先日、”台湾に残された日本統治時代の面影”を残すカセットなどにここで言及したばかりですが、ちょうどいいタイミングで、という言い方でいいのかどうか、第2次世界大戦に”高砂義勇隊”として日本軍に加わり戦死、その後、靖国神社に知らぬうちに合祀されてしまった台湾原住民のドキュメンタリーがたった今、深夜のテレビで放映されたところです。
テレビをつけていたら偶然見てしまった番組なのでタイトルが分からない。新聞のテレビ欄を見ても深夜のこととて「家族の悲劇」としか書いてない。なんとかせーよ。
番組は、彼ら兵士の霊を故郷の台湾の山に返せと、靖国に抗議にやって来た遺族たちの映像からはじまります。そして、台湾の日本統治の歴史と、彼ら先住民との関わりが描かれてゆく。
日本統治に反抗して山地先住民が起こした武装蜂起、霧社事件。暴動は鎮圧され、関わった者たちは虐殺され、それ以後、台湾の人々に対する、いわゆる”皇民化教育”は徹底してなされるようになり、その後、起こった第2次世界大戦においては「兵隊に行かないと笑われる」と、先住民の男たちはすすんで日本軍に加わるまでになって行く。
夫が高砂義勇隊として戦死して行ったお婆さんが歌います。”東洋平和のためならばなんで惜しかろこの命”と。
「この歌は私の夫の命です」と彼女は心をこめて語るのですが。そんな風に思わせてしまった事、それ自体が日本による台湾統治の最大の罪でありましょう。
彼女の夫も、本気で”東洋平和のため”と信じて死んでいったのでしょうか。彼が縁もゆかりもないニューギニアのジャングルで最後に見た風景は、そのときの想いは、どんなものだったのでしょう。
よく恥ずかしくもなく”靖国”とか言えるよなあ、われわれ日本人は。