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日本、福島シンドロームの離脱は有り得るか

2013-07-05 | ラジオ
日本は唯一稼動している大飯原子力発電所の2つの原子炉の作業を許可する決定を下した。この原子炉は今年9月の定期点検で停止されるまで機能し続ける。
この間、7月8日原発の新たな安全基準が発効する。
福島第1原子力発電所事故以来、日本では事実上すべての原子力発電所が稼動を停止した。現在、稼動しているのは50の原子炉のうちたった2基だ。
原発はかつて電気総需要のおよそ3分の1をカバーしていた。専門家らは新たな安全基準の導入後、原子炉のいくつかは稼動を再開するだろうと考えている。少なくとも日本のマスコミ報道では、7月には電力会社数社は、現在稼動を停止している12基の原子炉の作業再開要請を出す計画だ。

再稼動後の作業は、厳格化された安全基準の新たな条件下で行われる。この基準ではすべての原発に補足的に二重の省エネ、また冷却システムの完備が求められている。また放射性同位体の放出をシャットアウトする、安全性の高い防御フィルターの付いた通風システムを備えていなければならない。
それ以外にも福島第1原子力発電所の痛ましい経験を考慮して、津波からの防波堤の建設も必須となっており、その防波堤の高さについては地形から計算して、波の最高値が割り出される。新しい基準ではさらにテロリストの侵入や、航空機の墜落といった事態からも施設を守る防護基準が強化された。

ロシア社会政治調査センターのエヴセーエフ所長は、こうした措置は全て根拠のあるものだとして、ロシアの声の取材に次のように話してくれた。
「日本人専門家らは、福島第1原子力発電所の事故で発覚した問題の全てに非常に慎重に対処し、その結果、日本のエネルギー施設の使用の信用度を、はるかに引き上げるための解決策をとるに至った。
日本は深刻なエネルギー不足にあえいでおり、原子炉の停止から生じたエネルギー不足を埋めあわせるため、ガスを燃料に稼動する、熱併給発電所に頼らざるを得ない状況となっている。このため時間の経過とともに原子炉は再開されていくものと考えている」
所長はは、このように指摘している。

原子力発電所の事故の後、直ちに激しい原発反対運動の波が日本全国を覆った。しかし多くの専門家たちは、いくら世論の圧力を受けたとしても、日本が近い将来に完全に原発を撤廃することはできないだろうとの見方を示していた。原子力エネルギーを完全に拒否すれば、日本にとっては、これは長期的な経済危機のみならず、政治的なショックにも匹敵する事態となってしまうからだ。
このため前の民主党政権の、野田内閣の決めた原子力エネルギー使用の段階的な廃止は息の長いものにはならなかった。経済不況に終止符を打つことのできなかった前政権の無能さは、結局12年12月の選挙での民主党の惨敗として、自由民主党の大勝利をもたらした。

首相の座に返り咲いた安倍氏は、緊急経済総合対策の主要項目に原子力エネルギーの発展を入れると強調した。それでも2011年の、あの事故の悲劇の記憶は繰り返し戻ってくる。
ちょうど政府が2基の原子炉の稼動を許可したその日、福島第1原子力発電所付近の海水では、放射性トリチウムの含有量が高まっていることが確認された。これは原子力エネルギーの長所、短所を明晰に判断し、安全に対し資金を惜しぬよう呼びかける、さらにもう一つのシグナルとなったと言えるだろう。

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6月26日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル