工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

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お昼のうちに解説

2010年04月30日 15時33分33秒 | 鍼灸・東洋医学
先日の引き続き、本日は再びNHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の施灸シーンについて解説してみようと思います。

このシーンに先立つ事数日前、先日布美枝がはじめてキヨばあちゃんと会った時、おばあちゃんは「リウマチが痛む」というセリフを口にしています。これが前フリとなり、今日のシーンへとつながっているわけです。



それでだ。



佐々木すみ江さん演じる貸本屋のおばあちゃん(田中キヨ)が道端でギャンブルに行く息子にご立腹していたところ、急にリウマチの発作が起こります。偶然通りかかった布美枝が家まで運び、手三里にお灸をすえてあげるという一場面でした。

キヨばあちゃんの場合はおそらく証が布美枝の母とは違い、肝虚陰虚証。もう少し深く考察すれば、愚痴っぽくてイライラしている様子から、上焦に熱が旺盛な事がわかります。キヨばあちゃんはおそらく肝虚肺熱証、または肝虚心熱証のいずれかである事が推測されます。

では、なぜ布美枝の母と同じ場所にお灸をすえているのか?
考えられる理由は2つ。

①陽明経の熱が痛みの原因かも知れないため
脾虚陽明経実熱証のリウマチと肝虚陰虚証のリウマチは病理状態が非常によく似ており、病症と脈で慎重に判別しなければなりません。なぜかというと、脾虚で発生した熱が陽経に停滞している状態が前者であり、この熱が内攻して蔵に達すると肝虚陰虚証へ移行するからでございます。ただ、素人の布美枝にはそこまで判別する事は難しいでしょう。
そこで布美枝は熱が停滞するであろう経絡上に、とりあえず温灸をすえてみたというわけです。この方法なら「効かない」事はあっても「悪化させる」危険性は少ないでしょう。「運が良ければ効く」という消極的な治療法ですが、これは一般によく知られるいわゆるツボ療法(○○にはこのツボが効く、という類のもの)と同じ理論でもあります。証が合えば効きますし、証が違えば効果はありません。

②テレビ的な演出
もし仮に「肝虚陰虚証」のリウマチに温灸をすえるとしたら、例えば肺経なら魚際(手のひらの母指球辺り)、心包経なら労宮(手のひらの中央)や曲沢(肘の内側)あたりへの施灸が考えられます。しかし陰経への施灸は不恰好になりやすく、手のひらへの施灸はテレビ的に映りが悪い(笑)。専門的になり過ぎて、リウマチ治療という説得力にも欠けてしまいます。
視聴者に「リウマチのお灸」だとわかりやすく伝えるためには、布美枝の母と同じ場所(手三里)に施灸する方がいいだろうという配慮による演出だった可能性も否定できません。



さてさて。



布美枝にお灸をすえてもらったキヨばあちゃんは「はぁ~、あったかくていい気持ちだ」と思わず口に出して言ってしまいます。先日もお話したとおり、隔物灸は非常に気持ちがいいお灸なのでございます。
先日「お灸は熱くなる前に取り去る」と解説しましたが、今日はまだ火が付いて煙が出ている状態のお灸を取り除く場面がしっかり出て参りましたね。非常にいい演出だったと思いますよ(^^)b



お灸は少しくらい熱い方がよく効く・・・というのは大きな間違い。決して熱さを我慢する事なく、心地良くお灸をすえる。これが正しい温灸の使い方であり、キヨばあちゃんに「お灸の名人」と言わしめる要因なのでしょうね(*^^)
おばあちゃんは「灸あたり」についても言及していますが、温灸による灸あたりは熱さを無理に我慢して耐えた結果だと考えればわかりやすいでしょうか?鍼もお灸も、本来は心地良く施術を受けていただけるはずでございます。苦痛を我慢するような治療はよろしくないわけです。



5月上旬にももう一度、施灸シーンが登場予定だそうでございます(^∀^)
では、第3回目はその際に(;^^)
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (クボ)
2010-04-30 20:30:26
「お昼のうちに解脱」にみえて思わずクリックしてました。
疲れてるんでしょうか。
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Unknown (院長)
2010-04-30 22:11:09
私が解脱する頃には栃木がACLを獲っていると思います。
返信する

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