるようになると、「ほっとして、落とし穴にはまるように気分が沈んだ」。うつ病と診断された。

 電車で通院する際には、ホームの真ん中を歩いた。線路が目に入ると、吸い込まれるように感じたからだ。支えてくれたのは、同い年の子どもがいる社宅仲間。受診の際、長男を預かってくれ、誰かの家に遊びに行ってしんどいと、横にならせてくれた。そんな仲間が次々に第二子を出産し、赤ちゃんを見たら「心からかわいい」と思えて、長女を出産。今度はうつにはならなかった。

 産後うつが原因で、自殺にまで至る母親が少なくない。順天堂大産婦人科の竹田省(さとる)・主任教授が、東京都監察医務院とともに都内の自殺と思われる事案を調査した結果、二〇〇五~一四年に、妊婦と生後一年未満の乳幼児のいる母親計六十三人が自ら命を絶っていた。

 竹田教授は「全国の状況を調べれば、もっと多くなる。予期せぬ大量出血などによる妊産婦死亡率よりも自殺率が高く、早急な対策が必要だ」と話す。
(稲熊美樹) 


  <出産の喜びどこへ>(下) 誰もがなる可能性 
2016年6月10日 中日新聞

 「お母さんになると、得るものがある一方で、諦めたり我慢しなければいけないことも出てきます」

 愛知県長久手市の愛知医科大病院こころのケアセンターで、八日に行われた産後のメンタルケア講座。臨床心理士の酒井玲子さんが、産後一カ月から一年未満の母子三組に語りかけた。

 産後うつ予防と早期発見を目的に二年前から行われており、誰でも参加できる。初回のテーマは「ママだって〇歳」。酒井さんが「いいママになりたいと思うことはある?」と問い掛けると、ある参加者は「他のママのようにしなくちゃいけないと思うことがある」と答えた。酒井さんは「世の中が作り上げた理想の母親像に縛られず、自由になって」と応じた。

 講座は約六十分で、五回参加してもらう。簡単な心理検査で母親に自分の性格を知ってもらい、ストレスをためずに赤ちゃんとの新しい生活に慣れていく方法を探る。臨床心理士や助産師が母親たちと信頼関係を築き、相談しやすい存在になることを心掛ける。

 酒井さんによると、出産直後の母親はホルモンバランスの変化もあって、心や体が不安定だ。「子どもをかわいくないと思っちゃいけない」とか「赤ちゃんが生活のすべてじゃないといけない」と、思い込んでいる母親が多いという。しかし、「お母さんだって失敗したり、八つ当たりすることだってある。そんな自分を認めるのが第一歩」と励ます。

 産後うつの可能性があっても、精神科の受診をためらう母親が多いため、早く医師や臨床心理士ら専門家に相談してもらうことが大切という。実際、治療につながった受講者もいる。

 一方、妊娠中からうつの早期発見に取り組むのが、周産期専門の精神科外来がある順天堂大順天堂医院(東京都文京区)産婦人科だ。

 妊娠中にうつになると、産後うつにもなりやすいとされている。同院では、出産予定日の一、二カ月前の健診で、英国で開発された「エジンバラ産後うつ病質問票」を用いて、リスクを判定。助産師が面談して、経済状況も含めて家庭環境などを聞き出す。健診に付き添う妊婦の夫や母たちにも「産後うつには誰もがなる可能性がある。いつもと違うと感じたら、早く連絡してほしい」とさりげなく伝えている。

 産後、一カ月健診の後も、必要があれば一年間は母子の様子を確認。育児の相談にも乗る。助産師の礒崎悠子さんは「地域の保健師でも病院でも、母子がどこかにつながっていれば助けられる可能性がある。できる限りサポートしていきたい」と話す。

 インターネットなどで、産後の母たちからの相談に応じている「ママブルーネットワーク」代表の宮崎弘美さん(48)は、「本当に自殺してしまう人と、そこまで至らない人の違いはほとんどなく、紙一重なんです」と指摘する。

 自身も二十年前の出産後にうつで苦しみ、自殺未遂を繰り返して二カ月間入院した。宮崎さんはこの経験をきっかけに、臨床心理士の資格を取得。ネットワークの代表として「赤ちゃんがかわいくない」といった母親たちの相談に応じてきた。

 「私だけは大丈夫だとみんな思っている。周りの人が気付いてほしい」
(稲熊美樹) 


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6月14日(火)のつぶやき

2016-06-15 01:09:22 | 花/美しいもの
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