みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

王海著「我が闘いの生涯」(下)04

2014年07月23日 07時08分04秒 | 書籍
 戦闘機は瞬く間に前進する。地上との無線交信を聞いていると、私の心も空を飛んでいるような気になる。戦闘が速く始まらないかとじりじりしていた。
 張滋は「攻撃」の命令を聞くと、冷静に操縦を続け、発砲のための有効距離に達するやゆっくりと発射ボタンを押した。一本また一本と火の筋が敵機に向かって撃ち出される。無駄弾も無く、敵機に命中した。
 38分15秒、張滋から勝利の知らせが入る。「敵機の左翼が発火、落ちて行きます!」
 「よし、よくやった!」我は我慢できずに言った。指揮所は喜びに沸いた。
 39分30秒、指揮所は「その場で旋回し、敵機の墜落を確認せよ」と命じた。
 「敵機は既に墜落、大きな火の手が上がっています」張滋はその場で一周旋回した後報告して来た。
 22時41分15秒、張滋は命令を受けて帰途につき、指揮所の誘導により無事着陸した。
 我々は直ちに彼を迎えに行き、彼の敵機撃墜を祝った。
 翌日の午前、敵機は浙江省蕭山の東北3キロ地点に墜落したことが明らかとなった。それはC-46型特務機で、残骸の付近で9人の遺体が発見された(C-46の乗員は通常4人)。さらに74元の現金があり、飛行士の日誌には、合い言葉に「花火と傘を使用のこと」と記されていた。このことから考えるに、この航空機はスパイを降下させようとしていた可能性が排除できない。
 我が師団は防空作戦において、夜間侵入の敵機を初めて撃墜したことになる。この勝利は、我が師団の戦闘力が新たな段階に達し、昼間のみならず、夜間においても敵機を撃墜できるようになったことを示していた。全師団の戦闘指揮者を鼓舞し、飛行能力と戦闘能力を兼ね備えた全天候戦闘部隊を作り出すべく努力せしめることとなったのである。(続)

王海著「我が闘いの生涯」(下)03

2014年07月10日 00時01分47秒 | 書籍
 事前に決めてあった戦闘当直の順番により、師団飛行主任の張滋が慣れた様子で飛行用装備を身につけ、素早く飛行機に搭乗して、22時07分に準備を完了した。敵の機種は不明で、大型航空機としか分かっていなかったので、張滋は照準器の目標翼長設定ダイヤル〔原文は「翼展刻度」。wingspan adjustment dial。距離何メートルで機影が照準器上の目盛りの大きさに見えるかを、目標の大きさによってあらかじめ設定しておく〕を35メートルに合わせた。この時敵機は連続して国境を侵犯しており、22時16分浙江省永康の北26キロメートル地点の上空に達した。方位10度、高度3000メートル、速度毎時300魯メートルである。軍指揮所の命令を受けて、我が方の機も直ちに離陸した。地上管制員の誘導のもと、敵機の飛来する方向に向かったのである。
 任務分担によれば、離陸は師団指揮所の誘導により、そして我が機が航路に入ったら、軍指揮所が誘導を引き継ぐ。敵との接触が間近となると、レーダー誘導ステーションの誘導に変わる。この戦闘は、空中と地上の師団・軍レベルのとの緊密な指揮連携により、夜間の複雑な気象のもとで敵機を撃墜した典型的なケースとなった。
 我が方の機は22時16分30秒に離陸し、師団指揮所の誘導により方位220度で飛行し、雲を抜けて高度3000メートルに達し、戦闘コースに乗った。22分25秒、軍指揮所が誘導を引き継いだ。
 刻一刻と時間は流れ、司令室内は静まりかえっている。私と当直の誘導員達は息を殺し、瞬きもせずに、テーブル上に広げた敵味方の航跡表示を見つめて、この得がたいチャンスをパイロットが逃さぬように念じていた。
 パイロットは地上の誘導に従って敏速に操縦し、じりじりと目標に近づいていた。
 22時37分45秒、張滋は薄雲の向こうに点滅する四つの光を見つけ、「敵機発見、攻撃許可を請う!」と興奮して叫んだ。
 「攻撃せよ!」軍指揮所は直ちに命令を下した。(続)

MiG-17、VHFアンテナの接着位置

2014年07月07日 00時17分40秒 | 航空機(露・軍用機)
 またまたついでに、MiG-17FのVHFアンテナの取り付け位置はどうでしょうか。MiG-17はかなりの部材にMiG-15と同じものを用いています。アンテナもたぶん同等のものだと思われます。HobbyBossの1/48キットでは、トップ画像の赤い矢印のようになっています。胴体左右の接着線上にアンテナが来ていますね。アンテナのない方の、胴体右半分パーツの接着面には、このアンテナを受けるための窪みがついているくらいですから、アンテナはばっちり中央線上に来ることになります。やや拡大すると、

こう。また接着面の側から拡大して見ると、

このようになっています。アンテナが単なる板ではなく、中央がやや膨らんだ形状になっている点は評価できます。
 他の角度からパーツを見ると、

こうなります。MiG-15bisにもあった同心円状の筋彫りはしっかりありますが、それがアンテナとは無関係な位置になっています。これもMiG-15bisの時と同様に、アンテナを一旦カットして、この同心円の中央に再度接着する、というのがよさそうです。
 このあたりが写っている実機写真も、探してみると意外とないものですが、こんなのがありました。

整備中の写真なのでアンテナにカバーがかかっていてやや見にくいのですが、取り付け位置と取り付け角度はよく分かります。やはりやや左にオフセットされていて、真上ではなく、機体外板に沿ってやや外側に寝ています。

MiG-15、VHFアンテナの接着位置 その3

2014年07月04日 00時00分10秒 | 航空機(露・軍用機)
 MiG-15bisの背中のVHFアンテナについての余談です。トップ画像はタミヤのキットの箱絵。冬のミグアレイ上空という設定でしょうか。ここにもVHFの板状アンテナが見えています。この取り付け部分を拡大すると、こうなります。

アンテナの位置に関する限り、パーツの方が正確で、箱絵はちょっと違っているようです。取り付け位置が真ん中(垂直尾翼の前方)に見えますが、もうちょっ左、画面で言えばもうとっと下になります。またアンテナには後退角はついていません。真横から見たらまっすぐ上に向きます。
 以上の結論としては、タミヤのVHFアンテナは一度切り離し、取り付け位置の同心円状のパネルラインをきれいに彫り直し、最後に同心円の中央にアンテナを接着し直す、ということになりそうです。

 ついでのついでですが、もしMiG-15bis各部を改造して初期型のMiG-15に改造する場合はどうなるかと言うと、まずこのbisの板状アンテナは使いません。代わりに電波透過部材で作られた突起が付くのですが、そのあたりが写っている写真が、同じマッシュルームプレスの「Mikoyan Gurevich MiG-15」にありました。こうなります。

こちらの取り付け位置は、胴体上面の中央線上でよいようですね。CIROモデルの初期型改造キットにも、ここまでのパーツは入っていませんので、プラ板などで自分で作らなければなりません。エデュアルドの1/72も初期型にはこの小さな突起をつけるとよいと思われます。まあ簡単な作業ですが。

MiG-15、VHFアンテナの接着位置 その2

2014年07月02日 00時00分59秒 | 航空機(露・軍用機)
 MiG-15bis胴体背面のVHSアンテナの、取り付け位置が分かるような写真はないかと探していましたところ、ポーランドのマッシュルームプレス・イエローシリーズの近刊「Mikoyan Gurevich MiG-15」にこんな写真が載っていました。

黄色の矢印をつけたのがVHFアンテナです。明らかに中央軸線より左にオフセットされており、同心円状のパネルラインの中央に位置しています。その斜め前方には、青い矢印をつけた、Г字型に曲がったパイプが見えます。これは模型ではほとんど省略されていますが、エンジン冷却用の空気取り入れ口です。さらにVHFアンテナ基部を拡大すると、こうなります。

写真では分かりにくいのですが、外側の同心円には、タミヤのパーツのようにネジ頭がならんでいます。これで見ると、内側の同心円はアンテナのブレードと一体になっているようですね。また、アンテナを取り付ける角度ですが、基軸の垂直線の向き(垂直尾翼と同じ方向)ではなく、アンテナ取り付け位置の機体表面接線に対して直角(垂直尾翼と比べれたやや斜め外向き)になるのが正しいようです。つまり機体の断面を円形と見たときの円の中心からでる放射線の方向ですね(ええい、文章にするとめんどくさい)。
 ちなみに写真右上に写っている、ピンクの矢印をつけた金具は、もちろん実機にはないもので、博物館でこの機体を空中に吊して展示するために取り付けたワイヤーの基部です。