みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

Eduardの1/72、MiG-15 その3

2014年01月25日 18時28分31秒 | 航空機(露・軍用機)
 実は、コクピットの写真を詳しく比べてみたことが以前あるんです。しかし特にネット上では、MiG-15 Cockpitと書いてあるだけで、特に何型のものかは書いていないことが多く、書籍でも初期型・後期型をはっきり比べてくれているものはあまりありません。唯一このあたりに詳しいのが、
Mikoyan MiG-15 (Famous Russian Aircraft)』Yefim Gordon, Dmitriy Komissarov (Ian Allan Publishing, 2011)です。トップ画像はその表紙です(この写真、水平尾翼に近い高さから撮られており、尾翼側面形がよく分かります)。五百数十ページもある分厚い本で、MiG-15本としては最も厚いものですね。この本の第11章には多数のディテール写真が掲載されていて、しかもそれが何型か(ポーランド製やチェコ製のMiG-15を含む)が丁寧に書いてあるんです(シリアルナンバーまで!)。初期型と後期型のエンジンの写真もちゃんと載っていました。以前RD-45とその改良型クリモフVK-1を話題にしましたが、その時この本があれば苦労せずにすんだのに…。
 で、この本にはコクピットのディテール写真もいろいろ載っています。S-で始まるチェコ製MiG-15や、Limで始まるポーランド製のMiG-15も含まれています。しかしながら、この本でコクピットの初期型後期型の違いを調べようとしたら、これがなかなか難しいんです。見たい部分が微妙に写っていなかったりで、どこが一番特徴的な差なのかというのがよく分かりません。特に前面計器板については、計器やスイッチ類の個体差が大きくて(改装されたり追加されたり)、なかなかはっきりしません。鮮明なカラー写真は、レストア機だったり博物館の展示機だったりで、これはオリジナルの状態ではないことは十分考えられますし。この本によると、同じMiG-15bisでも生産時期のよって違いがあるそうで、初期生産分では明らかに計器類の間のスイッチが少ないようです。エデュアルドの計器板レジンパーツにおける初期型・後期型の相違点も、必ずしも絶対的なものではないのかも知れません。

Eduardの1/72、MiG-15 その2

2014年01月19日 23時33分51秒 | 航空機(露・軍用機)
 EduardのMiG-15、『モデルアート』誌2月号カラーページにもディテールパーツの広告が載っていましたね。ありがたいことは、『モデルアート』誌はメーカー提供の画像を転載するのではなく、独自にパーツを並べて写真を撮ってくれている点です。これで内容がよりよく分かるので、発注する際にも便利です。掲載されているのは、初期型エアブレーキ、後期型(bis)エアブレーキ、初期型コクピット、後期型コクピット、戦闘爆撃型SBに搭載する100キロ爆弾。さらにエッチングパーツでフラップのセット、それにエクステリアセットです。ちなみにエクステリアセットに入っているのは、ブレーキペダル、射出座席ハンドル部、キャノピーレール、前脚カバー支柱、主脚カバー、主脚ブレーキパイプ、主脚収納庫内配線、電波高度計受信部(翼下の小さな丁字形アンテナ)、通信機アンテナロッド(コクピット横)、キャノピーロック、エアインテーク及びノズル保護カバー、昇降用ラダー、主翼基部カバー(人が乗るときのシート状カバー)、車輪止めです。
 さて、最近は小さなものが見えにくくなったし、作る時間もないしで、1/72についてはあまりディテールアップなどしないと決めています。エデュアルドのMiG-15にしても、1/72でここまで細かい部品を使うのは大変だし、ストレートで作ることが先決。と思っておりましたところ、この『モデルアート』誌の広告を見ていたら、とても気になり始めました。エアブレーキの初期型と後期型は、両者の一番大きな識別点ですし、かなり形が違いますので、有効なディテールアップになります。筋彫りだけの表現とは桁違いですよね。しかし、コクピットって、初期型と後期型でそんなに違うんでしょうか。少なくとも1/72で別パーツにするほど違うんでしょうか。それが気になって、結局このディテールアップパーツを発注してしまいました。『モデルアート』の広告の効果があったってことですね~。
 さてここで、現物が入荷する前に、Eduardの公式サイトの画像を使ってチェックしてみましょう。前期型と後期型(bis)の画像を並べて矢印を引いています。サイドコンソールについては右コンソールの、ADF(auto-direction-finder)操作盤の後ろの配線・配管が前期後期の違いのようです。計器板については、どうもどこが違うのかよく分かりませんが、よくよく見ると、計器板の間などに配置されたスイッチ類が異なるようです。148ならまだしも、1/72でここまでやるかあ、という感じですが、ブラッシンならやりそうですね。後は実物が入荷するのを待ちましょう。楽しみ、楽しみ。

Eduardの1/72、MiG-15 その1

2014年01月14日 00時00分13秒 | 航空機(露・軍用機)
 さて、アナウンスがあってから何年も待たされたEduardのMiG-15なのですが、昨年末にやっと入荷しました。一応空ではMiG-15、陸ではChurchill Tankをメインの研究テーマに掲げている当ブログとしては黙っているわけにはいかないのですが、皮肉にも、待ちに待った新製品がやっと入ってきた時にはこちらが忙しくて、取り置きお願いしていた行きつけのお店にさえなかなか行けないという始末。でも年内には買いに行くことができて、今箱のまま床の間に飾って年を越した、というところ。

 さて最初のMiG-15のキットは、Eduardお得意のデュアルコンポで、二機セットです。チェコ空軍特集だけあって、塗装とマークはチェコのみ。このデュアルコンポは、単に同じパーツが2セット入っているのではありません。初期型のMiG-15と後期型のMiG-15bisのパーツが一機分ずつ入っています。但し胴体パーツは初期型と後期型とで別なので、初期型二つとか後期型二つとかはできません。あくまで一機ずつ。
  塗装例はA~Kまで、11種類から選べるようになっています。初期型は3種類、後期型bis仕様は8種類、その内戦闘爆撃機型が2種類です。戦闘爆撃機型は余剰のbis型をチェコ空軍が地上攻撃用に改造したもので、SB型と呼ばれます。昔のKPのキットにもSB型を作れるパーツが入っていてました。但しデカールは、盾型の下地のみ印刷してあって、中の馬の絵についてはエクセレントモデラーなら自分で描けますね、と説明書に書いてあって、そりゃ無理だろと思った覚えがあります。しかしこのSB型はチェコが独自に改造したもので他国では使われておらず、運用した部隊もそれほど多くないので、SB型にするにはどうしてもこのマークが必要でした。このエデュアルドのキットには見事なデカールが入っています。

 塗装例のDをトップ画像に引用しておきました。対空砲火の訓練用で、目立つように市松模様に塗った機体で、これを1/72できちんとマスキングして塗り分けるのはなかなか大変ですね。一つ気になるのは、この市松模様の機体はエアブレーキの形状からして明らかに初期型なのに、後期型の特徴である背中の棒状アンテナがついていることです。組み立て説明図の方を見ると、この塗装例Dの機体には棒状アンテナ(パーツC19)を付けないことになっています。ところが、塗装図には明らかに棒状アンテナが描かれている。これはどちらが正しいのか。結論から言うと、棒状アンテナパーツC19を付けるのが正しいと思われます。
 この背中の棒状アンテナは、VHFアンテナなんですが、これは後期型になってから装備されたものです。が、少なくともチェコでは、後に初期型にさかのぼってレトロフィットされたものがあるようです。チェコのJakab Publishingからは『MiG-15』Vol.1~3という本が出ていてます。これはチェコ空軍で使用されたMiG-15を、これでもかと詳しく論じた本で、チェコ空軍で使用されたすべてのMiG-15のシリアルナンバーが載っているというすごい代物です。プラモ作るのにそこまで要らないんですが、ディテール写真もたくさん載っているので重宝します。そしてこのエデュアルドの市松模様の機体も、載っていました。この本でもちゃんとVHFアンテナが付いています。シリアルナンバーも一致するので間違いありません。他のページには、初期型の機体にVHFアンテナが付いている写真も載っていましたので、やはりそういう例はあったんですね。

 さてせっかくだからチェコ空軍の機体にしてもよいのですが、私はやはり朝鮮戦争参加機として仕上げてやりたいと思います。一つはソ連空軍パイロット、ペペリヤーエフの乗機。これは後期型。いま一つは中国志願空軍パイロット、王海の乗機。これは革命軍事博物館に展示されている初期型で。デカールは以前のキットから流用。