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シロクマに絶滅の危機

2013-05-23 | ラジオ
地球上で最も大きい肉食動物である、シロクマの上に死の脅威が立ちはだかっている。こんな恐ろしい予測を国際自然保護連合のシロクマ作業班で、北極自然保護区ヴランゲリ島のオフシャニコフ副所長が行った。オフシャニコフ副所長は2030年までに、北極圏に生息するシロクマは全滅する危険性があることを明らかにしている。
ロシアには5000頭から7000頭のシロクマが生息している。地球のシロクマの数は全部で2万頭。シロクマは繁殖が遅く、幼少期の死亡率が高いことから非常に希少な動物となっている。このシロクマにもうひとつ追い討ちをかけているのが地球温暖化だ。

オフシャニコフ副所長は、シロクマにとっては主たる生存環境となっている流氷が急速な勢いで解け出しており、これがシロクマの種の保存に大きな脅威となっているとして、次のように語っている。
「この状況は毎年地球規模の洪水が繰り返された場合に似ている。つまり人類を食べさせている最も生産性の高い土地が常に洪水で浸水したとしよう。そうなれば洪水の間、人間は常に高い山に登って逃げていなければならない。
そして水が引いたら山を降りて畑を耕す。今シロクマはそんな生活を余儀なくされている。住む場所の氷が解けているからだ。150年の間に北極では氷の3割が解け姿を消してしまった」
副所長の発言だ。

シロクマの個体数に影響を与えているのは自然の要因だけではない。ハンターや密猟者もシロクマに脅威を与えている。
ロシアではシロクマをしとめることは禁止されているが、アメリカ、カナダ、グリーンランドでは北方民族は昔からシロクマをしとめてきた。ハンティングの狙いはその毛皮にある。インターネットではシロクマの毛皮は3000ドルから5万ドルで取引されている。
専門家らは、シロクマ救済に緊急措置を講じなければならないと唱えている。これは容易いことではない。毛皮の商業利用に関心のある多くの組織やグループがあるからだ。

オフシャニコフ副所長は、さらに次のように語っている。
「嘆かわしい例をひくと、先日カナダとデンマークがEUの(?)のもとに、絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約・ワシントン条約にシロクマを含めることに異議を唱えた。これはシロクマの毛皮の商業利用から守る措置であるべきものだ。カナダは北極圏の国としては唯一、割り当て量のシロクマのハンティングと取引を許可している国だ。これが市場を刺激し需要を生み出している」
副所長の発言だ。

シロクマは生息に適した土地を失い、沿岸部に頻繁に出現するようになっている。こうした場所で図らずも人間の目に触れ、捕らえられてしまうことが多いのだ。
オフシャニコフ副所長は、窮地に追い込まれた動物を殺すなど、犯罪以外の何ものでもないと糾弾し、体系的な措置が講じられなければ、20年後、シロクマは自然界にはもう生き残ることができないと警告する。
ヴランゲリ島での状況は、そんなに悲観的なものではない。ここにはかなりの数のシロクマが生息している。ロシアは北極圏に最も大きな面積を有しており、1950年代からシロクマの保護に乗り出しており、世界でも先がけてシロクマの狩猟を禁じている。
それでもシロクマの住みやすい環境を確保するためには、絶えず北極の環境保護に努めていなければならない。土地を汚さず、北極開拓には環境に優しい産業技術を用い、新たな保護区を設け、ワシントン条約でシロクマが保護対象に認められるよう闘っていかなけれればならない。

(?)は聴き取れず

NHKスペシャル 北極大変動―加速する氷解/資源ビジネスの野望
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4月27日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル