たとえば先日来、”MAREWREW / もっといて、ひっそりね”なんてアルバムを買おうかどうしようか、なんて悩んでいたりする訳ですよ。
これ、ワールドもの好きなら、もう評判はお聞き及びかもしれない、アイヌの伝承歌を歌う女性三人組のコーラスグループのデビューアルバムであるわけです。
北方の、未知のフォークロア、音楽的には非常に興味を惹かれるんだけど、私のような者に興味が持てるタグイのものかなあ?と二の足を踏んでいるところなんですわ。
何しろ私はワールド・ミュージック好きとは言っても民俗音楽系は苦手で、どちらかと言えば”港々の歌謡曲”に興味があるポップス系のヒトなんで、古いスタイルのアイヌのコーラスの再現とか、楽しむ自信はあまりない。
実際、ネットやラジオなんかでMAREWREW の歌声を聞くと、いかにも真面目な人たちが律儀に伝承音楽に取り組んだ成果、という感じでねえ。学究的過ぎて堅苦しい感じがする。まあ、私が聞くには、ですがね。
これが、「戦前、アイヌの社会だけで人気のあったローカルな歌謡曲歌手の残したSP盤のCD再発」なんて言ったら、そりゃ血が騒ぎますけど。
これはやっぱりジャンル分けとしては、”正しい音楽”の方に入っちゃう感じだなあ、なんてね。思ったりしているわけです。
あっと。そんなことを言っても意味不明の人がほとんどか。この場でこの話は記事として出たことはなく、コメント欄のやりとりとして話題に登っただけだものなあ。
まあ、どうしてそんな話が始まったかなんて、くだくだしい前置きはすっ飛ばして、いきなり中身だけ話しますけど、ここに2枚の音楽の入ったディスクがあるわけですよ。で、その内の一枚には”正しい音楽”が録音されている。さらにもう一枚には、”間違った音楽”が収められているとする。さああなた、どちらか一枚を聞くとするならどちらを聞きますか?という話なんですが。
私はもう、考えるまでもなく”間違った音楽”の方を選ぶなあ。世の中に正解は一つしかないが、間違いは人間の数だけある。人間のイマジネーションの狂った焦点の先に、どのような奇矯な像が結ばれるか、めちゃくちゃ興味があるじゃあありませんか。
とか言ってるが、もちろん、正しい音楽を選ぶ人もおられるでしょう。だってそれは正しいんだもの。正しい音楽を聴かずしてどうする。わざわざ間違った音楽になど、時間を費やすべきではないはずだ。
まあ、そりゃそうですな。
これは思想調査とかに活用できるんではないか。そんな物々しいやつでなくとも、お遊びの性格調べとかね。
さてあなたは、間違った音楽と正しい音楽、どちらに興味を惹かれますか?