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手が届く宇宙

2013-05-06 | ラジオ
2013年から2014年、アメリカでは準軌道飛行の宇宙観光旅行がスタートする。こうした旅でアマチュアの宇宙飛行士たちは、無重力空間の始まる高度100キロメートルまで上がるが、専門家たちに言わせればこれは本当の宇宙空間ではない。
地球の軌道や国際宇宙ステーションまで観光客を運ぶ能力を有しているのは、今のところロシアだけだ。

宇宙観光旅行についての話が出始めたのは1980年代のはじめ。アメリカでは女性観光客を乗せた宇宙船が実験的発射されたが、失敗に終わり観光客は死亡した。
この分野で成功を収めているのは今のところロシア一国のみだ。2001年からロシアの宇宙船ソユーズは軌道に7人ものアマチュア宇宙飛行士たちを連れていった。最初の宇宙観光客はアメリカのデニス・チトー氏だ。チトー氏は200万ドルを支払い、軌道に9日間滞在した。チトー氏はこれだけの大金をはたく価値があるほど印象深い旅だったとして、次のように語っている。
「私は地球の周りを28回回った。回るたびに雲の景色が変わり、光の様子が変わった。あなた方は自分の足の下を回る惑星について多くを知っているが、もちろんそのすべてを月の表面から見るように眺めたことはない。それでもあなた方は地球が、どんなに稀有な星で、かけがえのないのないものかを理解している。たとえば大気圏は地球を包む非常に薄い層だ。この層に人間がどんなに悪い影響を与え得るか考えてほしいと思います」
チトー氏の発言だ。

アメリカのシャトルが飛ばなくなってから、国際宇宙ステーションへは唯一ロシアのソユーズが使われるようになった。ツーリストのための空席は今の時点ではない。ロケット宇宙公団のエネルギアは、すでに数年にわたって特別な観光用宇宙船の開発を行なっている。地球より少しでも上に上がりたいという人には、準軌道飛行旅行という道が残されている。

雑誌・宇宙学ニュースのマリーニン編集長は、こうした飛行は短いものの、それだけに非常に簡単なものになるとの見方を示し、次のように語っている。
「地球の軌道に出るには、宇宙船は秒速8キロまで速度を上げねばならない。これだけの高速状態で宇宙船は大気圏に戻る。これは非常に負荷がかかり、気温差も大きい。準軌道飛行の観光旅行であれば100キロまで上昇して戻ってくるので、加速は秒速1.5キロで済む。負荷もかからず温度の上昇もない。このやり方であれば、まあまあ健康体の人であれば宇宙へ飛べるようになる」
編集長の発言だ。

準軌道飛行旅行は軌道に出る旅よりも安くつく。たとえばバージン・ギュラテック社は200万ドルの宇宙旅行を提案している。この旅行、最初の段階では数万ドルほどの価格だった。最初の打ち上げは今年の12月に予定されている。
このプロジェクトの成功に懐疑的な専門家も確かに多いものだが、その理由は宇宙船の問題で打ち上げは数度延期されており、たった数分の無重力空間の旅行に多大なリスクが伴うというものだ。
この意味で安全面でも得られる印象からいっても、ロシアのソユーズを使った国際宇宙ステーションに飛ぶほうが、理想的な観光ルートだという専門家は多いものだ。

2012年、モスクワで行われた記者会見でイギリス人歌手のサラ・ブライトマンさんは、ツーリストとして国際宇宙ステーションに滞在したいという希望を明らかにした。この際、飛行は2015年の春にも行われるかもしれないと語っている。
ロスコスモスの有人プログラムを率いるアレクセイ・クラスノフ氏は、2015年の国際宇宙ステーションの滞在参加については今月末にも決められことを明らかにしている。

宇宙旅行ハンドブック
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文藝春秋

4月13日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル