ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

火星のブラスバンド

2006-03-20 03:25:47 | アンビエント、その他

 SF作家ブラッドベリの、なんて断るのも恥ずかしい高名な小説、「火星年代記」のなかに、「楽団が”海の宝石コロンビア”を奏で」なんて描写がある。

 地球から火星にやって来た最初の探検隊が、火星で遭遇したのは、なんと懐かしい故郷の風景だった。とうに失われたはずの昔ながらの街角で、もう、この世のものではないはずの両親や旧友に迎えられ、探検隊のメンバーは・・・なんて話の終わりに、演奏の描写は何気なく挿入されていた。

 この”海の宝石コロンビア”って、どんな曲なんですかね?一度聞いてみたいものだ、と思ってから、オーバーではなく、数十年の歳月が流れた。小説の描写から想像するに、ブラスバンドが演奏する曲らしいのだが。相当に古い曲なのではないかという気もする。

 この曲、聴いてみたいと願ってから流れた”長の年月”の間に、もう自分の頭の中でさんざん美化されてしまっているので、もはや現物を聞いても幻滅するだけだろう。それゆえ、実態を知らぬままにおいておいたほうが無事なのだろうけれど。

 ブラッドベリの作品の中ではもう一つ、”カライアピーの音”ってのにも興味をそそられたものだ。見世物小屋にある、超簡素なパイプオルガンみたいなものらしい、とは分かってるんだけど。というか、何かの映画で演奏場面は見たことはある。
 その音楽を思い切り聞けるCDとか欲しいものだな、と思ってから、これも幾歳月。