尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

上野鈴本で桃月庵白酒「富久」を聴く

2021年12月22日 20時48分17秒 | 落語(講談・浪曲)
 最近落語家の訃報を書くことが多く、そろそろ寄席に行きたいなと思っていた。年内にどこかと思って、上野鈴本演芸場に行ってきた。最近は浅草に行くことが多かったが、思い出してみれば鈴本が一番落語を聴いてる場所だろう。ホール落語だと夜が多いので、昼間に行くとなると寄席になる。しかし、ヒマやお金の問題と別に寄席だと、客席が小さくてずっと聴いてるのが大変。腰が痛いときには行けないという大問題がある。まあ映画館のような席にしてくれとは言わないが、結構大変なのである。

 今やってるのは「一発逆転 千両富くじ! 暮れの鈴本 富久まつり」と題して、4人の演者が日替わりで「富久」を語る。鈴本演芸場は落語協会しか出ないので、コロナ禍でもっとも大きな影響を受けたと言っていい。(落語協会で感染者が出た。)その後、昼間だけの公演を再開し、今は夜もやってるが、時間が短くなっている。月曜は休演日とし、年末も27日~31日は休演している。そんな中で、一つの演目を何人かが日替わりでやるような企画をやることが多い。普通は10日間同じ顔ぶれだからあ、少しでもファンが日参してくれればということか。
(桃月庵白酒)
 今日のトリは桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)で、この人こそ昨年コロナに感染してしまった人の一人だが、すぐに復帰して活躍している。僕は落語協会中堅でもっとも面白い人の一人だと思っている。いろんな落語家がいるけれど、(登場人物の)何気ない反応、ちょっとした一言がおかしいのである。噺は知っているわけだが、なんか一言付け加わって面白い。今日は右手に包帯をしていて、やけどで病院に行ってきたと言っていたが、火事が出て来る噺だから、時々自分をネタにして笑いを取る。

 「富久」は酒でしくじった幇間(ほうかん・たいこもち)が暮れに富くじを買ってしまう。絶縁された旦那が住んでる日本橋辺が火事と知り、すぐに駆けつけて出入りを許されるが…。その間に住んでいた浅草でも火事が起こって、長屋が焼けてしまう。数日後、たまたま富くじ抽選に行き会い、調べてみると買ったくじが当たってるではないか。じゃあ富くじと引き換えにと言われると、くじは家ごと焼けてしまった…という展開の噺である。落語だけではなく、大衆芸能には「年末もの」がある。落語だと「芝浜」や「掛取り」が代表だが、日頃の商売が掛け売りで歳末に一斉借金払いという商習慣から、年末にはお金の苦労がつきものになる。

 今日は柳家小ゑん(おでんの新作落語で笑わせた)、ごひいきの古今亭文菊(湯屋蕃)、春風亭一朝、漫才のロケット団などが前半。中で柳家小八の「千早振る」がおかしかった。この人は柳家喜多八に入門したが、喜多八が2016年に亡くなり、大師匠の柳家小三治のもとで真打に昇進した。小三治のモノマネがおかしく、農工大で物理学を学んだと言ったら、小三治が学んだことを生かさなくてはと言った。ということで、「千早振る」の物理学版という珍品である。ニュートリノとかカミオカンデの話になっちゃうから、意想外の展開に笑撃である。
(柳家小八)
 後半は実は初めて聞いた(と思う)隅田川馬石五明楼玉の輔に、動物物真似の江戸屋小猫、紙切りの林家正楽と安定した芸に満足。そしてトリが白酒だから、やっぱり寄席は面白いと思って帰ってきた。家から近いから、やっぱり上野、浅草でもっと寄席に行こう。上野の街には双子パンダの名前がはためいていた。上野松坂屋本館もパンダ絡み。上野に行くと、「うさぎ屋」でどら焼きを買おうか、松坂屋の地下で日光金谷ホテルのパンを買おうかなどと迷うのだが、今日はまあ止めておこう。24日に地元でケーキを買うかと思って帰ってきた。
(鈴本演芸場)(パンダの名前が)(上野松坂屋本館)
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