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日本は南クリルを買う用意があるのか(1)

2013-05-10 | ラジオ
ミハイル・ゴルバチョフの時代、日本は南クリルを購入することを試みた。時事通信の報道によると、著名な日本の政治家である小沢一郎氏が明らかにしたということだ。
現在、ロシアと日本の両政府は領土問題解決の方法を模索している。しかし売買取引の可能性は恐らくないだろう。
小沢一郎氏は1980年代末に、与党自由民主党の幹事長を務めていたが、ソ連経済への数十億ドルの投資と引き換えに、クリル諸島を返還するという提案をゴルバチョフの補佐官の一人から受けたことを、時事通信に対して打ち明けた。
当時、小沢氏は大蔵省との間で数兆円単位の協議を行い、モスクワを訪問したということだ。しかし日本への公式訪問の準備を進めていたゴルバチョフ氏は、投資と引き換えに島という取引を断った。

小沢氏の回想は何もスキャンダラスなものではない。ロシアのマスコミや専門家、さらにはゴルバチョフ自身に至るまで、それについて幾度となく公表しているからだ。
ゴルバチョフ氏は自らの回想録のなかで、南クリル売却についての提案を断固として拒否したことを語っている。多くのロシアの専門家も、このような見方を支持しているが、ソビエトでも最初の富豪で政治家であったアルチョム・タラソフ氏は、ゴルバチョフが2000億ドルで島を売り渡すつもりだったとしている。
しかし議会や両国のマスコミでそれが明らかになるや、クリル擁護の世論が起こり、ゴルバチョフは諦めざるを得なかったということだ。

当時、ロシア経済がどん底にあり、投資を喉から手が出るほど必要としていた時代、ゴルバチョフが南クリル売却を拒否したことを強調しなくてはならない。それが自身の判断であれ、世論の圧力であるかは二の次だ。
現在の状況は全く違っている。ロシアは多くの経済問題を解決し、低迷を克服し、経済成長と投資環境整備を目指している。外国投資家は数百億ドルをロシア国内に投資している。そのなかには、日本のビジネスマンらもいるし、南クリルの問題が彼らの活動を邪魔することもない。

日本は南クリルを買う用意があるのか(2)へ続く
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5月7日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル