ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

コンゴ・ルンバの夜明け

2006-03-14 05:27:27 | アフリカ

 ”ORIGINALITE by FRANCO & TPOK JAZZ ”

 故・フランコこと、フランシス・ルアンボ・マキアディ Francois Luambo Makiadi と言えば、コンゴリーズ・ルンバ、日本で言うところのリンガラ音楽の開祖の一人というか巨匠、リンガラ音楽の厳父などとも呼ばれている。

 さらには、複雑にギター群やらコーラス、リズムやハーモニーが絡み合う、その音楽性のありようと”対位法”とを絡め、フランコをアフリカのバッハなどと呼ぶ人までいるようだが、そこまで行くと悪乗りのような気もする。

 これは、彼が率いるT.P.O.K.ジャズが、地元コンゴのローカルレーベルに残した初期作品復刻集。デビュー曲から50年代終わりごろまでの音源の再発との事。

 巨匠の最初期の仕事に接することが出来る訳だが、その音楽の表情はと言えば、きっちりとした構成美を誇る、完成期の彼とくらべ、なかなか人懐こいものを持っていると言えるのではあるまいか。

 まだアフリカ音楽の独自色も確立されていない時代である。アフロ・キューバン音楽やカリプソなどの影響も生のまま残るそれらは、ゆったりのんびりした下町の人気者的な気の置けない楽しさを伝えるものである。

 つい、「なんだよなんだよ、フランコの旦那、昔は結構話の分かるおにーさんだったんじゃねーか」などといいつつ、一緒に酒でも飲みに行ってしまいたくなるのだが、そうは行くものか。

 その演奏の間に差し挟まれるフランコのギター・ソロの鋭さ、完成度の高さは、今日の耳で聞いてもやはり凄い。だれかけていた背筋も思わず伸びようかと言うもので、デビュー当時からフランコはフランコだったんだなと舌を巻かずにはおれないのだった。