”Who Do You Think You Are”by Dala
青春時代の一時期、ずいぶん入れ込んで聴いていた北米方面のシンガーソングライターたちの音楽は、こちらの耳がワールドミュージック状態となってしまった今、もう聞くこともあるまいと思っていたのだが、この一~二年、急に熱が舞い戻ってきたみたいにポツポツと聴くようになってきた。
昔のように、と言ってしまって良いのかわからないが、ともかくもそのジャンルで、興味を惹かれる作品に出会う機会がいくつかあったのではあった。
もっとも、かってはヒゲに長髪、薄汚れたジーンズ姿の男性歌手が渋い声で放浪を歌う、なんてのが好みだったのが、最近聞くのは女性歌手たちのさわやかな歌声、という具合に、内容に若干の変化はあるのだが。
そんな具合に私の内で”フォーク復興”の気運を盛り上げた女性歌手たちのアルバムを取り上げてみる。カナダの女性デュオ、”Dala”である。このところ、順調に毎年、新作を発表してきている彼女らだけれど、これは2007年に発表したアルバムが今年になって再発となったもの。
しばらく前から、我が国のフォーク好きにちょっとしたアイドル的人気(?)を博しているDalaだけれども、このような再発が成されるということは母国カナダでは、あるいはアメリカあたりでも、注目されて来ているのではなかという気もする。
ともかく北の大地の草原に結ばれた朝露みたいにピュアな彼女らのキラキラ輝く歌声には、余計な理屈なしに惹かれてしまうのさ。
この5年前の、こうやってすぐ再発されたのは、新作としてリリースされた時点では話題にもならず、あんまり売れなかったのかもしれないなあ、なんて余計な想像を喚起するアルバムは、それがテーマだったのだろうか、その他のDalaのアルバムと比べると、ずいぶんタイトな、フォークロック的とも言いたいシャープなコーラスで満たされている。
その、シャープな中にもほんのり香る甘さが良い感じで、まさに北国でとれた新鮮な果実を丸かじり、みたいな爽やかさに溢れ、う~ん、これも素敵なアルバムだなあ。
なんとも過酷だったこの夏の疲れをさらっていってくれる、涼やかな高原の風が一吹きみたいなこの一枚が、今年の秋の扉を開いてくれそうだ。