みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

新東宝映画「第二次世界大戦」

2010年11月04日 00時12分09秒 | 映画
 これはいままでほとんど知られていなかったことですが、実はM3グラント戦車には左右対称の鏡像型が作られていたんです。写真をご覧下さい。下半分は我々が見慣れた、車体右側スポンソンに75ミリ砲を装備したタイプですが、上半分は同様のスポンソンが明らかに車体左側に付いていますね。
 M3リーとグラントとの違いは、その砲塔にあることはよく知られています。英軍が無線機を搭載するスペースを有する大型砲塔を望んだため、再設計された大型砲塔を載せたのがグラントです。ところが英軍がリーに抱いた不満はそれだけではなかったのです。75ミリ砲が車体の片側にしかないことも、同時に問題とされました。要するに、車体の右方向は射撃できるのに、左方向になると射角が極端に制限されるのです。そこで英軍では、75ミリ砲を反対の左側に装備した鏡像タイプを並行して生産することとなりました。つまり、一個小隊に右タイプと左タイプを半数ずつ配備し、それらがお互いに死角をカバーし合いながら連係して行動するよう訓練することにしたわけです。ちなみに、75ミリ砲が反対側に移った分、砲塔は車体の右寄りになりました。

って、嘘ですよ~、嘘!

 この写真、実は以前ヒストリーチャンネルで放送された新東宝映画「第二次世界大戰」のシーンなんです。ドキュメンタリー映画でして、製作当時の日本の風景も交えながら、第二次大戦を回顧する形で、記録フィルムを組み合わせつつ、北アフリカから始まって欧州戦線を概観する形になっています。
 ふんふんなるほど、まあよくまとまっているわい、とぼんやり長めながら……ん?今のはなんだ? 目にとまったのは、見慣れたグラントとは反対の位置に75ミリ砲を装備した変わり種グラントだったんです。ありゃ?そんなタイプはあるはずがないんだが?
 で、しばらく映画を見ていて、やっと理由が分かりました。これドキュメンタリーと言いながら、映画全体が演劇タッチになっているんですね。特に北アフリカの砂漠戦の映像では、広々とした砂漠を背景に車輌が走り回るので、特に英独の車種を知っていなければ、どちらが英軍でどちらがドイツ軍なのか、見ている人によく分かりません。
 そこでこの映画、役柄で進行方向をそろえたんです。つまり、ドイツ軍の車輌はすべて画面の左から右へ進むように、反対に英軍の車輌はすべて画面の右側から左側へ進むように、元の記録フィルムを必要に応じて無理矢理反転して使用して、いかにも右と左から両軍の車輌が激突するように演出したんですね。
 だからこのグラントの映像も、全体として英軍の戦車部隊が右から左へ動くように、裏焼きした状態にされちゃったんです。この写真はちょうど車輌が前を向いたところを選びましたが、その前後ではグラントは画面右から左へ進軍して行きます。ドイツ軍はその逆。他の戦車なら、よく見ないと裏焼きされていることに気づきませんが(例えば車体機銃の位置など)、グラントだけは左右裏焼きがめちゃくちゃ目立った、というわけです。写真下半分のように、戦闘が終わった後の、しかも画面奥から手前へまっすぐ走ってくる場面では、特に裏焼きはしていないんですね。あー、びっくりした。

 この映画、企画製作はすべて日本の新東宝が手がけていますが、テロップに「この映画に使用せる外国の場面は英国陸軍省の好意により資料として提供されたものであります」とあります。ただ、裏焼きしたのが英陸軍省なのか新東宝なのかは分かりません。制作年もどこにも書いてなかったのですが、中に「先ごろ板門店で休戦協定が結ばれた」と出て来ますので、1950年代半ばの作品でしょう。おお、これだな。
http://movie.walkerplus.com/person/109848/
「1954/2/1公開」とあるから、間違いありません。
 ついでに、ヒストリーチャンネルはお約束で番組の最初に「作品のオリジナリティを尊重して公開当時のまま放送いたします」と注意書きをつけています。あはは、違ぇねえ! 裏焼きのグラントもそのまま放映しているんですからねえ。

ヒストリーチャンネルのドキュメンタリー番組 その2

2010年10月29日 00時00分02秒 | 映画
 で、前回左右反転して使い回されていたドイツ兵行進シーン、どちらが本来の画像でどちらが反転された画像なんでしょうか。軍装からすぐ判断できるはずだと思ったら、簡単に判明しました。画面を拡大した写真をご覧下さい。ドイツ兵の胸の、鷲のマークの国家紋章ですが、ドイツに関する私の乏しい知識を以てしても、それが右に付くことは知っています。ところが、兵隊が右向きに行進しているシーンを拡大すると、国家紋章が左胸についているのが分かります。こっちが反転されたものであることは明らかです。
 ついでに、小銃のコッキングレバー(棹桿)にご注目。コッキングレバーは銃の右側についていることは常識です。この画像だとほら、左側についているんです。これもこちらが反転画像である証拠。

 さてこのドキュメンタリー番組、前回触れたように、当時のドイツをめぐる情勢の推移が分かりやすく説明されているし、また個々の兵種・兵器・戦役などについても常識的な事項を分かりやすくまとめています。奇説をセンセーショナルに述べ立てるような番組では全くないわけです。
 ただ、日本語字幕の細かいところには、やはり気になるところがありますね。例えば「replacement」を「交代要員」と訳しています。まあ間違っているとまでは言えませんが、しかし軍事関係では「replacement」は「補充兵・補充兵員」と訳すのではないかと思います。また、我々モデラーからすると、「マークIV戦車」ってのはどうかねえ。もちろん英語ではMk.IV Tankと呼ばれたわけですが、それをマーク4とやっちゃうと、日本の標準的な言い方ではなくなる。やはり「IV号戦車」と言いたいところです。かと思うと、一方ではソ連の対空砲のところに「85mm52-k 高射砲」と、やたら細かいことが書いてあるのも面白い。

ヒストリーチャンネルのドキュメンタリー番組

2010年10月26日 01時30分54秒 | 映画
 先日、CSのヒストリーチャンネルで海外のドキュメンタリー番組「第二次世界大戦~ナチス・ドイツの戦略と兵器~」というのをやっていました。【ドイツ再統一20周年記念企画 】の一つだそうです。全十回の連続ものです。原題は「The War Machines of WWII, The NAZIS」で、Creation Filmsの製作です。あ、DVDで出ているこれと同じ番組ですね。
 ハードディスクに録画して少しずつ見ているんですが、かなり丁寧に作られている感じで、ナチ憎しの一点張りではなく、もちろん賛美でもなく(ナチを賛美するものなんて放送できません)、また当時の情勢の推移や兵器開発の経緯が分かりやすく解説されています。第三回でもう終戦になっちゃうので、その後はどうするのだろうと思ったら、それ以降は陸海空の各兵種や兵器、戦役などに的を絞ってまとめられています。これなら、子供に見せて勉強させたい気になります(NHKの番組など比較にならない)。
 ただ、この種の番組の常として、記録映像を適当に当てはめているところがあって、我々モデラーからしても不満がある。例えば、ポーランド侵攻作戦のところでツィメリットコーティングを施したパンター戦車が出てくる、なんてのは当たり前になっているんです。各戦闘場面も、本当にそこで話題になっている作戦の時の映像なのかどうか、非常に怪しい。兵士の服装からして時代が違う感じがするところもたくさん。
 ただ、見ている側が映像を解釈しながら鑑賞することができるならば、他の番組ではあまり目にしたことのない映像も結構あって、勉強になると思います。

 で、ちょっと面白い場面を見つけましたので、ご覧下さい。例によって、デジカメでテレビ画面を直接撮影したので、干渉縞が出て見にくいことをお詫びしておきます。これ、フランス侵攻の話の前後で相次いで使われている映像です。行進するドイツ兵の胸ポケットに、おばさんが一人花を挿そうとしています。ところが、そのすぐ後、あれ?と思いました。別の場面でもまたおばさんが花を挿そうとするんですね。但し、兵士の行進する向きが違います。
 そうなんです。同じフィルムをいろんな場所で使い回す、ってのはこの番組常にやるんですが、でもここはただ使い回すだけではなく、左右反対にひっくり返して使っているんですよ。だから兵士の行進する向きが違うので、ぱっと見て別の場面に見えるというわけですね。でもちょっと注意して見れば、全く同じフィルムの左右反転だと分かります。ほぼ同じ場面を上下に並べてみました。ね、おばさんも、手前の将校も、周りの子供や群衆も、兵士の背景の塔やそこに登っている人物も、完全に同じですね。ナレーションに対して映像の時間が足りなかったのでしょうか。でも、全体が丁寧に作られているだけに、こういうところは手抜き感が漂います。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その17

2010年10月05日 00時01分09秒 | 映画
 さて、敵役(かたきやく)の米軍のパイロット、サンダージェットで主人公達と死闘を演じた挙げ句、中国軍の基地を直接爆撃するという作戦に出ました。でもどっちみにプロパガンダ映画ですから、かならず敵役がやられます。これは撃墜される瞬間、うわーっと最後の叫びを上げる中国人俳優、もとい、米軍パイロット。その後、ドカーンと吹っ飛ぶわけです。懐かしい戦隊ヒーローもので、悪者の怪物は必ず最後にひと言叫んでから爆発してしまいますが、ちょうどあれと同じですねえ。
 で、このシーン、パイロットの頭の上にもなにやらポスターかピンナップ写真かが貼ってありますよ。もう、そりゃちょっとやり過ぎだろう! しかし違うんですよ。こういうお笑い映画では、登場人物の役柄や性格を、コスチュームや小道具やその他の「記号」で表現するわけです。善玉はこうで悪玉はこう、顔を見なくてもコスチュームを見れば誰か分かる、ってそういう表現方法ですね。このあたりは伝統劇と同じ。ピンナップはこれが米軍ですよ、という記号なんですね。あきらかに顔が白人っぽくなくても、明らかに中国人がメークしているんでも、ピンナップ写真があったらはい、これは米軍ですよと見なさなければならない。そういうお約束の記号なんですね。
 もう一つ、このシーンのカメラが少し引いてくれているお陰で、この飛行機の風防フレームの形状がよく見えるんです。この窓枠、そして視界を確保するために機体から左右に貼りだした出窓みたいな風防。ワイパーもついている。まさに、アントノフAn-2ですよ。もしもスタジオに作ったセットなら、なにもAn-2そっくりに作る必要はありません。たぶん実機のAn-2をそのまま撮影に使ったんでしょう。中国ではAn-2が民間軍用いずれも大量に使われていたので、撮影用に使うには持ってこい。掲示板の常連さんも、いろんな空港で駐機しているAn-2をたくさん見たそうです。当然今も飛んでいるんじゃないかな。ってことでこの映画、こういう細かいツッコミをしながら見るには大変楽しい作品です。でも見終わった後は、やっぱり空しさしか残りませんが。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その16

2010年10月03日 16時44分37秒 | 映画
 さて物語の終盤、MiG-15の攻撃に業を煮やした米軍は、護衛機を多数つけた上で中国軍の基地に爆撃機を差し向けます。ん?ってことは、米軍が満州との国境を越えて安東基地を爆撃したってこと? まあ、お笑い映画ですから歴史的事実を云々するのはやめにしましょう。
 でそのシーン、模型でちらりと出てくる米軍の爆撃機、双発機らしいんですね。映像では、ジェット機のつもりかプロペラ機のつもりか、よく分かりません。朝鮮戦争に米軍が投入した創発爆撃機、って何がありますかね。B-26C(A-26)かな? まあ、お笑い映画のことですから。
 で、写真はそのコクピットのシーンです。もう、いろんな意味で笑えます。まずこのパイロットのおじさん。全然アメリカ人っぽくないんですよね。中国人の俳優がメークをして米軍パイロットを演じているんです。わざとらしくスカーフをしています。それから彼の背後をご覧下さい。綺麗なお姉さんのピンナップ写真が貼ってありますよ。あはは、ステレオタイプにもほどがある。当時アメリカ兵と言えば、こんな感じに描いておけばOKだったんでしょうか。お姉さんの写真の上に文字が見えます。はっきり判別できないのですが「LUCKY」「LEVEL best!」と読めるようです。何かのポスターかな?
 そしておじさんの後ろにはなにやらカーテンみたいなものが見えます。副操縦士との間を仕切る必要はなさそうなのですが、仲が悪かったのかな? たぶんこのシーンも、何か既存の機体のコクピットを実際に使って撮影したのかもしれません。でもこのカーテンを考えればやはり、スタジオに張りぼてで作ったセットなんでしょうか。この正体が、意外なところで明らかになるんですが、それはまた次回。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その15

2010年10月01日 00時00分16秒 | 映画
 先回も指摘したようにこの映画、空軍が全面協力した国策プロパガンダ映画なのに、MiG-15の実機の空中飛行シーンは決して多くはないんです。やはり空中撮影は技術的に難しかったんでしょうね。一方地上シーンでは結構実機が出演しています。あと、地上から撮影した離着陸のシーンも結構あります。この写真はその着陸直後の機体を撮影したシーンの一コマ。
 エアブレーキの形やアンテナの形からして、明らかにMiG-15bisです。おや?でも、キャノピーにバックミラーがありませんね。先日お見せしたように、地上シーンで使われている実機MiG-15bisは、キャノピー上方にバックミラーの追加された改修型でした。朝鮮戦争当時には無かった装備です。ところが今日のこの写真、よく見るとキャノピーの上にバックミラーが見あたりません。もしかしたら同じ基地に配備された機体にも、バックミラーの有るものと無いものが存在していたのかもしれません。もちろん、あちこちの飛行場で別の部隊を撮影した可能性もありますが、ただこの機体に書かれた「中國人民志願軍」の文字は、おそらく撮影用に書き足されたもの(朝鮮戦争当時のものではない)。すると、あちこちの基地で機体に文字を書いたと言うよりは、撮影に協力した同じ部隊の機体である可能性の方が高い。まあキャノピーにバックミラーが無い方が、MiG-15らしいと言えばそうですね。
 さて、昨今のニュースを見ているとますます中国という国がごにょごにょになりますが、まあこのブログは単に模型に関連する話題を取り扱っているだけですし、またプロパガンダ映画のくだらなさを笑っているだけで他意はありません。悪役キャラをいかにも憎たらしく作るのも模型の楽しみですしね。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その14

2010年09月20日 00時01分33秒 | 映画
すみません、前回の記事、写真が間違っていました。前回は計器パネルの話、今回は飛行シーンの話です。

 この映画、軍が撮影に全面協力しているプロパガンダ映画だとはいえ、空中戦ではほとんど実写は出て来ません。みんなミニチュア撮影。実機の飛行はそんなに多くないのは、やはり空中撮影が大変だったからなのでしょう。空中戦そのものでは実機撮影は皆無。他に編隊飛行や離着陸、といったシーンは実写です。その一つが、これです。
 機番は見えないのですが、他の基地のシーンなどで出てくる機体だと思います。胴体にしっかり「中國人民志願軍」の文字が書いてありますね。機首と尾翼先端を赤く塗っているようです。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その13

2010年09月18日 00時08分10秒 | 映画
 映画の中で計器パネルがちらっと写るシーンがあります。これがその一つなんですが、MiG-15だけに当時の典型的なアナログ計器が並んでいます(当たり前か)。で、パネルに「300立升」と書いてありますよね。うちの掲示板の常連さんに尋ねてみたら、この「立升」というのは「公升」(公はメートル法であることを示す)とも書き、容積の単位「リットル」のことだそうです。ということは、燃料計の注意書きだと考えられますね。
 MiG-15は中国国内では生産しておらず、すべて旧ソ連からの供与のはずです。中国が自力生産を始めるのはMiG-17から。映画自体は70年代の撮影で、軍の余剰機を使って撮影されたと考えられますが、しかしMiG-17や19を自分のところで生産しているのに、わざわざMiG-15の追加生産をするとも思えません。するとこの映画に出演している実機のMiG-15はソ連生産だということになります。しかし注意書きは当然中国語。小さなパネルくらい自分らで簡単に貼り付けられますし、機外の要所要所に書かれている注意書きも中国語になっています。パイロットや整備員みんながロシア語読めないもんね。

 ところでこの「300リットル」というのは何を示す数字なのでしょうか。文林堂の「世界の傑作機」によると、MiG-15の機内タンクはコクピット後方(タミヤのクリアバージョンMiG-15で加えられたパーツのやつですね)とその後ろ、二個所にあって容量は合計1,410リットルだそうです。あれ?するとこの「300リットル」というのと合いません。そこでもうちょっと調べてみると、主翼下の増加タンクが300リットル入りなんですね。主翼に密着するスリッパ型のものが250リットル入り、投棄可能なタンク型の増槽が300リットル入り。するとこのパネルは、現在本機は300リットル入りの増槽をつけているよと、とパイロットに示すためのものだと考えられます。もちろん小型のものをつけたり、或いは増槽無しだったりすれば、その都度この表示を付け替えたんだと思われます。
 こういうところが写っているのを見ると、やはりいろんなシーンで軍の実機を撮影に使っているんだなと分かります。張りぼてのセットならこんな細かいところまで再現する必要はありませんから。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その12

2010年09月12日 00時01分08秒 | 映画
 前回は空中戦シーンでのMiG-15の機首周りやパイロットでした。今回は敵役(かたきやく)のF-84サンダージェットです。ね、前回のMiG-15に比べたら、めちゃくちゃ不公平でしょ? もちろん、撮影に使える実機などないので、張りボテを使うのはしかたがありません。いやまあ、キャノピーの特徴あるフレームなどは、よく出来ているとは思いますよ。どうせ映画を見ている当時の中国人は、米軍機の細かい形状など知らないことでしょうから、この程度出来ていれば上出来でしょう。しかし問題は、人物とマーキングですよね。
 前回のミグパイロットに比べて、いかにも滑稽・狡猾・悪辣な人物作りです。しかも、他の場面でよく見ると鼻が付け鼻らしく、どうも中国人がカツラやメークで西洋人になりすまして出演しているらしいんですよ。さすがに、こういう映画に出演する西洋人エキストラはあまりいなかったんでしょうか。それから、中国人パイロットと逆の意味で、中国伝統劇風の紋切り型です。所作からしゃべり方まで、西洋人ではなく、やはり中国伝統劇の典型的な悪役・おどけ役(中国語で丑角と言うそうです)の影響が強いようです。また、朝鮮戦争時の米軍パイロットはハードヘルメットを着用しているはずですが、その辺には無知で、中国軍と同じソフトキャップを被っているようです。
 それと、見て下さい、このサンダージェットのノーズアート(ってか部隊マーク?)。これ、デザイン的にもなってないよね~。虎と、ワシの翼と、それにわざとらしく骸骨が乗っています。それも、ご覧のように、機種の左右両面に描いてあるんですね。まあ当時のステレオタイプのイメージだと、米軍機ってこんな感じなんでしょうかね。それともう一つ分からないのは、このノーズアートの周辺にも、黒い雲形の模様が広がっている点です。もしかしてこれ、迷彩のつもりなのか? 考証不足というよりそもそもセンスないよ。まあ米軍機の悪辣さが表現されていれば、この映画としてはOKなんでしょう。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その11

2010年09月10日 00時00分13秒 | 映画
 今度は、空中戦シーンのMiG-15。またまた干渉縞が強くてすみません。一番上のコマ、一時停止ボタンのマークが入ったままになってました。
 これを見ても、実機を使って撮影しているように思えます。実際に基地のシーンで動いているMiG-15は後期型のbis型で、この空中戦シーンは、背中のアンテナを見ても初期型らしいんです。まあ、細部が分かって模型的にはありがたいんですけど。
 もう一つご注目頂きたいのが、人物です。パイロットの装備品なども、他の写真で見る当時のミグパイロットのものが正確に表現されているようですが、それとは別に気になるのが、やはりガチガチにパターンにはまった、典型的人物描写です。役者の選択や、彼等の所作・表情、いずれを見ても、もういかにも共産主義国のプロパガンダ映画そのもの。もう一つ、これは後から別のシーンでも触れる予定ですが、所作がいかにも中国的、つまり京劇などの伝統劇に出てくるような様式的な所作があちこちに出てくる、ということもあります。共産主義国風で、なおかつ中国伝統劇風。我々から見ると、いかにも笑っちゃいますが、これ現代の中国の人が見るとどうなんでしょう。やはり笑っちゃうのか、懐かしく思うのか、それともしっかりハマって感動するのか…。もちろんいかにもという紋切り型の所作は日本の時代劇にも出てくるもので、それが悪いと言うわけではないんですが、でもそれがジェット戦闘機の空中戦にも出てくるってのが、ねえ。