みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

トランペッターの三突G その2

2009年04月30日 20時45分34秒 | AFV(独)
 でもこのトランペッターの三突G、最近になっていつのまにか発売されていました。G型ならレベルの後期型(ザウコップ防盾)やドラゴンの前期型(ボルト留め角形防盾)、という良キットががとっくにあるんです。今更G型を出してもねえ、と思いました。トランペッターのB型、C/D型、E型、F型に関しては、ミニスケールのインジェクションキットは少なかったので意義は大きいと思いますが(アタックのEとFくらいかな)。
 でもいかにトランペッターといえども、後発キットとしての差別化は意識しているようです。つまり、オプションパーツがいっぱい入っているんですな。防盾は、前期の角形と後期のザウコップとが両方入っている。それから戦闘室の天板が三種類入っている。車輪関係では上部支持輪が二種類、機動輪も二種類。そして車体後部は牽引棒取り付け基部の有無で二種類。さらに砲身に至っては七種類入っているんです。マズルブレーキの形状だけではなく、三号突撃榴弾砲の砲身も少なくとも二種類入っているようです。
 以前買ったまま放置していたので、今更ながらにオプションパーツの多さに感心しました。おかげで、三号突撃砲の各タイプを熟知した人「ならば」、特定の時期の特定の車輌を選択して製作することが十分に可能です。
 でも、「ならば」ってのは何かと言いますと、そのことが組み立て説明書に一切書いていないから、製作者に知識がないとそれが生かせない、ってことなんですね。どのパーツをどのタイプに使うかの説明は一切無いんです。さらに問題をややこしくしているのは、箱絵や説明書もそれを理解していないのか、混乱している節があることです。説明書に書いていないことを補うだけではなく、説明書に書いてあることの間違いを見つけなければならないんですよ。不要部品の指示も結構ごちゃごちゃ。そもそも箱絵に使われている完成品写真は角形防盾の前期型なのに、中の組み立て説明図も塗装指示図もザウコップを使うようになっているんですよ。
 まあ、どうせトランペッターだから、適当に適当に、という主義で行きたいとは思うんですが、写真をご覧下さい。私は何も考えずに説明書どおりにこの上部支持輪を使ったのですけど、よく見ると、これはゴム縁の無い、全金属鋳造製の支持輪ですよね。ってことは、これを接着した時点でもう後期のタイプとして作ることが決まっちゃったことになるんです。もちろんよく見かけるゴム縁の支持輪もパーツとしては入っていますから、自分で判断してそちらを使うこともできたんですが。

トランペッターの三突G その1

2009年04月28日 20時59分33秒 | AFV(独)
 こないだから在庫減らしで、トランペッターのキットを適当に楽しんで作っていますが、T26E4の足回りで大失敗をしてしまったことは先日述べたとおり。今度は三号突撃砲G型などをちょこちょこ作っています。それこそ毎日10分ずつくらい。この三突Gもいろんな意味で面白いキットです。
 とにかく、トランペッターのミニスケものであまり凝っても仕方がない。気楽に作るんだから、いやな思いをするような作業は基本的に行わない、という方針です。ただ、凝る以前の基礎工作の段階でもいろいろある製品ですね、トラペというやつは…。
 例えば、車輪の穴がゆるい。穴がキツいのなら、ヤスリで穴を広げればよいのですが、ゆるいとなると、何か充填してやらねばなりません。でも、面倒なので、車軸を穴の一方に寄せて、軸が穴の内面に接するところでがっちり接着しておくことにしました。接着剤をやや多めに着ければ、溶けたプラが隙間の方にもグニュッと流れて、乾燥すれば強度に問題はないと思います。幸いトラペのプラは、クレオスのMr.セメントS(流し込み)が非常にがっちりと効きます。
 さらに問題は、各車輪の縦方向の位置がずれること。写真に赤の矢印で示したように、パーツのまま接着すると、機動輪と誘導輪の位置が、転輪と上部支持輪の位置より外側になってしまいます。このままでは履帯のセンターガイドがまっすぐ通りません。転輪と誘導輪を外寄りに取り付けると、履帯がフェンダーより外側にはみ出します。よって機動輪と誘導輪を車体寄りに接着する方がよさそうです。機動輪については、車体側の最終減速機の頭を削って、誘導輪については車軸をカットして接着面を削って、やや内側に取り付けました。

「人民志願空軍」デカールの使い方 その5

2009年04月25日 00時03分00秒 | 航空機(露・軍用機)
 さてもうひとつ、ニュース映画からの画像。こんなシーンですが、ここに大事なものが写っています。それはエアブレーキの形状。
 胴体後部のエアブレーキがはっきり見えるシーンはないかと探していたら、ここに写っていました。おかげでこの機体が後期型のMiG-15bisであることが分かったわけです。前期型のMiG-15ではエアブレーキの上辺が平らのはず。ところがここでは前方に向けて上辺が下がっていることが見て取れます。これはbis型の特徴。これで「中國人民志願空軍」の文字をつけた機体は、bis型として作ればよいことが分かりました。
 朝鮮戦争の最中に、安定性に問題のあるMiG-15はMiG-15bisに順次機種転換されています。有名な王海の乗機も、革命軍事博物館の機体はMiG-15で、北京航空博物館の機体はMiG-15bisであることが知られています。王海自身も途中でbisに乗り換えたことを明言しているようで、これらの展示機は前期型の時の塗装と後期型の時の塗装を、それぞれ再現しているものと思われます。ただ王海機の問題は、前期型が既に撃墜マークの★を9個描いていることです。ってことは後期型になってから戦果を上げていないことになっちゃいますよね。仮に撃墜スコアの総数を信じるとしても、両方に★9個が付いていると言うことは、それが後に再現された塗装であることを物語っちゃってるような気がしますね。スコードロンシグナル社の本の表紙には、王海の前期型079番機の絵が描かれていて、そこでは★が3つなんです。スコードロンシグナルが当時の写真を元に表紙絵を描いたとすれば、★3個の前期型の写真が当時公開されていたということなのでしょうか。
 まあ王海のことは別の話として、これでこのニュース映画の機体がbis型であることが分かりました。その他のマーキングもほぼ明らかになりました。さて問題は「中國人民志願軍」という旧字体の文字です。

「人民志願空軍」デカールの使い方 その4

2009年04月22日 23時31分22秒 | 航空機(露・軍用機)
 今度は機首の左舷側です。これはパイロットの搭乗が終わり、キャノピーを閉め後、整備員がラダーを降りようとしているシーンです。ここではやや影になっていますが、この後ラダーを外すと、「中國」の「國」の字がよく見えるようになります。そしてご覧の通り、四個の星マークが描かれていますね。
 中共軍では、中まで塗りつぶした赤い★で撃墜を、縁だけの赤い☆で撃破を、それぞれ表す決まりがあるようです。事実★と☆を混ぜて書いた機体も存在しますので、これは撃墜と撃破を区別している例だと言えます。ところが、撃墜と撃破を区別せずに★ばかり、或いは☆ばかりを使っている例もあり、その辺りはいい加減みたいです。常連さんによると、北京革命軍事博物館の王海機は★が9個、北京高空博物館の王海機は☆が9個。王海の記録は「撃墜撃破9機」と書いてあるものが多く、結局星マークは撃墜と撃破を区別していないようだ、とのこと(もちろん実機ではなく、塗装再現である可能性大)。だとすれば、このニュース映画に出てくる機体も、縁だけの星4個というのが撃墜撃破のいずれを意味するのか、定かではありません。
 ついでに、世界の傑作機シリーズの『MiG-15“ファゴット”/MiG-17“フレスコ”』には、中共軍の戦果確認は米軍ほど厳密ではなかったというようなことが書いてあります。まあ中国ですからねえ。一方、以前読んだ朝日ソノラマの空戦記シリーズでは、ソ連軍の戦果確認は割と厳密で、朝鮮戦争で戦果をごまかそうとしたパイロットがいて、自分たちをだまそうとした人間にソ連共産党は容赦をしなかった、みたいなことが書いてありました。どこまで本当か分かりませんが、こうなるとぺぺリアエフの自伝と王海の自伝、ぜひ日本語訳が欲しいところです。

「人民志願空軍」デカールの使い方 その3

2009年04月20日 00時02分42秒 | 航空機(露・軍用機)
 このニュース映画には、書籍のスチール写真では見えなかった胴体後半が写っているシーンもあります。離陸滑走中のこのシーンを見ると、へえ、国籍マークは無しで、ここに機体番号が書かれているんですか。他のシーンも一生懸命見たのですが、尾翼だけではなく、主翼にもどうも国籍マークは無いように見えます。主翼下面の見えるシーンはありませんが、主翼上面に無いということは、下面にもなさそうです。いや、ソ連機の場合、国籍マークが主翼下面のみ、という例もあるのですが…。この辺りに触れた資料については、また後で採り上げることにします。
 さてもう一つ、この機番は何色で書かれているのでしょうか。機首の赤文字との写り方の違いを見れば、数字は黒で間違いないと思われます。白黒写真の濃淡から色を判断するという苦労は、WW2のAFVの考証ではよくあることですが、戦後の航空機でも時々必要になりますね。そう言えば、エアロマスターデカールの「Mig-15 Aces」でも、数字の縁が白か銀か分からないので両方入れといたぜ、自分で選んでくれよな、という部分がありました。

「人民志願空軍」デカールの使い方 その2

2009年04月18日 00時00分22秒 | 航空機(露・軍用機)
 もし朝鮮戦争に実戦参加したソ連空軍パイロットの機体を再現しようとすれば、エアロマスターデカールなどから発売されているデカールを信用して使えばよいわけです。リサーチのしっかりしたメーカーだから信頼度は高いと思われます。一方、中共軍の機体はと言うと、資料が決定的に不足しています。実戦部隊の前線基地での写真となると、現在の所ほとんど発表されておらず、ボケボケに修正の入った報道写真以外は、朝鮮戦争50周年前後から相次いで出版された中国の書籍にもほとんど見られません(これはうちの常連さんのお話)。だとすると、例えば航空博物館展示機を再現するとか、ニュース映画に写っているこの機体を再現するとか、ある程度割り切ってしまうしかないようです。

 で、前回掲示した上半分の白黒写真ですが、結論から言いますとこれは当時のニュース映画(プロパガンダフィルム)からのスチール写真です。このシーンが含まれるニュース映画は、常連さんがお持ちのVCDに収録されていたので、見せていただきました。そして同じフィルムの一部は「Youtube」でも見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=AioUMQ2VxCQ
ここの1分34秒から1分57秒まではそのニュース映画の一部です。おそらくこのニュース映画は朝鮮戦争の実戦時の映像ではなく、映画用にお膳立てされたものだと思われます。常連さんの意見では、機首に「中国人民志願空軍」という文字を描いたのは、この映画に出演する機体だけではなかろうか、とのことです。さてそこで、この映画に出てくる機体を再現するんだと割り切るならば、この映画を細かく見て行くことで一応模型製作に必要な情報は集めることができます。

 で、写真をご覧下さい。整備員の助けを借りてパイロットがコクピットに乗り込む場面です。この後に、パイロットが酸素マスクを着け、整備員が手伝ってキャノピーを閉じ、ラダーを外す場面が続きます。このカット、機首が大写しになっているので、文字がよく見えます。ん…? あれ…?
 中國 人民志願空軍
となっているではありませんか。「國」の字が使われていて、いわゆる中国の略字体(簡体字)が使われていません。台湾のおみやげでいただいたデカールは
 中国 人民志愿空军
という簡体字が用いられています。簡体字の「国」という字は日本の常用字体と同じ。「願」という字は簡体字では「愿」と、下が心になります。「軍」の中の車という字はこんな形になるんですね(みなさんのブラウザでは文字化けしてませんか?)。
 ってことは… このデカールでは、このニュース映画に出演している機体は作れないんじゃん!? これも常連さんによると、「漢字簡化方案」(方案は試案の意)が発表されたのが1956年、そして試行錯誤の上字体が確定したのが1964年だとか。だったら、1950年に始まった朝鮮戦争に参加した機体にこの略字体が使われていたはずはないんです。つまり、このニュース映画の機体に限らず、朝鮮戦争関係ではこのデカールは一切使えない、ってことですよね。前回の下半分の写真のように、航空博物館の機体だってちゃんと旧字体で書いているのに。うわー、せっかくのデカールだったのになあ… 1964年以降で「中国人民志願空軍」なんて文字を機体に書くようなな場面、あるのかな? ないよな。だったらそもそもこのデカール、何に使うものなんだ? まあその辺を知らないメーカーが安直に簡体字を使っちゃったんでしょうか。
 がっかりしたところで、ではこのニュース映画の機体を作るにはどうすればよいのか。話はまだまだ続きます。

「人民志願空軍」デカールの使い方 その1

2009年04月16日 23時23分18秒 | 航空機(露・軍用機)
 さて、台湾のおみやげとしていただいた「人民志願空軍」のデカール。これをどのように使うかという話を始めたいと思います。問題のデカールについては、ここ

 手始めに、機首に「中国人民志願空軍」の文字を書いたMiG-15の写真をネットから拾ってきました。上はこの文字を書いたMiG-15の写真として書籍などに最もよく見かける写真です。ところが、パイロットが一斉に愛機に搭乗するというカッコいいシーンが選べれているだけに、まことに残念ながら機体後半が全く写っておらず、国籍マークがどうなっているかが分かりません。他の資料も探さねばなりません。
 下の写真は北京郊外の航空博物館の所蔵機です。同じく機首に文字を描いた機体ですが、こちらは胴体後半がかろうじて写っています。これは星に八一の文字、その左右にウイング、という中国空軍の国籍マークですね。しかし、前にも触れましたが、うちの常連さんによると、中国の博物館では塗装を再現した別の機体を堂々と展示することがあるそうで、これが朝鮮戦争当時の塗装であるかどうかは信用できません。

 現在、朝鮮戦争に参戦した中共軍の航空機は北朝鮮のマークを付けていたということが知られています。いや、中共軍だけではありません。ソ連軍パイロットの搭乗した機体もマークは北朝鮮のものをつけていました。とすると、この博物館所蔵機の「八一」マークは、参戦前のものでしょうか、それとも戦争後元に戻したものでしょうか。
 素人なりに考えると、中国の朝鮮戦争参戦は、宣戦布告を行っておらず、あくまで志願軍(義勇軍)を派遣したんだ、という建前です。ソ連に至っては、直接航空兵力を送り込んでいることさえひた隠しにしていた状態でした。するといずれも、基本的には機体のマークは北朝鮮マークを付けていたということになるのでしょう。ならば「人民志願空軍」の文字を書き、なおかつ中国の「八一」マークを付けているという状態は、参戦前にとりあえず文字を書き、国籍マークはまだ描き直していない、という段階だと考えられます。
 ところが、エアロマスターデカール(AMD)のソ連人パイロット搭乗のMiG-15用デカール「Korean War Aces Aces Pt I / Pt II」(48-229/48-230)には、「八一」マークの機体と、ソ連の赤星マークの機体が、一つずつ含まれています。エアロマスターデカールの説明書には、ロシアの個人から提供された写真を元にマークを作成したようなことが書いてありますから、かなり信用に足る塗装例だと言えるでしょう。すると北朝鮮マーク以外に、「八一」や赤星のミグもいなかったとは言い切れません。
 では、この台湾みやげの「中国人民志願空軍」デカールを使う場合、やはり胴体と主翼には「八一」マークを使うべきなのでしょうか。いや、もうちょっと資料を探してみることにしましょう。それに皆さんお気づきでしょうか、字体そのものにもまだ問題がありまして…

大~失敗! トラペのスーパーパーシング

2009年04月14日 00時06分12秒 | AFV(米)
 ブログには上げなくても、日頃時間を見てちょこちょこ作業はしています。私にはプラモに触ることが一番の気晴らしなのでして。
 特に在庫減らしのために、手抜きでストレートに作る、という気楽な作業は自室やお茶の間でよくやります。で、トラペのパーシングシリーズの内、長砲身型のT26E4「スーパーパーシング」をストレート組みすることにしました。現在の所トラペのM26/M46のシリーズは、
 07299 US M26E2 Pershing Heavy Tank
 07288 US M46 Patton Medium Tank
 07287 US T26E4 Pershing Heavy Tank
 07286 US M26A1 Pershing Heavy Tank
 07264 US M26(T26E3) Pershing Heavy Tank
の五種類が出ているようです。もっとありましたっけ? トラペのミニスケールは、大した予告もなくどどっと出たりするので、抜けているものもあるかも…。
 で、どうもトラペのミニスケールキットは、ドラゴンと同様どこに落とし穴があるか分からず、気晴らしにならなかったりします。だから、よほど好きなアイテムでない限り、あまり神経を使わないことにしています。このシリーズでは、一応「朝鮮戦争に参戦したタイプ」ということで縛りをかけることにしました。そうするとさしずめM26A1とM46ということになりますか。これらのタイプはキャタピラがベルト式ではなく、プラ製連結式ですし。その他のものは在庫減らしという精神で、素組みしちゃおう、というわけです。

 ところが、気を抜きすぎたのか、大失敗をしてしまいました。写真は、素組みのつもりで作り始めたT26E4の足回りです。転輪のアームがみんな別部品。ええい、めんどくさいな。そこへもってきて、パーツの精度は悪いわ、説明書は今ひとつ分かりにくいわで、アームを取り付ける角度を完全に間違っちゃったんです。だって、説明書では角度がよく分からなかったんだもん…。
 アームのはまる車体側の穴の縁には、突起がついています。アームの位置を決めるための突起なのですが、本当はその突起の下にアームが来るべきはずのところ、あろうことか突起の上になるように取り付けてしまいました。説明図ではその辺りがよく分からなかった上に、この角度で取り付けると、車軸の突起が車体側のシリンダーらしき突起にしっかり接触するので、これでよしと解釈しちゃったんです。本当は仮り組みをして転輪の位置を確認すべきでした…。
 写真左側はアームの接着状況。真ん中の写真はそれに転輪を取り付けてみたところ。転輪の位置が上すぎて、明らかに車高が低すぎる。右の写真は正面から見たところ。ご覧のようにほとんど腹が地面をこすりそうです。あちゃー、アームの軸を切断してみんな接着しなおそうかな。
 ええい、これはもう放棄しよう。これに時間をかけても無駄だし、パーツ取りにも回せるし、次に朝鮮戦争参加タイプを作るときの貴重な経験にもなったし…ってことで。パチンコや競馬を趣味になさっている方も、一回に千円二千円負けることはあるでしょう? 模型趣味でもそのくらいスっちゃうこともありますよ。あは、あはははは…

ホビーボスMiG-17のデカール

2009年04月12日 00時03分49秒 | 航空機(露・軍用機)
 さて、MiG-15のデカールについて語りたくて仕方がないのですが、ちょっとその前にミグがらみということで、ホビーボスの最近の製品、1/48のMiG-17シリーズについて。このシリーズ、次の四種類が出ています。
 NO.80334 MiG-17F フレスコC
 NO.80335 中国人民解放軍J-5
 NO.80336 MiG-17PF フレスコD
 NO.80337 MiG-17PFU フレスコE
最初にフレスコCが出て、その後J-5とフレスコDが続けて入荷して、しばらく音沙汰がなかったのですが、最近 やっとフレスコEが入って、シリーズが完結したようです。
 フレスコCは機関砲装備でレーダーのない初期型、J-5はその中国自国生産型です。ちなみにJは中国語の「殲撃機」(戦闘機の意)のローマ字発音表記「Jian ji ji」の頭文字だそうです。ちなみに常連さんによると「Jian」は「ジアン」ではなく「チエン」に近い発音なのだそうです。「殲」という字の日本語の音読みは「せん」。日本語の音読みが「えん」の系統の場合、対応する中国語の読み方も「エン」になるんだとか。なるほどなるほど。
 続くフレスコDはレーダー装備の後期型、ただし武装は機関砲。フレスコEはレーダー装備で、機関砲を廃止し、ミサイルを装備したタイプ。ただし最近の研究では、フレスコEとして最初から生産された機体は無く、全てフレスコDから改造されたもの(それも少数)なのだそうです。

 さてここで採り上げるのは中国生産型のJ-5。中ソ関係が悪化した後、中国が自力で国産化したMiG-17の中国側呼稱ですね。デカールには有名な「中0101」番機が入っています。国産第一号機(1956年7月19日初飛行、パイロットは呉克明)で、現在北京航空博物館に保存されているようです。ただしこれも常連さんによると、中国の博物館では別の機体に塗装とマークだけ再現したものを堂々と展示したりするので、この博物館の「中0101」番機が本当に国産一号機の実物かどうかは怪しいとのこと。まあ、中国ですから…
 もうひとつ、このキットを買った方はお気づきでしょう。塗装例の3番目には、文化大革命の頃の、機首と胴体背面に何やら漢字が書いてある機体が載っています。さて、これは何と書いてあるのでしょうか。これも常連さんに読んでもらいました。
 まず機首の字は「務殲入侵之敵」で、毛沢東の言葉。「侵入する敵を必ず殲滅せよ」という意味。ここ
http://www.009e.com/pr/detail_152_159795.html
に昔のプロパガンダポスターが載っていますが、ここの字と同じ毛沢東の筆跡ですね。それから胴体背面は「大海航海靠舵手」で「大海を航海するには舵手に従おう」という文革時期のスローガンです。舵手ってのはもちろん毛沢東のこと。まあ日本でも当時はこういう言葉を後生大事に日本の教育に持ち込もうとしていた先生方がいらっしゃったとか。常連さんに聞くと、もしもこうしたスローガンを今の中国でマジに口にするなら、文革派か何かと見なされてまずいことになるかもしれないとのこと。でも、模型のネタとして平気で使われているということは、まあ平和なおかげだと言えるかも。で、J-5を作成する時にこの塗装例を選ぶかと言われれば… やめときます。模型としてかっこよくないもんねえ。

台湾みやげ その17

2009年04月10日 22時58分35秒 | キット評
 さて「中國人民志願空軍」の続きに入る前に、もう一つだけデカールの話を。長々続けてきた台湾みやげの話もこれでラスト。何と、「初音ミク」のデカールです。痛車用なのでしょうが、今なぜ初音ミク? そもそも台湾や中国では痛車というものが知られているのでしょうか。いや、でも、デカールを売っているということは、痛車を含めてこういうデカールの需要があるということですよね。台湾向け輸出のみということも考えにくく、大陸側でもそれなりに需要はあるんでしょう。
 パッケージの上の方に「MAN WAH」と書いてありますが、常連さんに尋ねたら、これは中国語の標準語の綴りではないとか。たぶん広東語だろうとのこと。で、パッケージに書いてあったURL
http://www.manwahmodel.com/
を見てみると、はたして「広州文華模型店」というところでした。文華という文字の発音は、標準語だと「Wen Hua」となるけれども、広東語だと「Man Wah」となるそうです。基本的には模型店なのですが、自社ブランドで「文華水貼」というデカールを出しているようです。「水」で「貼」るというのが中国語のデカールですね。「文華水貼」というところをクリックしてみると、おやおやいろんなものがあるようです。やはりガンダム用が多いようで、最初の方のMW-1035というのは「ガンダム00」で出てくる敵役「ティエレン」のデカールですね。「ティエレン」というのは漢字で書けば「鉄人(鐵人)」です。それにしてはこのページの「TERIREN」という綴りは間違ってますけど。正しくは「TIEREN」ですよね。他に「ちょびっつ」もありますよ。あれ、下の方には1/100、1/144の「ケロロ軍曹」(MW-1015)もある。これはちょっと欲しいかも。しかし大陸側の模型店も結構すごいことになっているようです。前々回、デカールの印刷が出来るところがあるのか、などと書きましたが、実際はこうした方面もかなり発達しているようですね。