”ORIGINALITE by FRANCO & TPOK JAZZ ”
故・フランコこと、フランシス・ルアンボ・マキアディ Francois Luambo Makiadi と言えば、コンゴリーズ・ルンバ、日本で言うところのリンガラ音楽の開祖の一人というか巨匠、リンガラ音楽の厳父などとも呼ばれている。
さらには、複雑にギター群やらコーラス、リズムやハーモニーが絡み合う、その音楽性のありようと”対位法”とを絡め、フランコをアフリカのバッハなどと呼ぶ人までいるようだが、そこまで行くと悪乗りのような気もする。
これは、彼が率いるT.P.O.K.ジャズが、地元コンゴのローカルレーベルに残した初期作品復刻集。デビュー曲から50年代終わりごろまでの音源の再発との事。
巨匠の最初期の仕事に接することが出来る訳だが、その音楽の表情はと言えば、きっちりとした構成美を誇る、完成期の彼とくらべ、なかなか人懐こいものを持っていると言えるのではあるまいか。
まだアフリカ音楽の独自色も確立されていない時代である。アフロ・キューバン音楽やカリプソなどの影響も生のまま残るそれらは、ゆったりのんびりした下町の人気者的な気の置けない楽しさを伝えるものである。
つい、「なんだよなんだよ、フランコの旦那、昔は結構話の分かるおにーさんだったんじゃねーか」などといいつつ、一緒に酒でも飲みに行ってしまいたくなるのだが、そうは行くものか。
その演奏の間に差し挟まれるフランコのギター・ソロの鋭さ、完成度の高さは、今日の耳で聞いてもやはり凄い。だれかけていた背筋も思わず伸びようかと言うもので、デビュー当時からフランコはフランコだったんだなと舌を巻かずにはおれないのだった。
1度、キンシャサでもう、決定的なOK.Jazzの演奏をTVで見たんですが、まぁ、凄かったです。最初からフランコはギターを弾いていたと思うんですが、はじめはフランコに気が付かないくらいに他のパートの演奏が盛り上がっていき、ダンサーが出てきて踊り始めると、あの分厚いコーラスが甘~く始まるんですよね。もう、コレだけでほぼ、OK.Jazzは出来上がってるんですが、コーラスが2コーラス位終えると、ここでフランコの登場です。歌というか、あのフランコの語りの様な、演説のようなアレが延々と始まるんです、さぁ、最後の自身のギター・ソロで楽団の演奏は最高潮に盛り上がった所で、また甘~く、切ないコーラスが何度も何度も同じフレーズを歌い上げて終焉に向かうという。。。もう、体の芯まで熱っつ~くなったのを覚えています。。。まさに至福の時でした。
ああ、読んでいるだけでも、フランコのあのドヨ~ンとでっかい音楽世界に浸った気分にさせていただきました。
リンガラが興味の中心にあった頃は、まあフランコも聴いてはいたんですが、当然のようにパパ・ウェンバのルンバ・ロックなどメインに追いかけてしまっていて。
でも今、冷静な気持ちでリンガラを聴きなおすことが出来るようになって、再評価といいましょうか、改めてフランコの音が聴きたい気分になっています。