今、テレビでお笑いコンビの”次長課長”が、「ホストがその場を盛り上げようとタンバリンを叩く様子」を描写したという”タンバリン芸”を披露しているのを見、以前よりの持論を書いておきたくなったのであるが。
まあ、論旨はシンプルである。「この世からタンバリンを撲滅せよ!」である。あんなに、ただやかましいだけのクソ楽器、誰が作りやがったのだ。いらねーよ、あんなもの、この世界に。
深夜のスナックとかでカラオケに合わせてあの鈴だらけの楽器を、隣の席の泥酔したオバハン・ホステスかなんかに、よりによって耳元かなんかでガッシャンガッシャンぶっ叩かれて閉口した経験は、どなたにもおありと思うが。
もう一度、問う。あんなにやかましいだけの楽器を作りやがったバカは、どこのどいつだ。何を考えている。ただでさえたちの悪い酔っ払いでいっぱいの酒の現場を、さらに修羅場にするあのような代物、この世のすべてに悪意を持った者によって作り上げられたとしか解釈のしようがなかろうが。
ほんとのタンバリンの叩き方に初めて出会ったのはもう20年位前、NHKのFMで放送された戦前の日本のポピュラー音楽を特集した番組においてであった。ゲストの藤山一郎氏が、ハバネラのリズムかなんかをタンバリンによって奏でておられた。
それはとても優雅な”楽器”の演奏だったのだ。そして知った。あの楽器はそもそも、張られた”皮”の部分を叩くものだと言うことを。”鈴”は、皮の部分を打ち鳴らす事によって編み出されたリズムのための、あくまでも装飾音のために付けられている。にもかかわらず。
にもかかわらず今日、巷間、流布しているのは、肝心の皮の部分を取り去られ、鈴のみ残して、けたたましい騒音楽器に生まれ変わった、浅ましい姿のタンバリンである。一人の音楽ファンとして私は、あの楽器が誤解されたままの姿で生き残っているのを見るに忍びない。
どうだろう、あなたを心ある音楽ファンと見込んでお誘いするのだが、世界中のタンバリンというタンバリンを破壊し火中に投ずる、”タンバリン撲滅計画”に、あなたもご参画いただけないだろうか?色よい返事を待っている。