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中国、南シナ海問題でASEANの統一戦線を許さない

2013-05-12 | ラジオ
中国は南シナ海問題について、ASEANが統一した立場をとることを回避しようとしている。中国のワン・イ新外相の最初の外国訪問先はタイ、インドネシア、シンガポール、ブルネイであることからもそれは分かる。

ロシア科学アカデミー東洋学研究所・ASEAN研究センターのモシャコフ氏は、VOR・ロシアの声に対してそのような考えを示している。
中国の外相が最初の外国訪問先にASEANを選ぶのは15年ぶりだ。この地域は中国外交の主要な中心のひとつだ。ASEANとの貿易投資パートナーシップは、中国の経済戦略の重要な優先課題となっている。しかし今回の訪問の理由にはまた他の背景がありそうだ。というのも、南シナ海における領土紛争が、これほどまでに達したことは未だかつてなかったからだ。
フィリピンおよびベトナムは、中国との問題でASEANからの支援を当てにしている。モシャコフ氏は、中国も何らかの手を打つことを余儀なくされていると指摘している。
「中国は領土問題においてASEANが統一した立場をとることを避けようと懸命になっている。中国にとっては、それぞれの国との二国間関係の枠内に収まることが望ましいのだ。フィリピン、ベトナム、マレーシア、さらにはインドネシアとの関係が挙げられる。中国はこの問題が多国間関係に持ち込まれることに反対しており、さらに国際問題となることにも反対している。ここに至って、中国は何らかの手を打たなくてはならないのだ」
モシャコフ氏のコメントだ。

フィリピンは最近、国連海洋法裁判所に対して、南シナ海における領土問題を検討するよう要求した。つまり、問題はまさに国際化しようとしているのだ。国際的にこの問題に対する介入が行われる可能性がある。モシャコフ氏は、中国はこれに断固反対すると見ている。
「これに関連して中国外相にとっては、状況を変えることが非常に重要になるわけだ。さらに現在に至るまで、フィリピンの提案は完全な支持を得てはいない。アメリカが一定の支持を示していますが、ASEAN諸国は慎重だ。ASEAN内には様々な見方があり、今回の中国外相の訪問は、フィリピンの提案による被害を最小限に食い止め、国連とASEANではなく、あくまで中国とフィリピンとの関係に留めようという狙いなのだ」
モシャコフ氏のコメントだ。

専門家らは、日本の岸田外相もまた、最初の外遊先としてASEANを選んでいたことに注目している。これは半年前のことであり、南シナ海の問題におけるASEANの統一した立場を促すものだった。
つまり今回の訪問は、ASEANの統一戦線を張ろうとする日本に対する、中国の反応だと見ることもできるだろう。

共存と不和―南シナ海における領有権をめぐる紛争の分析、1902‐1952年
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松籟社

5月6日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル