南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

違法駐車をしていた者の責任

2008年10月22日 | 未分類
 放置されていた違法駐車の車に衝突し被害者が死亡したとき、違法駐車をしていた人に、被害者が死亡したことの責任を問えるかという問題があります。

 民事上、損害賠償請求が認められたケースもありますが、刑事上で業務上過失致死が争われたケースというのは、これまで耳にしたことがありませんでした。

 ところが、10月21日の読売新聞千葉版を見ていたら、千葉地裁松戸支部10月20日判決で、違法駐車をしていた男性に無罪を言い渡したケースが報道されていました。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20081020-OYT8T00799.htm
 同記事によると、
 被告人は、駐車禁止の市道に尾灯の点灯や三角反射板の設置をしないままダンプカーを駐車。約10分後に被害者のバイクが追突し、被害者は頭を強く打って間もなく死亡した。
という事実関係。
 
 公判では、被害者がダンプカーを発見することが困難だったかどうかが争点となり、裁判所は判決で「ダンプカーについていた後部反射板に十分な反射能力がなかったとは言えず、発見困難とする検察の立証は不十分」とした。

というのです。

 この記事から、刑事事件では、
 駐車車両が存在した
 それが駐車禁止区域内の駐車であった
 それにより被害者が死亡した
というだけでは、有罪にできないということがわかります。
 
 遺族の側からすれば、違法駐車がなければ、被害者は死亡しなかったのに・・・という意識が強いためこのような判決には納得がいかないと思いますが、刑事事件では、検察官側にかなり重い立証の責任が与えられますので、それが果たせないと無罪になってしまうのです。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 後見人を裁判所はどのように... | トップ | 画像の借入 »
最新の画像もっと見る