1)O.K.Boe A I - Kawatip Thidadin (Thailand)
2)Ben Buraya Ciplak Geldim - Nil Karaibrahimgil (Turkey)
3)Guzo - Samuel Yirga(Ethiopia)
4)No Sudden Movements - Gaiser Presents Void (Germany)
5)Sou Hrostao Akoma Ena Klama - Peggy Zina (Greece)
6)MJK - Haifa (Lebanon)
7)L'ombra Della Sera (Italy)
8)Purely - Lily Chan (Hong Kong)
9)Tortadur - Nazarkhan (Uzbekistan)
10)Mukimukimanmansu (Korea)
さて、年に一度のお楽しみ、私版・年間ベストCDの発表であります。え。お前のベストなんか楽しみにしてない?いや、私が楽しみにしてるの。
毎度お馴染み選考基準は、今年発表された新作盤のうちから選び、だが盤が外国から入ってくる時間差も考慮し、一年くらいの誤差はお許し願う、また製作年度のよくわからない盤に関しては、選者の都合の良いような解釈をさせていただく、ということになっております。
付記・アフリカに関しては、アナログ・アフリカに代表される過去の音源発掘に相変わらず夢中で、新録はろくに聴いていない。アフリカは思い出ならずや。というのも困るけどな。
1)まあ、要するにこの子のこのジャケ写真を、我が年間ベストCD発表のアタマに掲げたかった、今年の思い入れはそれだけでね。
いいじゃありませんか、タイの土俗ポップス・モーラムを歌う、おしゃれな女子大生歌手ってのは。歌声もサウンドもポップで新鮮で爽やかで可愛くて素敵だ。こういうのを一位にしたいね、アイドル好きのワールドものファンとしては。
2)トルコの新感覚派女性歌手とのことで。でも当方が気に入ってしまったのは、彼女の音楽の向こうから、60年代ポップス、それもなんだか日本のGSみたいな感触が伝わってきたからなのであって。こちらの勘違いなんだろうけどさ。
3)エチオピアのピアニスト。エチオピア音楽でジャズ・ピアノを決めてくれるのだけれど、ともかくその徹頭徹尾、ドス黒いノリで、ゴリゴリに迫るズージャ魂に惚れた。そのバンドマン臭さがカッコいいんだ、とにかく。
4)ジャケが入っていたビニール袋に貼ってあった「Made in Germany」の文字がかっこよくて仕方がない。まあ、たんなる商標なんだけど。
ドイツのテクノの名人が発表したアンビエントな一発。
凍りつくベルリンの街の大気を貫き、闇の中に木霊する電子音が鋭利なメスみたいに煌く。
5)ギリシャ歌謡のライカを、ヒット曲に一つもまぐれで出ないかしら?ってなノリのナウい(というほどナウくはない)バッキングで婀娜っぽく歌う。
この辺に漂う哀愁、当方のテーマとしております”港々の歌謡曲”の世界に、非常に似つかわしい匂いを漂わせてくれていると思う。
6)この盤、エロいダンスポップ盤というのが定番の評価みたいだけど、私みたいに少年の日の夢にいまだ生きている者には、なにやらSFっぽい世界だなあ、と聴こえる。打ち込みのマシンもペラペラな材質で出来上がった安物のおもちゃみたいな手触りで、空中に浮かんでいる。そこに立ち込める、ピンク色の夜霧みたいなハイファの唄声。その非現実的な美しさが素敵だ。
7)この盤限りの覆面バンドが演ずるのは、70年代イタリアのテレビで放映されていた三流SF映画への音によるオマージュ。サウンドも当然、確信を持って過去の亡霊、70年代のイタリア・プログレの再現に徹している。
アナログシンセやらムーグやらのレトロな電子楽器が夜霧のような音幕を巡らせ、リードギター代わりのテラミンが地下室の中で悲鳴を上げる。この淫靡な美意識に、夜はますます深い。
8)懐かしいあの”返還”前の日々。リリィが歌うのは、香港がまだまだ素敵だった頃の歌だよ。まるで風に吹かれて飛び去っていった思い出みたいに響く、淡く透き通ったサウンドと歌声の行先に、帰れる場所があるみたいに思えてくる。どこかにきっと。
9)この歌い手が祖母の法事の席にやって来て歌ってくれたことは、よく覚えている。なんてエピソードがあってもいいような気もする。あるわけがないにしても。
それは子供の頃、祖母の背中に負われて聴いた遠い日の子守唄のような、あるいは高熱にうかされて布団の中で寝汗にまみれながら見た奇怪な悪夢の中で鳴り響いていた歌にも似ている。
彼女は遠くウズベクの地で砂嵐に吹かれながら、我々はこの東の小島で、時のはじめから同じ歌を歌ってきた同胞なのだ。
10)実は、これをベスト1に選ぶって行き方もあったんだけど、そこまでの度胸はありませんでした。
ギター&民俗パーカッションの、韓国の女の子二人による笑いと狂気のユニット。韓国の民族音楽やロックやフォークがユーモアとヒステリーの狭間を、溶け合わぬままの塊で漂流している。
実は彼女等の演奏、めちゃくちゃをやっているのかと思っていたのだが、イントロでトチり、何度も同じ演奏をやり直すライブ映像を見、これはすべてアレンジされたものを演奏しているのだと知り、ますます頭を抱えた。
ああ、やっぱり一位にしておくべきだったかな。このヒリヒリする違和感が大好きだ。