フランスの保育園の様子、映画「シッコ」より
足立区では待機児童を一刻も早く解消するために、21年3月に「緊急待機児童対策」をまとめ、22年4月までに認可保育園2園、認証保育所2所、足立区小規模保育室1室を新規に開設しました。しかし、平成22年度入園事務では前年を338名を上回る申し込み者があり、3月末現在で認可保育園に入園できなか・った児童数が前年に比べ93名増816名となりました.調査の結果、東京都認証保育所等へ入所された方を除いた平成22年4月1日の待機児童数は前年を18名上回る43 6名となり、今後とも保育需要が増えることが見込まれます。
そのため、この現状と背景等を再度分析し、足立区にある様々な資源を保育資源として活用し、足立区保育計画(案)で計画した事業内容も含め、当面の対応策」をお示しましたと区議会に報告がありました。
待機児童の地域別状況
22年4月1日の待機数の地域別内訳を見ると、地域的に突出して多い地域はありませんが、千住、江北、梅田、中央本町、綾瀬の各地域で比較的に多くなっています。経年の変化を見てみると、千住地域、江北地域、梅田地域、綾瀬地域などでは平成21年から増加傾向にあるといえます。また、中央本町地域は各年とも待機児童が多くいる状況です。
区の当面の目標と対応
目 標
1、フルタイム就労世帯の待機児童解消を目指します。
2、求職中や短時間就労世帯に対応するメニューの充実を図ります。
待機児童は子育てファミリー層が多く転入する地域や駅周辺の保育園に多い傾向があるため、今後の人口の地域別動向や地理的な視点を踏まえて今後の待機児童対策を考える必要があります。マンション建設や大規模開発等の情報を収集して、これから待機児童が多くなると見込まれる地域を中心に、就労形態に応じた保育定員の増を図ります。
≪対応策1≫認可保育園・認証保育所の定員を増やします。
(1)定員の見直し等による認可保育園の定数増、定員の見直し等により、綾瀬、梅田、江北などの各地域で定員増を図ります。
(2)認証保育所の開設
千住、中央本町、綾瀬、六町などの地域に開設していきます。23年度153名
≪対応策2≫短時間就労者向け保育サービス
(1)小規模保育室の開設 23年度10ヵ所 150名
(2)あだち子育て応援隊月ぎめ預かり事業(旧子育てホームサポート事業等)23年度50名
≪対応策3≫家庭福祉員(保育ママ)による受け入れ増
これまでの3名枠から5名定員を増やし、定員を増やす 23年度25人 50名
≪対応策4≫私立幼稚園との連携によるメニューを提供
(1)認定こども園への移行と活用 23年度 2園 80名
(2)私立幼稚園の預り保育の充実
≪対応策5≫新たな取り組み
(1)複数の保育士によるグループ保育のモデル実施
(2)新たな保育施設の設置検討
(3)入園事務の見直し 希望園を3箇所から5園に増やす
(4)民間集合住宅建設時に保育園設置誘致の要請
200戸以上のマンション建設時には保育課との事前協議の義務化等の検討
全体として23年度510名の定員増をめざすとしています。
しかし、この対応策で足立区の待機児が解消できるでしょうか?
保育計画、今回の緊急対応では、多彩な新たなメニューを羅列していますが、認可保育園増設を基本としていないため、区民の一番大切なニーズにこたえる計画になっていません。
町田市では、「認証保育所も否定はしないが、施設面で充実している認可保育所を基本とする」と言い、認可保育所建設を対象に土地・建物の費用を補助する、市独自の「20年間期間限定認可保育所事業」で新年度に6園の保育園を開設します。23区でも「次世代育成支援行動計画」の見直しの中で千代田・台東・豊島・江東区など、続々と認可保育園増設の方向性を打ち出しています。足立区でも、認可保育園の増設を基本に据えた計画に改めるべきではありませんか。