みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その6

2010年07月22日 22時29分33秒 | AFV(英・チャーチル)
 すみません、もう一枚ディエップの写真。『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』(P.27)に載っている、ニックネーム「COMPANY」のMk.1です。同書によるとこの「COMPANY」は、ニックネーム「CHIEF」のMk.1に続いて右旋回しようとして左前方の車輪に被弾、キャタピラを切断され、海岸線の隆起の手前で動けなくなったようです。その後副操縦士が3インチ榴弾砲を発車しようとしますが仰角が足らず、歩兵が遮蔽物に使っている海岸隆起の向こうを射撃することができず、やむなく砲塔の2ポンド砲とBESA機銃を使用しました。さらに敵の迫撃砲弾を何度も受けますが、乗員は負傷することなく最後は捕虜となったようです。
 さて、ここの記述で気になること二つ。車体の3インチ榴弾砲について「after clearing the water proofing around his 3-inch howitzer with a smoke shell,」とあります。ディエップのチャーチルをよく見ると、ハッチや砲口に敗れた防水カバーがまだくっついているのが見えます。砲口に貼り付けた防水シートをわざわざ下車して人が取り外すことはありません。当然初弾で吹き飛ばすようになっていたと思います。ここで榴弾砲手が発煙弾を使ったというのは、初弾に榴弾を使うと防水シートに当たって危険だからでしょうか。いやそんな厚い防水をしていることはないと思われます。たまたま歩兵の援護のためにまず発煙弾を使ったのだと思います。
 もう一つ、「CHIEF」の後ろをついて行こうと右に旋回しようとしたように、ここは読めます。ただし全体が写っている航空写真を見ると、「CHIEF」はこの「COMPANY」から見てかなり離れた右後ろにいるんです。なぜそのような位置関係で擱坐したのかはよく分かりません。ただし他のページの記述からして、この「CHIEF」は早い段階で上陸した後、視界確保のためかなり海岸を動いているようなんですね。また「CHIEF」の後を「COMPANY」が追おうとしたのは、おそらく「CHIEF」がカーペット敷設装置を装備した車輌だったからだと思われます。
 さてここで話題になっている渡渉用ダクトですが、左舷側のダクトはまだついたままです。写真手前に一つダクトが転がっていますが、これがこの車輌の物かどうか分かりません。この車輌のものだとすると右舷側のものはずですが、それがこちら側に落ちているのは、もしかしたらこの車輌が旋回しようとしていたから、もしくは片側の履帯を破壊されて車体の向きが変わったからか。まだ装着したままの左舷側ダクトにも被弾した跡が見えます。これはおそらく本文にある迫撃砲弾によるものかもしれません。

ちょっと、なにこれ?

2010年07月18日 20時04分56秒 | Weblog
フジミのウエブサイトをみていたら…
これ↓
http://www.fujimimokei.com/newitem/index.html

なんだこれ? 新金型の新製品で、しかも1/72!

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「ドイツ軍用トラック、救護車仕様」
第二次大戦中のドイツを代表する軍用トラック!
主に物資、兵士輸送用に使用されましたが、
様々なヴァージョンが作られています。
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単に軍用トラックと書いてありますが、オペルブリッツですよね。私の不注意でしょうが、ホビーショーのレポートや、模型雑誌の新製品情報にも、見かけていないんですが。参考出品で1/72のティーガー1が展示されていたのは見ていましたが、このトラックも予告されてましたっけ?
 なんか、フジミがミニスケールの新製品を出してくれるなら、こんなにうれしいことはない、ですね。ティーガーもぜひ実現させて下さい! その後も新たなシリーズ化して下さい!
 タミヤからはいわゆる「ドイツ 3トン 4×2 カーゴトラック」が出ていますが、これにインスパイアされたものではないのかな…

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その5

2010年07月14日 23時23分06秒 | AFV(英・チャーチル)
 この話、もうちょっと続きます。この写真はディエップのチャーチルのものとしてはよく引用される写真ですが、車体の側に戦死した兵士が写っているため、その悲惨さに胸が痛みます。
 車体砲塔が写っているのでMk.1だと分かります。エアインテークカバーに書いてあるニックネームは「BURNS」となっています。『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』(P.27)によると、上陸後三分ほどで最初の鉄条網を超えようとしたとき被弾、窪みにのめり込む形で擱坐したので武装も役に立たず、乗員は脱出、内一名が負傷、一名が戦死したとのことです。ただしその戦死した乗員(副操縦士、つまり榴弾砲砲手か?)は「killed later in the morning」と書いてあるので、この写真に写っているのはその副操縦士とは別人かもしれません。
 この写真もよく見るといろいろなことが分かってきます。装着しているのは重量型の履帯です。ここで話題にしている吸気ダクトも写っています。写真手前、車体の右に一つ落ちています。そして車体のすぐ後ろには後部ダクトも見えています。竹槍型延長排気管は右側のものが取れてしまっています。各砲には防水用のカバーがまだ見えています。初段発射時に安全に破れてしまうようなタイプだと思われます。手前のダクトの側には無線機らしき物が転がっていますが、これは車内から持ち出した物なのか、歩兵が携行していた物なのかはわかりません。左後部フェンダーには予備履帯を載せているようです。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その4

2010年07月11日 23時59分46秒 | AFV(英・チャーチル)
 『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』に、さらにこんな写真が載っていました(該書P.18)。Mk.3の「ボビン」装着車輌です。ご覧の通りこの車輌のダクトは、少なくとも左舷と後方のものが残っています。おそらく右側も付いているのではないか。そうすると、通常は上陸と同時に投棄するダクトを、場合によっては装着したまま前進した車輌があるということになります。
 これはニックネーム「COUGAR」の車輌だと思います(C SquadronだからCで始まる)。この写真でも分かりますが、「COUGAR」は上陸後、護岸を超えて海岸の道にまで達することに成功した数少ないチャーチルの一輌です。ここまで到達できたのは、まさにボビンから敷かれたカーペットのお陰だと考えられるのですが(他の車輌は玉砂利にスリップして進めなかった)、しかしそのカーペット敷設に集中するため、あるいは敷設の邪魔にならないように、ダクトの投棄は後回しにされたのかもしれません。左右はよいとして、後部のダクトを投棄してしまうと、せっかくのカーペットの上に被さって邪魔になるかもしれませんから。
 さてこの本によると、「COUGAR」はここまで来てドイツの75ミリ砲弾を砲塔リングに被弾。僚車のMk.3「CAT」がこの75ミリ砲を沈黙させた後、そのまま自分の6ポンド砲でタバコ工場に向けて攻撃を続行。左の履帯を破損し、次いで右の履帯にも被弾して、乗員は脱出し、海岸まで退却。脱出時に乗員は車輌を自爆させたようです。
 このボビン、左右二本をキャタピラで踏みながら敷設するタイプだと思われます。ここに見えている心棒の左右に本来はアームがあって、車体側面に装着されているんですが、被弾の衝撃のためか既に取れてしまっています。それにしても、華奢な作りのボビンですね。ノルマンディーで使われたホバーツファニーズの工兵車輌の、本格的なカーペットレイヤーとは比較になりません。もちろんそのカーペットレイヤーの開発にもこのときの戦訓が活かされています。
 このボビンの改造パーツは「マタドール」から出ていて、以前レポートしたことがあります。え? すみません。まだ作っていません…。
http://blog.goo.ne.jp/m4-mee/e/70903098e2ebece95ff3cd52dc1922b4

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その3

2010年07月09日 23時59分14秒 | AFV(英・チャーチル)
 Youtubeもよく探すといろんな動画があって、模型作りに参考になるものがたくさんあります。ディエップに関してもいろいろありますので、皆さん試しに「dieppe」や「dieppe raid」で検索してみて下さい。そんな中に
http://www.youtube.com/watch?v=-68nQqsvC2c&feature=related
こんな動画がありました。この内の2分28秒あたりから、英本土での上陸演習とおぼしき場面が始まります。戦車揚陸艦から上陸しようとするチャーチルです。その1コマをキャプチャしてみました。
 よく見かける上陸演習の写真ですと、車体側面のエアインテークカバーを外しているものが多かった。車体側面に四角い穴が開いているだけ、という状態です。これは明らかに戦車揚陸艦の幅が狭いため。しかしこの動画ではエアインテークカバーはしっかり付いた状態で、その上で三方にダクトを装着して上陸しているんです。やはりこのダクトを使用する演習も行っていたということですね。
 ついでに、これは砲塔の形から見てこれは明らかにMk.1かMk.2ですね。おそらくディエップ作戦前後の演習だと思われます。ノルマンディーではMk.1やMk.2はほとんど使われていないからです(一部指揮車輌には使われたんでしたっけ?)。おまけに、履帯上面フェンダーがエアインテイク周辺のみとなっていることからも、ノルマンディーよりずっと前だと考えられます。
 またこのチャーチル、車体前方に土囊らしきものをたくさん積んでいるのが見えます。防御用なのか、それとも車体前方のハッチなどから水が入らないように積んでいるんでしょうか。入水時にざんぶと水を被るのはやはり前方ですからそこだけふさいだのかも(おかげでMk.1かMk.2かの判断ができない)。考えるに、実戦でこんなところに土囊を積み上げていては、前方火器が使えません。上陸時にすぐに投棄できるはずもないし。そうするとやはりこれは、演習時のみのやり方だったのかな。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その2

2010年07月04日 11時21分29秒 | AFV(英・チャーチル)
 もう一枚、『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』からの写真(該書P.16)。著者の考証によるとここに写っている車輌は、ニックネーム「COMPANY」(C troopの車輌だからCで始まります)。型式はMK.1、砲塔番号はF3。撮影位置、つまり擱坐位置は、揚陸艦TLC3の左斜め前方。満潮時の潮位から考えて、上陸後ほとんど波打ち際で擱坐したものと考えられます。
 この車輌をよく見ると、徒渉用ダクトは左舷が残っている。そして右側は脱落、よく見ると車輌の後ろに後部ダクトも転がっています。これ、乗員が意図して投棄したのではなく、被弾の衝撃で取れたのではないかという気がします。キャタピラは左舷が切断されている。他の車輌も、海岸線に向かって左側に被弾しているものが多いような気がするので、この方向からの砲火が激しかったのかもしれません。
 後部のダクトは半分車体の下に潜り込んでいますが、これは擱坐位置が波打ち際で、波でダクトが押し込まれたという可能性が考えられます。ただ、このチャーチルの後方にダイムラースカウトカーが写っています。スカウトカーに徒渉能力はあまりなさそうですから、スカウトカーを水深のある場所で揚陸艦から降ろすこともあり得ない。むしろスカウトカーの位置が波打ち際だったのかも。航空写真に写っている海岸の残留物や漂着物から想像するだけですから、上陸時の潮位どこだったかは、なかなか判断できないんですけど。もっとも何波かに分けて上陸しているので、このチャーチルとスカウトカーが同時に上陸したとは限らないんですけど。
 と、一枚の写真だけでもあれこれいろんなことが考えられるものです。でも、困ったこともあって、今までは、飛行機と違って車輌については特定の車輌を正確に表現できなくても適当でいいや、と思っていたのですが、チャーチルの一輌ずつのマーキングなどを調べ始めると、ますます模型製作が進まなくなるんです。作っちゃってから間違いが分かるといやだから、十分に本を読み込んでから…、なんて考えていると、もう泥沼ですね。考証は考証、製作は製作と分けて考えなければ…。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その1

2010年07月02日 00時39分26秒 | AFV(英・チャーチル)
 先日の日記に、えむでん殿からコメントをいただいていました。
http://blog.goo.ne.jp/m4-mee/e/c0c55bd96dc547d5cfa505b67b6ead3d
ディエップの写真では、竹やり型延長排気管だけしか写っておらず、エアインテークのタワーが装着されていないのはなぜだろう、とおっしゃるわけです。そういえばそうですね。私も、ご指摘いただいて初めて気がつきました。確かに上方に逆八の字に伸びた排気管は見かけますが、トランク型の吸気用ダクトは目にしません。しかし、英本土の演習でも、後のノルマンディーでも、使っている写真はありますので、この時に使用しなかったというのも変です。こうなると早速調べてみたくなりますね。いつも参照している『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』をまた引っ張り出してきて、眺めてみました。
 そうしたら、よく見るとタワー型のダクトは写真に写っていることが分かりました。問題は次のように整理できます。
1、ディエップに関してよく見る写真は、ドイツ側の軍事報道カメラマンが戦闘後に撮影したものがほとんどである点。そのため、写っている車輌はすべて撃破されて擱坐した後の状態であること。
2、タワー型のダクトは、テンションのかかった状態のワイヤーで固定されており、上陸後はただちに車内からワイヤーを解放して、外側に倒れる形で投棄されること。
 よって、揚陸艦を離れると同時に撃破された車輌は別として、ダクトを投棄後多少なりとも前進した車輌、さらに波打ち際から岸壁を越えた車輌などは、投棄されたダクトがすぐ近くにはない、ということが考えられるんです。竹槍型の延長排気管は一々投棄しませんので、そのままの状態で行動します。だから擱坐した時点では、装着した状態のダクトも、すぐ側に投棄されたダクトも、いずれも見あたらないとしても不思議はありません。

 そこで、上に挙げた写真集から、ダクトが写っている車輌を探してみました。写真をご覧下さい(該書P.61)。車輌のニックネームは読み取れませんが、Mk.3が写っている写真の一部です。ご覧のように、右エアインテークのすぐ下にダクトが転がっているのが見えます。この位置で投棄したように見えます。但し周囲の状況からしてこのMk.3は波打ち際から数メートル陸に上がっているようです。上陸時が満潮であったことを考えても、やはり何メートルかは前進している。ということは多少なりとも波打ち際から前進した時点でダクトを投棄したのでしょうか。
 写真右手前にもダクトらしきものが写っています。これはやはり別の車輌が投棄したものでしょうか。同じ車輌のものだとすると、もしかしてキャタピラを破損するか、玉砂利でスリップするかして、車輌が向きを変えたのかもしれません。もしくは、投棄後に波にさらわせて移動したか。この周囲にも何輌かのチャーチルが擱坐していますので、おそらく他の車輌のものである可能性が高いとは思うのですが。
 いずれにせよ、このように地面に落ちた渡渉用ダクトはいくつも確認できます。よって上陸時には使用されていたことは間違いありません。上陸後すぐにダクトは投棄され、投棄後に移動してから擱坐した車輌が多いので、ダクトは写真にあまり写っていない、と、このように考えられます。

SKPの英軍女性兵士ですが

2010年07月01日 00時00分46秒 | フィギュア(軍事)
 SKPから最近出た英軍の女性兵士ですが、087が「ATS Driver Samantha」で、088が「WAAF Driver Joyce」だそうです。最近、若き日のエリザベス女王という、めちゃピンポイントのフィギュアも出ました。もちろんティリーと組み合わせる、ってことですよね。
 で、サマンサさんとジョイスさんを最近になって入手しました。SKP独特の成形色に毎度ぎょっとしますが、出来としてはすばらしい。早く組み立てて、とにかくサーフェイサーをふりかけたくなりますね。それはそれとして、箱を開けた瞬間、なんだか小さいな、という感じがしたんです。で、以前買っていた英軍将校(右)と英兵(左)と並べてみました。
 ちょっと体格違いすぎませんか、これ? 西洋人は男女の平均体格に結構差があり、だからいわゆるお姫様だっこもやりやすい、なんて聞いたことありますが、それにしても、ほぼ同じ位置で横並びにしてこの差ですからね。ええと、最近増えてきた女性兵士フィギュアですが、マスターボックスやブロンコはどの程度の体格で表現していたっけな。また比べてみようかな。それと気になるのは、お肌の塗装ですね。どのくらいの色合いがよいのか。考えてみたら、今まで塗ってきたのはみんな男臭い人達ばかりですから…。アニメキャラのフィギュアとはまた違うし…。