南斗屋のブログ

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労災認定理由の開示

2006年04月15日 | 労働関係
 交通事故がおきた場合、被害者は多くは、加害車の車両の任意保険と接点をもつことになるわけですが、通勤の途中の事故であるとき等は、労働災害(労災)補償の問題も関わってきます。

 後遺症が残った場合、労災でも後遺症認定をしますが、自賠責の認定とは全く別のルートで行っています。自賠責は自賠責で認定を行い、労災は労災で認定を行うことになります。

 それぞれ別個の立場で調査をし、認定をしますので、自賠責では7級認定だったのに、労災では5級認定だったというように、労災の方が等級がいい場合や、あるいはその逆ということもありえます。

 自賠責では認定理由について書面で欲しいと要求すれば、簡単に手に入りますが、労災の場合は書面での認定理由の開示を、拒まれることもたびたびでした。
被害者の方が労災に認定理由を聞きに行くと、口頭では丁寧に教えてくれるのですが、書面で欲しいと要求しても、これを拒まれることがしばしばありました。
しかし、保有情報の開示を求めることは、本来個人の権利ともいうべきものであり、口頭では開示するが、書面では開示しないという扱いは、妥当ではないと思います。
 法律上も「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」というものがあり、それにより開示が行われるべきです。(同法18条1頁)

 労災もようやく末端にまでそのことが徹底されたのか、最近は保有情報の開示を、書面でするようになりました。

 ある被害者に開示されたものは
・障害認定調査結果復命書
・医師の意見書
でした。
 
 この「障害認定調査結果復命書」というのは、調査官のレポートで
・ 災害の概要(交通事故の場合は事故状況)
・ 療養の経過
・ 調査記録、調査内容
・ 調査官の意見
が記載されています。

 これを見れば、労災側がどのような調査をし、どのような事実を認定して、等級を認定するに至ったかがわかります。

 もっとも、これらが全て開示されているわけではなく、意見を記載した医師の氏名、住所等は黒塗り(非開示)とされていました。
これは「行政機関の保有する保護情報の保護に関する法律」が開示を請求する者以外の、特定の個人を識別できる情報は、非開示とすることができると、記載しているからです。(14条)

 一番知りたいことがわかれば、黒塗りをされても気になりませんが、一番知りたいところが黒塗りされているときは問題です。この場合は、異議を申立てる道が残されていますので、その手続きを取る必要があります。




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