”A Little Big Thing”by Ging
え~、可愛い子だからCD買っちゃいました。毎度、ジャケ買いの誘惑に負けてばかりで面目ない。
彼女、ギンちゃんと呼べばいいのですかね、2009年デビューのタイのアイドル歌手であります。
ギンちゃんはルックスよりは若干大人びた歌声で、アメリカの黒人音楽のナウいあたりやボサノバのリズムなんかも援用しつつ、雨上がりの都会を行くちょっとおしゃれな女の子の日常などを歌っている・・・のではないかと思います。そんな感じの涼やかなポップ感覚が鮮烈に香ります。
多用されるメジャー・セブンス系の和音が、ビルの間をか細い糸を引いて流れ、そして消えて行く淡い感傷を繊細に響かせます。
このようなアルバムを聴くにつけても、タイの若い世代には、もう全く新しい感性が育っているのだろうな、なんて思います。このアルバムで聞かれるような都会の洗練された日々の織り成す喜怒哀楽って・・・金子光晴のアジア滞在記なんかを片手に、”シナ海の南風下るところ”に想いを馳せて東南アジア・ポップスを聴き始めた私なんかの世代の理解の及ぶところではないのかも、なんて思ったりします。
それにしても昨今のタイの女の子たちの、”顔立ちを欧米の女性っぽく見せる技術”の進歩というものは目覚しいもので、みんなほんとにきれいになりました。そしてどこの子も同じような顔立ちで見分けが付け難くもなりつつあるようです。
これはメイク技術とかカメラマンのテクニックなどによるものであって、彼女らが一斉にメイクをぬぐい去れば、そこには昔私がタイ文字だらけのカセットテープのジャケ写真で見慣れていた、素朴なタイの少女たちの笑顔が戻ってくるのでしょうか。それとも、彼女らは、もう骨格の段階から欧米の女性みたいな顔立ちに変化を遂げたのでしょうか。
アイドルとはいえ、ギンちゃんは芸能人としてしっかりした考えをもった人のようで、テレビの番組中でもウクレレの弾き語りなど披露して”ミュージシャン”たる自分をアピールしたりすることを忘れません。歌唱力は先に述べたように立派なものだし、大手レコード会社のイチオシでもあり、これからも堂々の進撃を続けるのでしょうね。
そして次元の低い私は、「CDもいいけど、この子、写真集でも出さないかな」とか、しょうもないことを考えてみたりするのでした。