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日本の選挙、3本の矢はどこへ飛ぶ

2013-07-22 | ラジオ
7月21日実施の参議院選挙で、与党自由民主党の圧勝を疑わないものは誰もいないのではないだろうか。問題はその結果が日本にとって、どんなことをもたらすかということだ。
より具体的に言うと、参議院でのポジション固めができたとして、それが政策を推し進める安倍首相を、どれだけ軽減するのだろうか。
特にデフレの克服、インフラストラクチャーへの国の支出プログラムの拡大、新たな技術、日本のGDP成長率の拡大に的を絞った、いわゆる三本の矢ドクトリンに、どんな影響を及ぼすのだろうか。

この問いに対して、ロシアの日本の専門家であるパヴリャテンコ氏にマイクを向け聞いてみた。
「私しめ(?)としては参議院での自民党が過半数を占めたとしても、それを党の活動の活発化に結び付けて考えることはない。もちろん過半数を占めれば非常にやりやすくなるだろう。
支持率の低い法律を経済に導入するのも容易くなる。内閣の決定を衆参両院が支持することで、安倍氏の政治的な意図が揺るぎないものであることが証明され、国民は、こいつはなんでもやってのける男だという信頼が生まれるだろう。ただし安倍内閣の閣僚たちも、いわゆる三本の矢が万能薬ではなく、経済状況に柔軟に反応するものであることは理解している」

パヴリャテンコ氏は、このように語りながらも、安倍氏の新ドクトリンの効果については、性急な予測をしないよう求めている。
ロシア風に言えば、朝植えたじゃがいもを、夜にはもう食べるというわけにはいかないというわけだ。

さてもう一人の日本専門家の元駐日ロシア大使も勤めた経験もあるパノフ氏は、安倍首相の経済路線は一様ではないと考察している。
安倍氏には野党のなかにも経済界にも反対者がいる。パノフ氏は、にも関わらずこの路線は前に進んでいくだろうとして、次のように続けた。
「単にこの路線に変わるものがなく、しかもすでに何らかの成果をあげている。特に円安で輸出は活性化された。しかしこれは輸出入の価格の高騰を招いている。インフラプロジェクト、産業事業への資金の投入は新たなバブルを招きかねない。
一方で労働力に関する政策を厳格化すれば、新たな社会問題を引き起こしてしまう。インフレの急激な上昇の危険性もある。このためこの路線は修正されるだろう」
パノフ氏は、このように述べた。

パノフ氏は、また修正を行えば安倍氏が就任するや否や、宣言した外交路線の幾つかの状況は変化を免れないとして、さらに次のように続けている。
「自由民主党は公明党と連立を組まざるを得なくなると思う。これによって安倍氏が憲法改正など、急進的な措置に関して当初アピールした厳格な雰囲気は柔軟化される。
アメリカも日本の新しい指導部の急進的な変革に不満を表した。また安倍氏自身も内閣の閣僚も、中国また韓国との歴史的事実の解釈では後ざすりをしはじめている。このため選挙で勝利し、内閣の自信が深まり、主要課題を解決しやすくなっても、日本にはまるでそぐわない急進的方向へのシフトは起こらないと思っている」
パノフ氏は、このように述べている。

また先に紹介したパヴリャテンコ氏も、安倍氏は憲法改正論や軍隊の創設を退けはしないものの、内閣に害を与えてまで、この問題の解決に急ぐことはないとの確信を示している。
これ以外にも日本政府は隣国の、第1に中国や韓国の反応を考慮せざるをえ得なくなる。パヴリャテンコ氏は特にある重要な状況に注意を促している。
尖閣諸島の帰属問題で争い、この水域に中国の警備艇が何度も出入りを繰り返し、日本と中国の関係が先鋭化するなかで日本企業は中国に新たな法人を設立しているのだ。もちろん安倍氏は領土問題で妥協の姿勢を今のところ示していないが、現実の状況、経済協力の必要性を迫られて、政治家らも政治ドクトリンにも修正を加えざるを得なくなるのではないだろうか。

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