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尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

小山正明、畠山重篤、山口崇、徳岡孝夫他ー2025年4月の訃報②

2025年05月08日 19時40分56秒 | 追悼

 2025年4月の訃報、日本人編は元野球選手、小山正明から。4月18日死去、90歳。阪神、大毎(現ロッテ)、大洋で活躍し、通算勝利数320勝は歴代3位。それなのに今ひとつ知名度が低いと思うが、引退後にコーチだけで監督をしていないからだろう。阪神時代の62年には27勝11敗で優勝の原動力となった。(しかし、その年は中日の権藤が30勝で最多勝利だった。)翌63年のオフに「世紀のトレード」と騒がれた山内一弘選手と交換で大毎オリオンズに移籍した。(映画会社の大映と毎日新聞で「大毎」、直後に東京オリオンズと改称)。年齢的に僕はその後しか知らず、小山と言えばパリーグという印象である。64年には30勝をあげて最多勝利となった。コントロールにすぐれ「精密機械」と呼ばれた。引退後は阪神、西武、ダイエーでコーチを務め、2001年に野球殿堂入り。

 (小山正明)

 海洋資源を守るため環境保全運動(「森は海の恋人」)を進めた畠山重篤が4月3日死去、81歳。肩書きとしては、カキ養殖漁師、NPO法人理事長、エッセイスト。宮城県気仙沼でカキ養殖をしていたが、60年代から赤潮被害が発生するようになった。その原因として上流地域の森林荒廃に着目し、森の植樹運動などを始めた。著書に『森は海の恋人』(1994)、『漁師さんの森づくり』(2000、産経児童出版文化賞、小学館児童出版文化賞)、『日本〈汽水〉紀行』(2003、エッセイストクラブ賞)、『鉄が地球温暖化を防ぐ』(2008)など多数。吉川英治文化賞受賞。僕もずいぶん読んで来たが、次第に「有名人」になったかなと思う。

(畠山重篤)

 俳優の山口崇が4月18日死去、88歳。この人は今でも『天下御免』の平賀源内と言われる。NHKで1971~72年に放送された時代劇で、確かに面白くて林隆三の出世作でもあった。今年の大河ドラマに源内が出て来るのでインタビューを受けたら、声がかすれていて検査して肺がんが判明したとWikipediaに出ている。また『大岡越前』の徳川吉宗役を30年近く演じたり、「クイズタイムショック」の司会者を田宮二郎の後を受けて78年から86年まで務めた。そういう風に「お茶の間の人気者」だったのだが、元は舞台人で劇団俳優小劇場の創設メンバー。小沢昭一の芸能座を加藤武、山谷初男らと結成したメンバーでもあった。邦楽に造詣が深く、本人も長唄の名取りだったが、長男が3代目杵屋巳三郎を襲名しているほどだという。

(山口崇)

 ジャーナリスト、評論家の徳岡孝夫が4月12日死去、95歳。毎日新聞記者としてバンコク特派員などを務め、ベトナムや中東情勢を取材した。1970年、サンデー毎日記者時代に、「三島事件」当日に親交のあった三島由紀夫から依頼され「楯の会」関係者から檄文を託されたことで知られる。73年にドナルド・キーンとの共著『悼友紀行』を刊行(現在は『三島由紀夫を巡る旅 悼友紀行』として新潮文庫に収録)。それをきっかけにキーンの信頼を得て『日本文学史』の訳者となった。三島との交流は『五衰の人』(1997)を刊行、新潮社学芸賞受賞。保守派の論客と知られ、雑誌『諸君!』によく書いていた。トフラー『第三の波』、トーランド『真珠湾攻撃』、ニクソン『指導者とは』、『ライシャワー自伝』など話題作の翻訳者でもあった。高齢になって忘れられたか訃報が小さかった。

(徳岡孝夫)

 「保守派」にもう一人、美術史家の田中英道が4月30日死去、83歳。東北大名誉教授。日本美術の世界的価値を高く評価し、国中公麻呂(くになかのきみまろ、東大寺大仏を作ったと言われる)を「天平のミケランジェロ」と評するなどした。しかし、次第に「トンデモ」化していき、「新しい歴史教科書をつくる会」会長を務めるなどした。

(田中英道)

 『今日の日はさようなら』の作詞、作曲をした金子詔一が4月1日死去、82歳。青少年キャンプ団体ハーモニィセンター設立に参加、1966年にキャンプソングとして『今日の日はさようなら』を作った。この曲は森山良子が歌って多くの人に知られ、卒業式などの定番ソングとなった。僕も最初の卒業生を出した時にクラスで歌った思い出がある。(昔はそんなことが可能だったことに驚くけど、20世紀の話。)その後は英語教育や「英語九九」の普及に努めたらしい。1975年の都知事選に出たこともある。

金子詔一)

 和歌山県知事の岸本周平が4月15日死去、68歳。財務官僚、トヨタ自動車を経て、2009年に民主党から衆議院議員に当選。その後、民進党、希望の党、国民民主党から5回当選。2022年の知事選に出馬して当選、一期目の途中だった。

(岸本周平)

・ラジオプロデューサー、作家の延江浩が6日死去、67歳。FM東京でラジオプロデューサーとして活躍、ギャラクシー賞など多数受賞している。村上春樹の「村上RADIO」を担当した。映画『大鹿村騒動記』の原作他、『愛国とノーサイド』など著書多数。

・画家や作家など幅広く活動した大宮エリーが23日死去、49歳。電通でコピーライターとして活動後、脚本家、映画監督、エッセイスト、画家、演出家、ラジオパーソナリティなど多くの分野に渡って活動していた。

・弁護士の阪口徳雄が24日死去、82歳。1971年に青年法律家協会所属の裁判官の任官拒否問題に、司法修習生として異議を唱えて罷免された。その後再び修習生となり73年に弁護士となった。政治資金オンブズマンを務め、森友学園訴訟などに関わった。

・女優の入江杏子が24日死去、97歳。劇団民藝に所属して50年代に『アンネの日記』や『セールスマンの死』などに出ているが、それ以上にこの人は檀一雄『火宅の人』のモデルとして知られる人なのである。最近まで生きていたのかと感慨深い。

 


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