イラン情勢も長くなってきたので、今日でいったん終わりたい。ここでいくら書いていても結論は出ない問題だから。この間、イランで国会議員選挙が行われ、一方イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカを訪問してオバマ大統領と会談した。
ニュースによれば(毎日新聞)、
「イランの核開発問題でオバマ大統領が外交的解決を優先させたいと訴えたのに対し、ネタニヤフ首相は「イスラエルは自衛権を保持せねばならない」と強調し、イラン核関連施設への軍事攻撃の可能性を取り下げようとしなかった。冒頭のみ報道陣に公開された。オバマ大統領は「まだ外交的解決の余地はある」と言い、「首相も私も外交的に解決することを望んでいる。我々は軍事行動の代償を理解している」と語った。一方で「イランの核兵器獲得を防ぐためには、すべての選択肢が机上にある」とも言い、武力行使の可能性にも含みを残した。」冒頭のみ公開されたあと、2時間会談が続いたとある。
ネタニヤフ首相はそのあとで、「イスラエル系ロビー団体「アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)」の会合で演説し、イランの核武装化について「イスラエルは根気よく国際社会による外交的解決を待っていたが、これ以上は待てない」と語った。」という。ここには13,000人が出席した。
今年はスーパー選挙イヤー。ロシア大統領選が予想通りプーチンが勝利したが、最大の選挙はもちろん11月の米大統領選挙である。ここでオバマ再選がなるか、どうか。まだ対立の構図もはっきりしていないが、経済指標の好転が見られオバマ陣営に追い風となりつつある。しかし、この経済再建は思ったほど「チェンジ」するのが難しかった。何かあれば一転して一期目の経済政策を問われる場面もありうる。そういう中で、「ユダヤ票を失うわけにはいかない」「新しい戦争を始めるわけにはいかない」という、綱渡り外交を強いられることになる。イスラエルはオバマ再選を有力と見て、選挙まではオバマの要請を受け入れる形で「イラン攻撃を自制」して、イランの姿勢が替わらない場合は2013年初めにも攻撃に踏み切るのではないか、というのが一番ありそうな想定だと思う。
当面オバマ政権が早期のイラン攻撃を止めたいのは本心だろう。イラク戦争終結と言う「公約」を一応果たした形となっていて、ビン=ラディンも「仕留めた」ところに、絶対に泥沼になるに決まってるイラン攻撃に足を取られたくないだろう。イスラエルのイラン攻撃は、中東大動乱に結びつく可能性が相当に高い。しかし、イランの核開発は止められず、従ってイスラエルのイラン攻撃は「時期の問題」である(つまり「止めることができない」)という観測が強い。
イランの選挙は、ハメネイ師支持の候補が多数当選したと伝えられている。一昨年来、最高指導者のハメネイ師とアフマディネジャド大統領(革命防衛隊を支持基盤とする)が隠微な形で対立を続けている。これをどう見るかだが、これは支配層内部の指導権をめぐる対立であって、体制自体が揺らぐような問題ではないと思われる。聖職者ではない大統領が政争に勝つことは、本来ありえない。核問題に対しては、どちらの勢力も「欧米に屈するな。イランの核開発の権利を守れ」の立場であって、イランから折れて出ることは考えにくい。イランの場合、大統領や国会はさておき、最高指導者のハメネイ体制が変わらない限り政策の転換は難しい。経済制裁の効果は薄いとしても、他に打つ手がない。
イスラエルの特殊な政治情勢も考えておかなければいけないが、今回は省略。1967年の第3次中東戦争で占領したままのヨルダン川西岸やゴラン高原の問題の解決、つまりパレスティナ和平がならなければ、他の問題も残り続ける。しかし、イスラエル国内の政局はヨルダン川西岸の入植地からの引き揚げができる状況ではない。パレスティナ内部でも、選挙をやればガザ地区で強硬派のハマスが勝利したわけで、妙案がない。
アメリカも手の打ちようがない状態が続いているから、日本が何か言っても仕方ないと言えばその通り。でも日本にとってこれほど死活的な利害がからむ地域もないのだから、両者に向けもっときちんと平和の価値を発信するべきだと思う。インドネシアやトルコとともにイランに働きかけるべきというのは先に書いた。それとともに、この問題はイスラエルが核兵器を持つと言われ、イランも核開発を目指しているらしいという問題である。ここは「唯一の被爆国」である日本が発言する権利と義務がある。イランとイスラエルの有力者を「広島」「長崎」「福島」に招く活動をすべきである。
またイランのノーベル平和賞受賞者、人権派の女性弁護士シーリーン・エバディを招き、イランの人権状況を学ぶことも考えられる。4月にもアウン・サン・スー・チーが国会議員に当選し、国外活動もできるようになる可能性が高い。昨年のノーベル平和賞、リベリアのサーリーフ大統領も含め、「ノーベル平和賞女性受賞者シンポジウム」を日本で開催する試みをどこかで進められないか。などなど、いろいろ知恵をしぼり、内外に平和を訴える場を作ることを考えて欲しい。「北朝鮮」の核問題は一応の進展を見せた。(完全に信用できる段階ではないが。)イランもIAEAの査察を拒否してはいけないというのは基本線である。そこは「国際的圧力」以外に方法がない。日本もイランからの原油輸入を削減するのも、(アメリカとの関係を別にしても)やむをえないと考える。しかし、文化的関係などは続けて行って、イラン国民に働きかける場を確保しておく必要もある。ま、そんなところで。イラン映画は是非見ましょうね。イラン理解は大切だから。
ニュースによれば(毎日新聞)、
「イランの核開発問題でオバマ大統領が外交的解決を優先させたいと訴えたのに対し、ネタニヤフ首相は「イスラエルは自衛権を保持せねばならない」と強調し、イラン核関連施設への軍事攻撃の可能性を取り下げようとしなかった。冒頭のみ報道陣に公開された。オバマ大統領は「まだ外交的解決の余地はある」と言い、「首相も私も外交的に解決することを望んでいる。我々は軍事行動の代償を理解している」と語った。一方で「イランの核兵器獲得を防ぐためには、すべての選択肢が机上にある」とも言い、武力行使の可能性にも含みを残した。」冒頭のみ公開されたあと、2時間会談が続いたとある。
ネタニヤフ首相はそのあとで、「イスラエル系ロビー団体「アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)」の会合で演説し、イランの核武装化について「イスラエルは根気よく国際社会による外交的解決を待っていたが、これ以上は待てない」と語った。」という。ここには13,000人が出席した。
今年はスーパー選挙イヤー。ロシア大統領選が予想通りプーチンが勝利したが、最大の選挙はもちろん11月の米大統領選挙である。ここでオバマ再選がなるか、どうか。まだ対立の構図もはっきりしていないが、経済指標の好転が見られオバマ陣営に追い風となりつつある。しかし、この経済再建は思ったほど「チェンジ」するのが難しかった。何かあれば一転して一期目の経済政策を問われる場面もありうる。そういう中で、「ユダヤ票を失うわけにはいかない」「新しい戦争を始めるわけにはいかない」という、綱渡り外交を強いられることになる。イスラエルはオバマ再選を有力と見て、選挙まではオバマの要請を受け入れる形で「イラン攻撃を自制」して、イランの姿勢が替わらない場合は2013年初めにも攻撃に踏み切るのではないか、というのが一番ありそうな想定だと思う。
当面オバマ政権が早期のイラン攻撃を止めたいのは本心だろう。イラク戦争終結と言う「公約」を一応果たした形となっていて、ビン=ラディンも「仕留めた」ところに、絶対に泥沼になるに決まってるイラン攻撃に足を取られたくないだろう。イスラエルのイラン攻撃は、中東大動乱に結びつく可能性が相当に高い。しかし、イランの核開発は止められず、従ってイスラエルのイラン攻撃は「時期の問題」である(つまり「止めることができない」)という観測が強い。
イランの選挙は、ハメネイ師支持の候補が多数当選したと伝えられている。一昨年来、最高指導者のハメネイ師とアフマディネジャド大統領(革命防衛隊を支持基盤とする)が隠微な形で対立を続けている。これをどう見るかだが、これは支配層内部の指導権をめぐる対立であって、体制自体が揺らぐような問題ではないと思われる。聖職者ではない大統領が政争に勝つことは、本来ありえない。核問題に対しては、どちらの勢力も「欧米に屈するな。イランの核開発の権利を守れ」の立場であって、イランから折れて出ることは考えにくい。イランの場合、大統領や国会はさておき、最高指導者のハメネイ体制が変わらない限り政策の転換は難しい。経済制裁の効果は薄いとしても、他に打つ手がない。
イスラエルの特殊な政治情勢も考えておかなければいけないが、今回は省略。1967年の第3次中東戦争で占領したままのヨルダン川西岸やゴラン高原の問題の解決、つまりパレスティナ和平がならなければ、他の問題も残り続ける。しかし、イスラエル国内の政局はヨルダン川西岸の入植地からの引き揚げができる状況ではない。パレスティナ内部でも、選挙をやればガザ地区で強硬派のハマスが勝利したわけで、妙案がない。
アメリカも手の打ちようがない状態が続いているから、日本が何か言っても仕方ないと言えばその通り。でも日本にとってこれほど死活的な利害がからむ地域もないのだから、両者に向けもっときちんと平和の価値を発信するべきだと思う。インドネシアやトルコとともにイランに働きかけるべきというのは先に書いた。それとともに、この問題はイスラエルが核兵器を持つと言われ、イランも核開発を目指しているらしいという問題である。ここは「唯一の被爆国」である日本が発言する権利と義務がある。イランとイスラエルの有力者を「広島」「長崎」「福島」に招く活動をすべきである。
またイランのノーベル平和賞受賞者、人権派の女性弁護士シーリーン・エバディを招き、イランの人権状況を学ぶことも考えられる。4月にもアウン・サン・スー・チーが国会議員に当選し、国外活動もできるようになる可能性が高い。昨年のノーベル平和賞、リベリアのサーリーフ大統領も含め、「ノーベル平和賞女性受賞者シンポジウム」を日本で開催する試みをどこかで進められないか。などなど、いろいろ知恵をしぼり、内外に平和を訴える場を作ることを考えて欲しい。「北朝鮮」の核問題は一応の進展を見せた。(完全に信用できる段階ではないが。)イランもIAEAの査察を拒否してはいけないというのは基本線である。そこは「国際的圧力」以外に方法がない。日本もイランからの原油輸入を削減するのも、(アメリカとの関係を別にしても)やむをえないと考える。しかし、文化的関係などは続けて行って、イラン国民に働きかける場を確保しておく必要もある。ま、そんなところで。イラン映画は是非見ましょうね。イラン理解は大切だから。