尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「石破首相」の可能性はあるかー2024自民党総裁選はどうなるか?

2024年06月27日 21時31分24秒 | 政治
 2024年の通常国会は延長せずに6月23日で閉会となった。政治資金規正法改正をめぐって、会期を延長してさらに検討すべきだという意見もあったが、結局あれでオシマイ。批判を書いても良かったんだけど、かなりテクニカルな問題が多いので止めておくことにした。最終盤で「日本維新の会」が改正案に「衆議院で賛成、参議院で反対」という不可思議な対応を取った。まあ自民党にうまくやられたわけだろう。「維新」についていちいち細かく指摘するのも面倒だから書く気が起きない。放っておけば、そのうち内輪もめなどが起きて支持率が下がると思ってるので放置している。

 ということで、政局の焦点は9月の自民党総裁選。いや、岸田首相はまだサプライズ解散を諦めていないという観測もあるらしいが、やはりそれは不可能だろう。今後、パリ五輪、首相外遊に、電気代の補助も再開して…、少しは支持率もアップしたら? いや、自分が自民党衆議院議員だったら岸田首相のもとで選挙には臨みたくないと思う。もし解散なんて言い出したら、党内反乱が勃発するだろう。3月に「それで岸田内閣は結局どうなるのかーやはり9月に辞職か?」を書いたが、現時点の観測を少し。
(河野太郎氏出馬か?)
 まず河野太郎デジタル相総裁選出馬を麻生副総裁に伝えたとかいう情報が流れている。それが本当かどうか現時点では不明だが、河野氏は自民党の異端だったときは面白かったが、権力を狙うようになってからは「独裁者気質」が前面に出て来たように見える。「マイナ保険証」ごり押しもあって、「河野首相」は困ると思うが、それ以前に今回の経緯はおかしくないか。自民党各派閥が(形だけであれ)「解散」した現在、ただ一つの派閥として「麻生派」が残っている。河野氏が派閥を離脱することなく、所属派閥のトップに出馬意思を伝えたとしたら、「逆行」した動きである。それに現職閣僚が出馬するということは、首相に反旗を翻すのと同じ。まずは岸田首相に大臣の辞表を提出するのが先だろう。
(岸田退陣を求めた菅前首相)
 もともと岸田氏の総裁再選は難しいと誰もが思っているわけだが、では誰が最初に狼煙を上げるか? それはやはり菅義偉前首相だった。各種マスコミ(オンライン番組、雑誌等)で「事実上の退陣要求」を突きつけている。「(裏金問題で)岸田総理大臣自身が責任を取っておらず不信感を持つ国民は多い」「ことし秋までに行われる総裁選挙で党勢回復に向けて刷新感を示すことが重要だ」と述べたというのである。お説ごもっともというしかないが、では誰を後継にするべきなのか?
 
 前回の記事では「上川陽子外相」の可能性を指摘したが、現時点では不明になったと思う。上川氏に「失言」問題があったし、やはり「華がない」感じが付きまとう。もともと「岸田派」であり、首相が引かない限り自分から出馬するとは思えない。それに各種世論調査で次期首相への期待感が少ない。岸田首相の支持率が低いだけでなく、最近は投票先としての自民党支持が減っている。「政権交代」を求める声も高くなっている。そうなると、いかにも「今度は女性総理にしてみました」感が支持率アップにつながるかは微妙で、かえって反発を招く可能性もある。岸田氏が自ら「後継は上川氏で」と言わない限り難しいかもしれない。
(2012年総裁選の安倍氏と石破茂氏)
 そうなると、相対的に存在感を増しているのが石破茂氏である。どんな世論調査でも「次期首相No.1」になる。小泉進次郎は経験が少ないと考えた時、なんで石破首相にならないのかと思う人も多いのではないか。まさにそういう点、党内基盤もないのに「正論」をぶって「後ろから弾を撃つ」、外の人気ばかり高いというのが「保守」の振る舞いとしては嫌われる。石破首相だけはあり得ないというのが、一応今も自民党議員のホンネだろう。だが、他の首相で選挙をして政権を失ったりしたら元も子もない。そこまで自民党の危機も深まったと考えるなら、石破総裁もまんざらあり得なくもないという状況になってきた。

 今まで自民党の危機が深まったときには、党内力学的にはあり得ない新総裁が誕生したことがある。ちょうど半世紀前、1974年に「田中金脈問題」が起こったとき、田中角栄首相の後任に三木武夫が選ばれた。その時は椎名悦三郎副総裁による「指名」という方法が取られた。また1989年の参院選で自民党が大敗したあと、海部俊樹が新総裁に選ばれた。この時はリクルート事件があって、党内実力者と言われた安倍晋太郎や宮澤喜一らが出馬出来なかったので、「クリーン」と言われた海部を主要派閥が担いだ。
(麻生副総裁と岸田首相の関係は?)
 最近の自民党の混乱ぶりは、過去のそういう事態を思い出すレベルになっている。そうなると、最後の派閥を率いながら現職の副総裁を務める麻生太郎氏の動向が注目される。麻生氏は「派閥解散」「(政治資金規正法改正をめぐる)公明党案受け入れ」をめぐって、岸田首相と溝ができたと言われている。だけど、岸田首相を支えるのか、代えるなら誰にするか、ちょっと前には「上川推し」みたいな印象があったが、今はどうかわからない。自民党は権力を握り続けるためには、どんな奇手をもめぐらすだろう。石破氏は現職衆院議員だから、まだしもありそうである。それどころか、すぐに(岸田内閣のままで)解散することを前提に、党外人材を総裁に選ぶことだって絶対にないとは言えない。何でもアリの政局が続きそうだ。
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