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「坂の上の雲」のNHKドラマを考える

2010-02-21 18:22:23 | 文化・芸術・映画
「坂の上の雲」は、昨年11月からはじまった司馬道太郎原作のNHK話題のドラマ。
番組の紹介はこうなっています。

近代国家として生まれ変わった明治の日本。混沌としたなかでも、人々は子どものような純粋さで明るい未来を信じ、力強く生きていた。日露戦争の日本海海戦を圧倒的勝利へと導いた秋山真之。その兄で、のちに「日本騎兵の父」と呼ばれることになる秋山好古。閉塞的な歌壇・俳壇に風穴を開け、日本文学に新たな地平を見出した正岡子規。



「坂の上の雲」は、国民ひとりひとりが少年のような希望をもって国の近代化に取り組み、そして存亡をかけて日露戦争を戦った「少年の国・明治」の物語です。そこには、今の日本と同じように新たな価値観の創造に苦悩・奮闘した明治という時代の精神が生き生きと描かれています。
この作品に込められたメッセージは、日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれるに違いありません。



しかし、この「坂の上の雲」のドラマ化に異論をとなえる人がたくさんいます。
東京大学教授の醍醐聡(だいごさとし)氏は、韓国併合100年に当たる今年、NHKが大金をかけて偏った歴史観に基くドラマを放映することに疑問を呈する記事を、「週刊金曜日」に寄せています。少し紹介します。

来年は「韓国併合」100年にあたる。この時期にあえて朝鮮侵略を美化した作品をドラマ化するNHKの見識が問われる。
原作者本人がミリタリズムが鼓舞されるのを恐れて、映像化することを拒んでいた遺志をまげることは許されるのか。
 


ドラマ「坂の上の雲」が人気キャストの演技の映像効果も併せて、日清・日露戦争は日本国民が「国の存亡をかけて戦った戦争」だったという歴史観を視聴者に刷りこみ、「列強が自国の権益をかけて争った時代だから、当時の日本だけをとらえてどうこう批判してもはじまらない」という訳知りな「戦争ずれ」人間を増やさないか大変危惧される。それだけに、「坂の上の雲」のドラマ化を、日清・日露戦争期の東アジア史を学び直す機会として能動的に生かし、「知は力なり」の流れに巻き返す努力が求められている。

司馬遼太郎の遺志を軽んじてよいのか?

司馬は生前、多くの映画会社やテレビ局から原作の映画化、ドラマ化の申し出を受けたにもかかわらず、原作を映像化することでミリタリズムが鼓舞されるのを恐れ、すべての申し出を固く断ったことはよく知られている。

 司馬氏が強くこの作品の映像化に反対していたにもかかわらず、彼の死後それを無視して夫人に働きかけ、三年もかけてのドラマ放映を強行するNHKの責任は重大であるといわれています。

『坂の上の雲』問題

 こうした経過にもかかわらず今もなお、日本政府は「韓国併合は合法」という立場をとり続けています。これは日本政府の歴史認識が問われる大問題です。「韓国併合」を正当化、合理化する議論も根強くあります。

 他国を踏みにじって安全と平和は保たれなかったことは、日本が「韓国併合」後、アジア諸国に侵略戦争を拡大していった歴史からも明らかです。私たち一人ひとりが歴史の真実を学ぶことが大切ではないでしょうか。