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南斗屋のブログ

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CT、MRIの画像所見がないのに高次脳機能障害を認めた東京地裁判決

2009年09月23日 | 高次脳機能障害
高次脳機能障害をどのような場合に認めるかについては、様々な問題があります。

自賠責では、CT又はMRIの画像所見がない場合は、高次脳機能障害とは認めません(参考→過去記事)。

裁判例でも、自賠責の認定基準どおりとするものもありますが、自賠責の認定基準にとらわれずに高次脳機能障害を認定する裁判例もあります。→過去記事

自保ジャーナルを読んでいましたら、CT、MRIの画像所見がないのに高次脳機能障害を認めた判決が目にとまりましたので、紹介します。

被害者には、高次脳機能障害とみてもよい症状(記憶障害、学習障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動能力の低下、持続力の低下、知能低下)がありました。

しかし、CT、MRIの画像で脳損傷を示す所見がない。

そのため、被害者の症状が高次脳機能障害かどうかが問題となったのですが、裁判所は

・事故の衝撃が大きかった
・事故により被害者が頭部外傷を負った
・事故後に意識障害があった
・事故直後からの記憶障害がある
・SPECTでは血流低下が認められる
・事故前には、被害者の症状はなかった

ということを理由として、高次脳機能障害を認めました。
(東京地裁平成21年3月31日判決)

東京地裁では、自賠責の認定基準どおりとする判決が以前出されていましたので(別の裁判官ですが)、東京地裁内でも異なる認定基準の判決が出たことになります。
(この判決は、鈴木祐治裁判官によって書かれました)

高次脳機能障害の診断を受けたが、CT、MRIの画像所見がない為、自賠責では高次脳機能障害を認められなかった被害者にも、徐々に認定のみちが開け始めてきているようです。

もっとも、現段階では激しい医学紛争を裁判の中で行わなければならないので、道は決して平坦とはいえませんが(この東京地裁判決も訴訟が始まってから3~4年かかっています)。
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