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生理の貧困 実戦教師塾通信七百六十三号

2021-07-02 11:09:12 | 子ども/学校

生理の貧困

 ~大手をふるう「正義」~

 

 ☆初めに☆

予定では福島の報告をするはずでした。でも、千葉県・柏市議会、そして議場外で「生理の貧困」のことが激論になった報告を受け、熱くなってしまいました。「ヤングケアラー」の時、すでにうんざりしていました。だから今回の「生理の貧困」をメディアが取り上げた時は、もう黙ってました。でも、市議会のことを聞いたもので、あわてて経過を確認し関係者もヒアリングしました。

福島のレポートは、来週にいたします。

 

 1 「# 生理の貧困」

 経済的な理由などで生理用品を購入したり、入手できない「生理の貧困」。コロナでアルバイトの収入が激減し、節約のために生理用品を使えなくなった専門学校生の声が、NHKでレポートされた。調査によれば、この状態に「学生の5人にひとり」が該当する、という。今年の3月のことで、これが発端である。

 これは専門学校に通う環境にある「学生」のことだ。それが生理用品に事欠いているという。貧困の極限というよりは、訴えにくい自分の環境がある、あるいは、コロナで引きこもってしまって動けない等、理由は様々だが、自分が前から抱えている問題で、生理用品の欠如も発生した。生理用品の不足は、あくまで学生が抱えている困難の「結果」だ。

 またこれは、児童・生徒のことではない。生理用品を簡単に入手できない児童・生徒がいるのは事実だ。しかし彼らは、専門学校生や大学生と違い、そんな状況を見守る周囲・大人の環境がある。まぁ確かに、いじめに気づかず放置する学級・学校もあるのは、ここで繰り返し報告している事実だ。しかし、そんな学校で「トイレにナプキン」をすれば、無自覚・怠惰のグレードはアップしてしまう。そこに今度は「ちゃんとやってる感」が作られるからだ。肝心なことは、困っている子に私たちが気づき近づけるのか、ということである。そして、その子が一体「何に困っているのか」を把握することだ。口にするのをはばかる「ナプキン」に困っているというには、別な「よほどの」理由がある。これがスタート地点だ。この「生理の貧困」論争は、いつだったかの「生きる力がない子には生きる力をつけましょう」と言っていた無能を思い出させる。メディアの訴える安っぽい正義感など、次々と目先を変えては離れていくネットの向こうを張るものだし、それに乗っかる政治屋どもは支持率と選挙で頭が一杯だ。曰く、困っている人を助けるのは社会の責任だ……。しかし地道で大変な作業がなければ、ついに「現場」には到達できない。いいことをするのに理屈はいらないだと? 気遣いのない、無神経で無責任な場所に遭遇すると、まるで「困ってるなら黙って施しを受けなさい」と言われているようで、恥ずかして仕方がない。

 「手厚くする」ことで「子どもが助かる」わけではない。

 

 2 市議会議員有志に欠けているもの

 先月の柏市議会の会期中、市議会議員有志の手によって「生理用品を学校のトイレに設置を求める」要請書が出された。それによると、教育委員会が「自分の使うもの(生理用品)は自分で持ってくる」「個室に設置すると消費量が増える」と答弁したという。そのことに抗議し、トイレに生理用品の設置を求める、というものだ。以下は議場内や外でのやり取りなどの報告をベースにしたものだ。

 以前、市教委(学校保健課)から柏市内の養護教諭に、お願いと調査依頼がされている。目的は「今まで通り、(生理用品に)困った時や必要としている児童生徒が保健室に行けば気兼ねなくもらうことができる……環境をさらに充実させ」とある。柏市内63校の養護教諭の回答では、無償配布が48校。忘れた等の理由によるのだが「後日返却が基本」が15校。トイレに設置しているのは1校だけだった。

 この事実もそうだが、私が直接委員会に聴いたところでも、「要請書」が指摘する乱暴な答弁が出てきたとは思えなかった。「自分の使うものは自分で持ってくる」とは、養護教諭回答の「後日返却が基本」がベースになってると思えたし、「消費量が増える」は、おそらくトイレに設置しているのが市内で1校だけだったことをバックにしている。つまり、その必要を現場は感じていない、と言いたかったと思えた。このことを答弁では「養護教諭の意見を都合のいいように解釈した」と批判したと聞いている。

 はっきり言うが、このことも含め、私は「要請書」に多大な違和感を持った。状況のつかみ方や支援の方法が、学生と子どもでは全く違うのに同じ扱いであること、そして「プライバシーの配慮」と言いつつ、これを構築する手続きと大変さに触れていない(分かっていない?)ことである。小中学校のトイレにナプキンを置くことが、どうして「プライバシーの配慮」となるのだ。口にするのをはばかるような現実を抱える子どもは、そっとしておくことが大事だとでも言うのだろうか。この議員有志たちは現場にもっと近づいて、その努力と困難のほどを見てほしい。

 「貧乏人をバカにするなよ」、私が小さいころ、胸で何度もつぶやいた言葉を思い出す。

 

 ☆後記☆ 

さて、この「要請書」に連署された名前を見たら、なんと仲間(と思っていたヤツ)をそこに発見! さっそく厳重に抗議、いや、注意いたしました。それと聞くところでは、この「要請書」は女性議員だけで提出しようとしたという。まとまらなかったらしいんです。どんないきさつだったのか、少し気になりました。

「和さび」さ~ん、やっとアルコール規制が緩和されましたね。良かった、そして嬉しいです! 女将さん、体調崩されたようで、無理しないように、なんて無責任で適当ですが。無濾過生酒を味わいに行きます!

今月も「うさぎとカメ」まであと二週間となりました。早すぎるのですが、夏休み宿題点検とやら、大学生や高校生の応援を借りて行います。勉強する子どもたちは、少し早めに来るといいよ~。


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