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ディーセントワークとは何か

2010-11-13 23:48:47 | 貧困と社会

ヘンリー・フォンダ主演の映画「怒りの葡萄」では、主人公の家族が桃園での奴隷的家族労働から脱出します。彼らが政府管理の近代的労働センターにたどりついたとき、センターの監督官が「あそこはどうだった」とききます。ヘンリー・フォンダは「ノット ディーセント」と答えて、字幕は「ひどかった」と訳しています。

「働きがいのある人間らしい仕事」がない?

ILOは、現在、「ディーセント・ワー・ク(Decent Work)」を強く提唱しています。ILO条約の批准を進める会はこれを当初、「人間らしい労働」と訳していましたが、ILO駐日事務所は、正式に「働きがいのある人間らしい仕事」を訳語としました。

ディーセント・ワークという言葉には、「適切な仕事」という意味もあり、「適切な仕事とは、諸権利が守られ、妥当な収入が生みだされ」ること、また、「妥当な収入」とは、家族全体が普通の生活ができる収入、子どもたちの将来、家族の老後が準備できる収入とされています。

 そして、「社会的な保護が提供される」として、事故があったときに社会保障などが適切に与えられて保護されること、さらには、「生産的な仕事」、「社会貢献できる仕事」という意味があります。「誇りある」という意味合いも「ディーセント」という言葉にはふくまれています。それら全体として、ディーセント・ワークの意義が理解される必要性があるようです。

日本社会はこうした働きがいのある人間らしい仕事が確保されていないという認識にたって、ILOはいくつかの勧告を日本に提起しています。私も区議会でこの考え方にたって、地方自治体から日本の社会を変えていく提案をしました。詳しくは私の質問をご覧下さい。

針谷みきおの質問ビデオ http://www.gikai-adachi.jp/yousu/2010-3/2010092803.asx

ディーセント・ワークには四つの戦略目標がある

 一番めが、「労働基準と基本原則と権利がみたされた仕事(働き方)にしていくこと」。「労働基準」とは、公正な労働条件ということです。「基本原則」には重要な四原則があり、一つは平等、二つめに児童労働の禁止、三つめに強制労働の禁止、四つめに労働組合の団結の自由で、ストライキ権など労働基本権がふくまれています。

 二番めが、「女性と男性のために、より大きな雇用の機会と収入の機会を創出すること」。つまり、仕事(雇用)を増やし、収入を保障することですが、特に女性問題が重視されています。女性問題はほとんど男性問題の裏返しとされ、女性の権利の前進をぬきにして、男性の権利の前進も図られないことが、世界的にはっきりしてきています。

 三番めに「社会的保護の範囲をすべての人々に広げ、その効果を高めること」。これはヒューマンセキュリティーといわれて、社会保障体制の充実などが含まれます。

 四番めに「労働者、政府、使用者の三者の共同と社会対話を強めること」。ILOは社会対話を重要なものとして位置づけています。中でも、労働者と使用者とはカウンター・パートナー、立場のちがう対立する関係にあるパートナーであって、両者が十分に対話することで、きちんとした政策がつくられて実現していくのだとされています。

つづく(学習の友10月号より)