みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

ミリキャストの新製品 チャーチルAVRE・カーペットレイヤー

2008年03月29日 23時59分37秒 | AFV(英・チャーチル)
 さて、ミリキャストの最近の新製品の一つ、チャーチルMk.4AVREのカーペット敷設型です。最近ミリキャストのウエブサイトでは、新製品がどんどん「What's new」にアップされます。
http://www.milicast.com/pages/new.shtml
いや、ここに発表されてからずっと楽しみにしていましたが、このたび大阪のホビーランドさんに入荷しました。
 で、問題のチャーチルカーペットレイヤーは三種類あります。
・UK126が麻布に金属棒を織り込んだタイプのカーペット(Hessian type)
・UK127が金属板をつないだタイプのカーペット(Metal Strip type)
・UK128がカーペットを敷設した後の空のボビン(Empty "Bobbin")
で、私が購入したのは空のボビンのものです。以前AVREの粗朶束(そだ束=Facine)運搬型を買ったとき、その粗朶束が一体成形で実によくできていたのはよかったのですが、一体抜きのレジンだけに非常に重く、支柱の強度に不安を覚えました。
http://www.milicast.com/british/uk_range/UK100.shtml
こんどのカーペットボビンも一体成形だと、この支柱では不安なので、思い切って空のボビンを選んでみました。敷設後の状態にするのが本来ですが、紙やプラ板など適当な素材で巻いた状態のカーペットを作ればもっと軽くできるし、また先端が自然に垂れ下がった感じにもできるのではないか、と思ったからです。
 車体上面、装填手ハッチにご注目。通常のチャーチルは右側が操縦手席、左側が車体機銃手席ですが、AVREはペタード迫撃砲を主砲としているため、車体左は装填手席になっています。中折れ式AVREの砲身を上に折り曲げ、装填手ハッチを開けて下から砲弾を装填するわけです。そのため通常は前後方向観音開きになっている操縦手席が、AVREでは前後方向のスライドドアに変更されています。
 それにしても、カーペットを巻くボビンの「芯」の軸、こんな形をしてるんですね。さすがミリキャストはそういうところに抜かりはありません。

ミリキャストのチャレンジャー

2008年03月23日 19時32分43秒 | AFV(英)
 さてチャレンジャー戦車、ミリキャストからも出ています。せっかくですから引っ張り出してきて比べてみました。エクストラテックとミリキャストでは、部品分割の細かさが違います。何より大きい違いは、ミリキャストお家芸の足回り一体成形でしょう。
 写真ではキャタピラ側面に一部段差が出来ていますが、こんなのはミリキャストではよくあること。段差部分を一度カットして、お湯で暖めて曲げて接着し直せばいいんです。私はミリキャストを愛してしまっていますから、こんな不良箇所も可愛いなと思えてしまいます。何度も申し上げていますが、あれだけディテールとオマケがテンコ盛りなのに、ドラゴンに対してはどうも腹が立って仕方がない。たぶんそれは、私の側の問題だけではなく、メーカー側の模型に対する愛情の有無に、私の愛情が呼応するんだと思いますよ。
 エクストラテックとミリキャスト、並べて比べてみましたが、サイズや形状に特に大きな差異はありませんでした。気軽に作るならミリキャスト、ディテールにこだわるならエクストラテック、というところでしょうか? いやいや、ミリキャストだってフル・レジンでこれですから、決して「気軽」ではありませんよ。
 吸気口カバーは、特にエッチングパーツがなくてもこれで十分でしょう。ミリキャストはよほどのことがないとエッチングパーツは使いません。GMCトラックのフェンダー回り、クルセイダー三連装対空戦車の照準器回りくらいでしょうか、エッチングパーツがセットされているのは。

 さて、ミリキャストをコンスタントに扱ってくれるお店、少なくなりましたね。情報では大阪日本橋のキッズランドも取り扱いをやめちゃったとか。そんな中、お店の対応の良さも品揃えの良さも、まちがいなく日本一の模型店の一つである大阪のホビーランドに、最近またミリキャストがどっと入荷したようです。
 前回入荷してからかなり間が空きましたが、ミリキャストのウエブサイトを見ていたら、なにやら「Trucks & Tracks in Folkstone」というイベントに参加するために新製品製作に忙しかった、なんて書いてあったりしました。でも「What's New」のページはよく更新されているし、いろんな新製品がどんどん追加されています。面白そうだなと思っておりましたら、その新製品も今回かなりホビーランドに入荷しているようです。ううう…、思わず発注してしまいました。次はその新製品を紹介したいと思います。

エクストラテックのチャレンジャー その3

2008年03月22日 14時23分57秒 | AFV(英)
 残りのパーツとデカールです。エッチングパーツとしては標準的な内容だと思います。ただフェンダーのステー、泥除けといったところはエッチングパーツでしか入っていません。レジンでの成形をあきらめてお得意のエッチングパーツに逃げた、って感じもせんではありませんね。特にキャタピラ前部のフェンダー部分は、レジンのフェンダー本体、レジンのサイドスカート、エッチングパーツの泥除け上面と、三つ正確に組み合わせなければなりませんので、ちょっと大変。
 デカールは三種類。左上の区画が英軍、右と下の区画が自由チェコ旅団です。なぜエクストラテックがチャレンジャーを出すのかな、と思ったらなるほど、一つはチェコ軍が使っていたかららしいんですね。英軍のチェコ人部隊がチャレンジャーを使っていて、終戦時にプラハに凱旋した、ということのようです。たぶんどこかに実車も残っているんでしょう。世界の戦車イラストレイテッドによると、戦後チェコに引き渡されたのは、クロムウェル168輌、チャレンジャー22輌、いずれもこの旅団の装備車輌だそうです。

エクストラテックのチャレンジャー その2

2008年03月21日 21時25分04秒 | AFV(英)
 エクストラテックのチャレンジャー戦車、車体等主要な部分はレジンパーツです。ではキャタピラは? ご覧の通りフォトエッチングパーツで出来ています。うわ~、さすがはエッチングのエクストラテックです。センターガイドが真ん中に立つように左右から折り曲げるようになっています。まあPARTやOKB Grigorovの製品だって、そうなってますよね。後は二枚重ね状態のキャタピラを、うまく車輪に馴染ませながら巻けるかどうか、というところです。こればかりは実際に作ってみないと分かりません。

エクストラテックのチャレンジャー その1

2008年03月20日 23時49分53秒 | AFV(英)
 前から模型店に入荷していて、ずっと気になっていました。エクストラテックの1/72「チャレンジャー」戦車。先日とうとう買っちゃいました。
 ドイツのティーガーも撃破可能な優秀な17ポンド砲はあるものの、それを搭載できる戦車がなかったイギリス軍、米軍のシャーマン戦車に搭載してファイアフライを作り、M10に搭載してアキリーズを作り、それぞれそれなりに成功しています。その影に隠れて今ひとつぱっとしませんが、このチャレンジャー戦車も17ポンド砲を搭載しています。
 元となったのはクロムウェル巡航戦車。17ポンド砲を搭載するために大きな砲塔を設計し、その砲塔を載せるため、車体が大型化されています。と言っても延長されたのは車体長のみで、転輪が一組増えています。車体幅の方はそのままですが、砲塔の乗る戦闘室部分のみ、フェンダーにはみ出すような形で幅が大きくなっています。ファイアフライの生産と配備が順調なので、あまり活躍しなかったように言われていますが、いやそうは言っても結構活躍したんだ、という話も聞きますね。でも車体は細長いし、砲塔は頭でっかちだし、正直あまりかっこよくはありません。

 さて、エッチングパーツで有名なチェコのエクストラテックからは、数多くのレジンキットが発売されています。このチャレンジャーもその一つ。今まで同社のレジンキットは作ったことがなかったので、どんな出来なのか興味がありました。写真はそのレジンパーツです。いや、フェンダーは薄いし、細かいところまで出来ているし、こりゃすげえ。これがインジェクションキットなら部品分割は標準的なのでしょうが、ミニスケールのレジンとしては分割はやや細かいと言うべきでしょう。これがもしミリキャスト製なら、車体部分はたぶん一体成形で処理しているところ。ダブルの転輪は二枚合わせの一体抜きになっています。で、キャタピラはどうなっているかと言うと…

イギリス兵の塗装 その6

2008年03月17日 23時48分17秒 | フィギュア(軍事)
 やっと結論らしきものです。日本ではイギリス軍車輌や軍服そのものずばりの色は発売されていません。でもヨーロッパでは、用途が細かく指定された塗料が出ています。例えば「AGAMA」というところのアクリル塗料には、「WW2 UK - Uniform Khak」というずばりの色があるんです。
http://tracks-n-troops.com/shop/index.php?manufacturers_id=5&main_page=index
ここのAG-B25をご覧下さい。もちろんウエブページ上のカラーでは正確なことは分かりませんが、大体こんな感じが書籍や映画で見る軍服の感じに近い気がします。クレオスのダークアースの赤みをやや減らしたような感じです。クレオスのカーキからも調整して作ることができそうです。

 各社のイギリス歩兵セットの塗装説明はそれぞれに塗料を指示していますが、いずれもなぜか「カーキ」には全く触れていません。いや、でもこれ、イギリス兵にも使えますよ。カーキではなくて、それがダークアースやフラットアースであったとしても、ビン生そのままでは使えないことに変わりはありません。だったら色合いを調整する素材としては「カーキ」でもいいんじゃないかな。ってことで、まずこのカーキを基調に軍服の色を決め、それとの対比でパウチ類の色も決めたいと思います。だいたいこういう色合いを参考に
http://www.ultracast.ca/products/35/034/default.htm
やや明るく調色するつもりです。

 ついでにイギリス軍の車輌の色についてですが、イギリスのメーカーからはイギリス軍車輌専用の塗料として「ブロンズグリーン」「ミディアム・ブロンズグリーン」「ディープ・ブロンズグリーン」などが発売されています。日本の製品はみんなダークグリーンとかカーキグリーンという言い方ばかりで、イギリスで用いられているブロンズグリーン系の名称を用いていません。そうすると、こうしたイギリス製の塗料の色合いは重要な資料になりますね。これは、AFVクラブのチャーチルが発売されるまでには一度整理しておかなければなりません。

イギリス兵の塗装 その5

2008年03月16日 22時53分15秒 | フィギュア(軍事)
 で、もう一つ気になっていること。Mr.カラーに昔からある、たぶんレベルカラーの時代からあった「カーキ」色のことです。Mr.カラー「55」、そして水性ホビーカラー「H81」のカーキですね。これ、用途がはっきり「日本、イギリス陸軍軍服ほか」って書いてあるんですよ。どのキットも全く指定してないけど、これは使えないの? もちろんタミヤの塗料、エナメルにもアクリルにも「カーキ」はあるけど、これはどうなのでしょう。
 Mr.カラーの「カーキ」は以前グンゼの時代に買っていました。でもあまり使った覚えがない。タミヤのは探してみたら買っていませんでした。つまりいろんなキットでこれらカーキそのものの塗装指定にあまり出会わなかった、ってことかな。ついでですから、タミヤのアクリルと、クレオスのMr.カラーを買ってきました。写真左がタミヤアクリル、中がクレオスのラッカー、右がまだグンゼだった頃のラッカー塗料です。
 よく見ると、真ん中の新しいクレオスのフタの色合いと、右の以前のグンゼのフタの色合いが、ちょっと違うのがお分かりでしょうか。もちろんフタの色と中の塗料の色はぴったり同じではありませんが、フタを開けて攪拌して、ちょいちょいと試し塗りしてみましたら、フタと同様両者の色合いにわずかに違いがあるように感じました。古いグンゼの方がやや赤みがあって、新しいクレオスの方がわずかに暗い。
 もちろん塗料というものは生産ロットによっても色合いが異なるくらい微妙なものだそうです。デザイン系の仕事をしていた友人に聞くと、気に入ったロットはまとめ買いしておくほどだったとか。だから、グンゼ時代とクレオスの違いは単に偶然なのかもしれません。ただクレオスは、同じ名称の塗料でも、考証によって色合いを調整しますよね。ドイツ戦車用のダークイエローやジャーマングレーなんて、我々が子供の頃と今とでは全く違う色合いですもんね。ドイツ空軍用の塗料もしかり。そうするとこのカーキの色合いも意識して調整されたものなのかもしれません。
 このカーキははっきり日本とイギリスの軍服に使えると書いてあります。ただ以前のグンゼのものはやや赤みがかっている。現在のクレオスのものはやや暗い。これは単なる想像で、何の根拠もありませんが、この色合いの変化は、最近増えてきた日本軍モノに併せたシフトなのではないかと思います。だから以前のグンゼのはイギリス軍にも使える感じだったのに、現在のクレオスのはどちらかと言うと日本軍向けなのではないでしょうか。
 写真の塗料ビンの背景に立てたのはドラゴンの六人組(6212)の箱絵ですが、ビンのフタの色合いで見ても、右のグンゼの方がやや赤みがあってイギリス軍の軍服に近い感じがしませんか。もちろんそのものズバリではありませんので、白や茶色を加えて調整しなければなりませんが。

 ついでですが、写真背景のドラゴン箱絵(ヴォルスタッド画)、ご覧の通りベルトやパウチ類をやや緑がかった色で描いていることがお分かりでしょう。一部弾帯はダークイエローですが。

イギリス兵の塗装 その4

2008年03月14日 23時46分09秒 | フィギュア(軍事)
 今度は1/35以外に、ミニスケールのキットの塗装説明を見てみましょう。以前採り上げたValiant Miniaturesの1/72イギリス兵はどうなっているでしょうか。
  ヘルメット:Foliage green
  軍服:Khaki
  ベルト・パウチ:Khaki drill
塗料番号は記していません。Foliage greenは「葉っぱの緑」というところ。鮮やかな緑は変だとしても、暗い緑系で塗ったヘルメットはあるようです。軍服はお決まりのカーキ。ベルトやパウチはカーキドリル。この「drill」は綿布・麻布のことだそうです。ただ箱絵はちょっと水彩画風で、あまり色の参考にはなりません。絵も実物を描いたと言うよりも、キットのパーツを描いたって感じかな。こちらをご参照下さい。

 次にイタレリ(旧エッシー)の軟質素材の1/72イギリス兵の箱に書いてある塗装指示です。
  ヘルメット:ModelMaster_1710(FS34079) ダークグリーン
  軍服:ModelMaster_1702(FS30118) フィールドドラブ
  ベルト・パウチ:ModelMaster_1712 フィールドグリーン
ヘルメットはダークグリーン。軍服はフィールドドラブ。「drab=くすんだ茶色、トビ色」ですから、野戦用のくすんだ茶色という軍服の用語なんでしょう。それからベルトとパウチ類はフィールドグリーン。これは緑系の色を指示しています。箱絵の色合いもそんな感じ。

 さあて、実際に自分が塗るときにはどの色にしよう…? タミヤの巡回セットあたりを1箱サンプルに使って、一人ずつそれぞれこの日記で採り上げた色の組み合わせで塗ってみて、比較すると楽しいでしょう。でもなかなか手間が掛かる。もうちょっと机上の空論を続けてみましょう。

 ふと思い出して、ドラゴンのイギリス空挺部隊とSASを見てみました。どちらも特殊部隊用の迷彩服「デニソンスモック」を着用していますので、上着は直接参考になりません。ではズボンは?
 イギリス空挺部隊「RED DEVILS(ARNHEM 1944)」(6023)
  ズボン:H72/22 ダークアース
 イギリスSAS連隊「2nd SAS REGIMENT」(6199)
  ズボン:H72/22 ダークアース
なるほど、ダークアースというのは納得できる。で、空挺部隊とSASのズボンは、一般の兵士のズボンとは違うのでしょうか? 洋書『British Soldier: From D-Day to V-Day』を見ても、空挺部隊やSASがデニソンスモックを着用した場合のズボンは、通常の歩兵のズボンとそれほど違う色合いには見えません。やや濃く見える写真もありますが、そんなに違いはありません。ん? ってことは?
 前回の日記で疑問だった6055の英連邦兵士の軍服の色は、
  H73/23 ダークグリーン
そして6023の空挺部隊と6199のSASのズボンの色は
  H72/22 ダークアース
つまり塗料の番号が隣り合っています。そうすると、6055の塗装指示が番号を一つ隣と間違った、正しくはダークアースのつもりだった、ということは考えられないでしょうか。説明図に書いてあるのは番号だけ。色の名前は書いてありません。だから番号を一つ間違えて書かれたら、我々は別の色にたどり着いてしまうわけです。でもドラゴンの6055は実は「H72/22」のつもりだった、ダークアースのつもりだった、それに違いない! もちろん英軍歩兵のズボンの色がダークアースだとすると、上着も同じダークアースです。
 ってことで、イギリス兵の軍服=ダークグリーン説はすっぱり無視する、と自分で納得することにしました。すみません。この話、まだまだ続きます。

イギリス兵の塗装 その3

2008年03月13日 23時46分13秒 | フィギュア(軍事)
 続いてドラゴンの塗装説明を見てみましょう。まず古い方の四人組み「BRITISH COMMONWEALTH TROOPS (NW EUROPE 1944)」(6055)です。
  ヘルメット:H85/45 セールカラー
  軍服:H73/23 ダークグリーン
  ベルト・パウチ:H71/21 ミドルストーン
ご存じHの番号はクレオスの水性ホビーカラー、その後の番号はMrカラーです。へ? 軍服が「H73/23 ダークグリーン」? このダークグリーンは半光沢「イギリス海空軍機迷彩ほか」用ってやつですよ? いくらなんでもそりゃねーだろ! え?ドラゴンの説明書など信用してはダメだろって? まことにごもっとも…。それにヘルメットが「H85/45 セールカラー」ってのもどーよ? ヘルメットの色ではなく、偽装網の糸の色のことなのかな? ベルトやパウチ類が「H71/21 ミドルストーン」というのはまだしも納得できるのですが(ちょっと暗すぎるが…)。いずれにせよ塗装指示が簡略すぎるし、箱絵の色合いと塗料の指示が合わないしで、ちょいと困ります。
 ドラゴンの説明図にはクレオス以外にイタレリカラーの番号も指示されていますので、そちらもチェックしてみます。
  ヘルメット:1706 sand
  軍服:1710 dark green
  ベルト・パウチ:1706 sand
色の名前についてはイタレリのウエブサイトで確認しました。イタレリの水性ペイントは4千番台だから、そちらと混乱したということは一応間ないと思います。うーん、軍服はイタレリカラーでも「ダークグリーン」かあ。ドラゴン本気でそう考えているんだなあ。ヘルメットとパウチ類は同じ「サンド」になっています。いや、ベルトやパウチが「サンド」というのはまだいいんですよ。でもヘルメットがサンド? それに、クレオスの塗料ではヘルメットとパウチ類で異なる色を指示しているのに、イタレリカラーではどちらも同じ1706を指示している、というのも変ですよね。
 もうひとつ、説明図の写真右上、「H85/45・1706」(セールカラー・サンド)の番号から線が2本出ていて、ヘルメットと水筒に繋がっていますね。つまり、セールカラーやサンドは水筒カバーの色のつもりだったんでしょうか。とにかくどこか間違っていることは確かです。

 ではではもっと新しい六人組み「BRITISH INFANTRY NORMANDY 1944」(6212)の塗装指示は、どうなっているでしょうか。
  ヘルメット:H78/38 オリーブドラブ
  軍服:H72/21 + H73/43(1:1) ミドルストーン+ウッドブラウン(1:1)
  ベルト・パウチ:H71/21 ミドルストーン
軍服は「ミドルストーンとウッドブラウンを1対1」なんだそうです。なるほど。こちらなら納得できます。ただこの軍服の上のベルトやパウチが「ミドルストーン」だと、軍服との色の差があまり出ないような気がします。いろいろ写真を見た感じでは、服とパウチはやはり色の差があるはず。それにこのキットのヴォルスタッド氏の箱絵、ベルトやパウチはミドルストーンという感じではなく、もうちょっと緑がかった感じだぞ。

イギリス兵の塗装 その2

2008年03月12日 23時56分01秒 | フィギュア(軍事)
 さて、タミヤの塗装説明から見てみましょう。タミヤの古い三人組み「イギリス歩兵セット」(MM107)では、簡単に
  ヘルメット:カーキ色
  軍服:カーキ色
  ベルト・パウチ:ダークイエロー
となっていました。ではこの三人組みの発売当時のカーキ色って、どんな色だったかと言うと、私はパクトラ・タミヤのカーキ色としてはっきり覚えています。模型店でこのカーキ色を買ってきてみたら、箱絵の軍服の赤茶色とはかけ離れていて、また「コンバット!」のイメージともかけ離れていて、子供心に驚いたから、鮮明に記憶しているんだと思います。でもまあ、軍服はそれでよいとして、ヘルメットもカーキ色というのは少々疑問です。
 ではタミヤの新しい五人組「イギリス歩兵巡回セット」(MM223)の塗装指示はどうなっているでしょう。
  ヘルメット:XF-62 オリーブドラブ
  軍服:XF-52 フラットアース
  ベルト・パウチ:XF-49 カーキ
です。なるほど、ヘルメットはオリーブドラブですか。昨日挙げた洋書『British Soldier: From D-Day to V-Day』には、恐らく個人のコレクションと思われるヘルメット各種の写真が出ているのですが、やはりオリーブドラブが妥当なところです。もちろん米軍のオリーブドラブとは色合いが少し違いますが、そこは微調整すればよいこと。問題の軍服はフラットアースが指示されています。ってことはこの巡回セットでは軍服をやや淡いレッドブラウンくらいだと考えているということです。そしてベルトやパウチはカーキ色。この軍服とパウチとの色の対比は、巡回セットの箱絵に近い感じ。
 面白いのは、古い三人組みでは軍服がカーキ色だったのに対し、新しい巡回セットではベルトやパウチの方がカーキ色だと言うことです。昔は情報量が多くなく、カーキと言えば軍服色ということでそのまま塗装指示とした、でも現在ではいろいろと考証が進み、実際の色に近い塗料をちゃんと選んで指示した、ということだと思います。

 ここでちょっと脱線。「カーキ色」という言葉はそもそもどんな色を表すのでしょうか。試しに『Oxford 現代英英辞典』を引いてみますと、
 1. a strong greenish or yellowish brown fabric, used espexially for making military uniforms
 2. a dull greenish or yellowish brown colour
  1、緑もしくは黄色の強い茶色の布地。特に軍服を作るのに用いられる。
  2、やや緑がかった、もしくは黄色がかった茶色
なるほど、とにかくカーキ色とくればまず軍服の色というのが基本なんですね。黄色の入った茶色、というとちょうどタミヤエナメルのカーキの感じでしょうか。緑の入った茶色というとどんな感じでしょう…。でも『Oxford 現代英英辞典』には「カーキ」の語源までは書いてありません。そこで『ジーニアス英和大辞典』を見ますと、語源について触れられていて、
  (19c)ヒンディー語khaki(ほこりっぽい、ちり色の)より
と書いてあります。なるほど、「埃のような色」から来ているんですね。ところがさらに『研究社新英和中辞典』を見てみますと、
  ペルシャ語「ほこり(色)」の意
と書いてありますよ。おいおい、ヒンズーとペルシャどっちなんだ? しかし「埃のような色」から来ていることは確かなようですね。