南斗屋のブログ

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高次脳機能障害5級の裁判例 2

2006年04月25日 | 高次脳機能障害
 高次脳機能障害で5級、嗅覚障害・味覚障害で12級(併合4級)で労働能力喪失率85%を認めた裁判例が自保ジャーナルにのっていました(1632号5頁)。

 労働能力喪失率というのを何パーセントにするのかというのは、非常に難しい問題なのですが、「労働能力喪失率表」というものを厚生労働省が定めておりまして、この等級なら何パーセントというのが決まっているので、これを参考にして裁判では労働能力喪失率を出すことになっています。

 5級というのは、労働能力喪失率表では79%
 4級だと93%
 3級以上だと100%
になります。
 
 この裁判では、被害者側は高次脳機能障害は5級なのだけれども、労働能力は100%失われていると主張したのですが、裁判所は、4級と5級の中間の85%という値を認定しました。
 正に、足して2で割るという折衷的な判決ですが、判決によれば、「嗅覚障害・味覚障害は労働能力割合に影響は与えない」ということなので、高次脳は5級であるけれども、その程度が重いので79%という労働能力喪失率表そのものではなく、それを超えた喪失率を認めたと評価すべきかもしれません。

 なお、この判決、高次脳5級ですが、介護料日額2500円、介護者である妻の固有の慰謝料を200万円認めています。これも5級としてはなかなか珍しいことです。




 

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