リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

☆保証期間中で良かったマンションの雨漏り事件

2016年05月03日 | 日々の風の吹くまま
5月2日。あっという間にもう5月。ビジネスが年度末を迎える「魔の3月」に入ってからは仕事が立て込んだりしたけど、今日本はゴールデンウィークの真っただ中で仕事戦線もちょっとひと休み。ただし、月曜日と金曜日が「平日」なもので、これ幸いとばかりに金曜日の朝が期限の仕事を送り込まれたけど、そんなに詰まるほどの量ではないから、ま、いっかぁ、と休めなかったコーディネータさんに返事。週のど真ん中に三連休で、日本全国いったいどれだけの人たちが10連休のミニバケーションを取っているんだろう。週明けに1日仕事をして、週末前にまた1日仕事というのはあまり効率的でないような気もするけど、カレンダーがそうなんだからしゃあないか。でも、通勤電車はいつもより混雑が少なくて楽かな。それを見ると休みを取れなかった自分がかわいそうになると言う人もいるのかな。来年は少なくとも自然に5連休になるはずだから、今から来年のレジャー計画を立てるのも気晴らしになっていいんじゃないかと思うけど。

私たちの新しいライフスタイルもそろそろ9ヵ月。分譲マンションのいろんなイベントを経験して、ある意味でマンション暮らしのリズムや習慣のようなものがほぼ身に付いて来たような気がする。年を取ってからの住み替えは、住み慣れた住居の荷物をまとめて引っ越すという物理的なストレスよりも、日常生活の環境の変化による心理的なストレスの方が格段に大きいんじゃないかと思うけど、やがては介護付きホームに入ることを見越してのダウンサイズは思いのほかスムーズに行って、落ち着くのに時間がかからなかったのは今でもちょっと意外。運よくいろんな面でタイミングが良かったということもある。

旧居の売却を条件にこの「23階の我が家」の売買契約を結んで、新築から27年住んだその家を解体・新築することを条件に売り出したら1週間もかからずにあっさり売約済みになって、売買契約の確定を待っていたのが去年の今ごろ。いきなり1億ン千万円のお金が入って来て仰天してからほぼ1年。バンクーバーの住宅市場はあれからも上がり続けていて、今ならもっと高値で売れたのに早まったのではと言われることがある。でも、戸建てが高くなりすぎた勢いでマンションも戸建て並みのペースで値上がりし始めているから、もっと高く売れても、もっと高く買うことになるわけで、結局は同じことだと思う。それに、あれから候補だった3地区のどこにも新居と同じかそれ以上の条件の物件は出て来ていないから、待つことで得られたかもしれない金銭的な利益と待たなかったことで得た日常生活の満足度を比べたら、ダウンサイズでいくらかまとまったお金が手元に残れば良かった私たちにとっては後者の方が何倍、何十倍もの価値があるということで、売買の両側でタイミングが良かったとしかいいようがない。

今のところ唯一の「想定外」のハプニングはリビングのフローリング下の雨漏り浸水。暮れあたりからところどころでフローリングがポコッと膨れ始めて、直感的に窓枠の防水シールの不具合を疑ったんだけど、たまたま管理会社から「結露による壁と床の被害防止」というメモが回って来て、とりあえずメモにあった処置の他に自分なりの結露防止策も講じて様子見。そうしたら、何と窓からずっと離れたところにまた新しいのがポコッ。それも床にこぼした水が浸み込んでできるような継ぎ目の膨れではなくて、板の真ん中に3つ。それが1週間後にはつながって長い楕円形の膨れになってしまった。やっぱり結露の被害(私たちのせい)なんかじゃない![写真]

そこで管理人に相談して、問題の発生状況と間取り図に膨れの発せ箇所を赤丸で示したレポートを管理会社に出したら、デベロッパーのBosaからカスタマーサービスの担当者がすっ飛んで来て調査。さすが州の最大手のひとつで、定評のあるデベロッパーだけある。膨れたところにゲージを当てて「濡れていますね」。バルコニーから身を乗り出すようにして窓枠の隅を目視検査して「防水のコーキングの不具合ですね。このあたりでは珍しいことではないんです。修理の手配をしますからご安心を」。つまり、ワタシの最初の直感が正しかったということなのだ。翌朝に別の人が来て一部のフローリングと防水/遮音アンダーレイを剥がしたら、あらら、むき出しになったコンクリートの床の上に水たまりが!どうりで冬中の電気代がすごかったはずだな。床暖房ならぬ「水冷式」の床冷房になっていたんだもの。

荒れ模様のときに一番雨風が当たる側の窓の隅の防水シールにできた小さな割れ目から浸み込んだ雨がフローリングの下にたまり、リビングを斜めに横断してダイニングエリアにまで広がって行く途中でアンダーレイの継ぎ目を見つけてしみ出し、「中密度繊維板」のフローリングに吸い込まれて膨れを作っていたという結論になった。水と言うものは乾いているところへ、低いところへとひたすら這って行くものなんだそうで、さすが地球上のあらゆる命の素だけあって、そのエネルギーの威力に恐れ入ってしまった。とにかく、問題の原因が建物の外壁にあると認定されて、保証期間中だったので被害を受けたフローリングは無償で修理してもらえることになった。

カナダには俗に「2-5-10」(内装設備2年、エンベロープ5年、構造体10年)と呼ばれる住宅保証制度が義務化されていて、建築業者はそのための保険に加入して補償費をまかなうことになっている。ここには1980年代後半から90年代の終わりにかけてBC州で起こった大規模な雨漏り被害から得た教訓が生かされている。あの当時は建築ブームでアメリカのカリフォルニア州や地中海諸国の住居をまねたポストモダン様式のマンションが続々と建てられ、建売の戸建ては「カリフォルニアピンク」という、派手だけどあまり冴えない印象の色が主流だった。

雨漏り問題の原因のひとつは、夏は冷涼少雨、冬は温暖多雨という温帯雨林地域に太陽が燦々と輝く乾燥した土地のデザインを持ち込んだことで、BC州だけでも木造の低層マンションを中心に900棟以上の建物に総額4000億円の被害が出た。修理費を払えずにマイホームを捨てた人たちや破産した人たちも多くて社会問題にまでなり、続々と集団訴訟が起こされた。その後、州政府が設置した調査委員会の報告を元に建築基準法で雨漏りを防ぐ工法が義務付けられて、フォローアップの調査では効果を挙げていることが確認されている。今回の雨漏りはその5年保証の対象で、今は住宅の検査士や建物の外壁の修繕スペシャリストの認定制度もできているし、かっての「leaky condo crisis」(「雨漏りマンション危機」)から得られた教訓が国の建築基準法から州の建築基準法、さらには自治体の建築条例にまで取り入れられて活かされた例と言える。

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とんだハプニングではあったけど、家具を動かすことに始まって、リビングとダイニングの床を最初考えた以上に広範に剥がして濡れたコンクリートを乾かし、新しいアンダーレイを敷き詰めて管理人室の隅に保管してあった予備のフローリング材を入れ、幅木の後ろの腰壁に発生していた黒かびを除去して、カビ止めをスプレーして、新しい幅木を取り付けてペンキを塗るまでのほぼ6週間、日常生活への支障がないようにとずいぶん気を遣ってくれたのには感心。おかげで、無償修理だからすべてお任せで良かったと言うこともあったけど、旧居で何度も改装工事をやった私たちは「工事現場」での生活にけっこう慣れていたので、ほとんどストレスを感じないで済んだのは幸いだった。中古マンションが売りに出ると不動産屋の広告に必ずと言っていいほど「Bosaが建てた」というひと言が入るわけがわかったような気がする。丁寧な対応は何も日本に限ったことじゃなくて、どこでも高い評判を築き上げた企業のプライドそのものなんだと思う。

そうこうしているうちに、先週は月曜日に年2回の洗濯乾燥機の排気口の掃除があって、火曜日からは窓の清掃。ただし、住人が自分で拭くことができない窓だけなので、バルコニーのドアや両脇のガラス壁、手すりにはめ込んだガラスパネルの内側は対象外。我が家の場合は、屋上からロープで下がって来て拭いてくれる窓はリビングの6面だけで、バルコニーに面したドア2枚とガラス壁6面に加えて、広いルーフデッキに面して並ぶ寝室、オフィス、ダイニングエリアにドアが2枚、ガラス壁が10面は全部自分で外側と室内側を掃除しなければならないし、さらに手すりのパネルがバルコニーとデッキを合わせて20枚あるから世話が焼ける。隣の角部屋ユニットは端から端までぐるっとルーフデッキなのでもっとタイヘンそうだけど・・・。[写真] 

でも、夏を思わせるような週末の陽気につられて、スプレータイプのガラスクリーナーとひと山の雑巾を持ってバルコニーとデッキに出て、踏み台を上がったり、屈んだり背伸びしたりして、大汗をかきながら、外のガラスをぜぇ~んぶきれいに掃除したら、世界が明るく広がって見えて、なんとも爽快な気分。手をいっぱいに広げて、お日様をいっぱいに浴びて、胸いっぱいに深呼吸。掃除というのは、することじゃなくてした後にこそ楽しさがあるものなんだなあ・・・。[写真] 


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