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国葬令の条文 現代語訳

2022年10月06日 | 歴史を振り返る
国葬令の条文 現代語訳
(はじめに)
 現代語訳
昔の条文は漢字片仮名でとっつきにくいので、国葬令の条文を現代語訳してみました。全五条と短い法令です。

国葬令(大正15年10月21日勅令第324号)
昭和22年12月31日限りで失効。

(私訳)
第一条 大喪の儀(天皇の葬儀)は国葬とする。
【原文】
第一條 大喪儀ハ國葬トス
(コメント)
一条は大喪の儀、即ち天皇の葬儀を国葬と定めています。現行の皇室典範25条では、「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」と規定しており、〈国葬〉との文言は用いていません。

(私訳)
第二条 皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び摂政である親王、内親王、王女、王の葬儀は国葬とする。但し、皇太子、皇太孫が七歳未満でお亡くなりになった場合はこの限りではない。
【原文】
第二條 皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃及攝政タル親王内親王王女王ノ喪儀ハ國葬トス但シ皇太子皇太孫七歳未満ノ殤ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
(コメント)
二条は皇族のうち必ず国葬となる者についての規定。皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃が亡くなった場合、親王、内親王、王女、王は摂政であった場合は国葬となるとの規定です。
現行の皇室典範では、皇族の葬儀については規定していません。

(私訳)
第三条 国家に偉功ある者が死亡したときは、特旨により国葬としなければならない。
2 前項の特旨は勅書をもって行い、内閣総理大臣はこれを公告する。
【原文】
第三條 國家ニ偉功アル者薨去又ハ死亡シタルトキハ特旨ニ依リ國葬ヲ賜フコトアルヘシ
前項ノ特旨ハ勅書ヲ以テシ内閣總理大臣之ヲ公告ス
(コメント)
一条(天皇)、二条(皇族)以外の者について国葬とする場合の規定です。この場合は「国家に偉功あること」「天皇の特旨」が要件となります。手続きとして、特旨は勅書をもって行い、内閣総理大臣が公告する必要があります。

(私訳)
第四条 皇族でない者の国葬においては、葬儀を行う当日は廃朝し、国民は喪に服する。
【原文】
第四條 皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ヲ行フ当日廢朝シ國民喪ヲ服ス
(コメント)
廃朝とは、天皇が政務に臨まないこと。喪に服す(原文は喪ヲ服ス)が今回の国葬では問題になりましたが、国葬令では具体的な内容は規定されていません。

(私訳)
第五条 皇族でない者の国葬においては、葬儀の方法は内閣総理大臣が勅裁を経てこれを定める。
【原文】
第五條 皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ノ式ハ内閣總理大臣勅裁ヲ経テ之ヲ定ム

(終わりに)
最後に私訳と原文をまとめて掲げておきます。

国葬令(大正15年10月21日勅令第324号)
(私訳)
第一条 大喪の儀(天皇の葬儀)は国葬とする。
第二条 皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び摂政である親王、内親王、王女、王の葬儀は国葬とする。但し、皇太子、皇太孫が七歳未満でお亡くなりになった場合はこの限りではない。
第三条 国家に偉功ある者が死亡したときは、特旨により国葬としなければならない。
2 前項の特旨は勅書をもって行い、内閣総理大臣はこれを公告する。
第四条 皇族でない者の国葬においては、葬儀を行う当日は廃朝し、国民は喪に服する。
第五条 皇族でない者の国葬においては、葬儀の方法は内閣総理大臣が勅裁を経てこれを定める。

【原文】
国葬令(大正15年10月21日勅令第324号)
第一條 大喪儀ハ國葬トス
第二條 皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃及攝政タル親王内親王王女王ノ喪儀ハ國葬トス但シ皇太子皇太孫七歳未満ノ殤ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三條 國家ニ偉功アル者薨去又ハ死亡シタルトキハ特旨ニ依リ國葬ヲ賜フコトアルヘシ
前項ノ特旨ハ勅書ヲ以テシ内閣總理大臣之ヲ公告ス
第四條 皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ヲ行フ当日廢朝シ國民喪ヲ服ス
第五條 皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ノ式ハ内閣總理大臣勅裁ヲ経テ之ヲ定ム
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