実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

夏ドラ 実戦教師塾通信八百七十号

2023-07-21 11:37:24 | エンターテインメント

夏ドラ

 ~静かな場所のため~

 

 ☆初めに☆

いよいよ夏休み。やっと来ましたね。オマエなんか毎日夏休みのくせして、と言われようがなんだろうが、あ~夏休み!です。久しぶりに脱力モードで、でも文句たらたらなエンターテインメントの記事をお届けします。

話題沸騰中の日本映画ですが、結局、ドイツのヴェンダース監督・役所広司主演の『PERFECT DAYS』だけ見ることにしました。是枝監督や北野監督はもちろん好きなんですが、いつも勝手に選んでて、特に是枝監督の作品は意外に観てないんです。宮崎駿監督の作品に関しては、欠かさない感じで見て来ましたが、メッセージが強そうだなと思った時は足が向いてません。今回もそうなんですが、そうではないと思えた方は教えてください。観に行きます。

 

 ☆妄想たくましく☆

観たいと思えるドラマが、実に長い間なかった。でも今回、面白そうだと思えて『18/40~ふたりなら夢も恋も~』を見た。久しぶりに、最終回まで見ようと思った。ネタバレすれすれのところで言えば、これは、予期せぬ妊娠が判明した大学生の有栖(福原遥)周辺の混乱や心配の中、「出産」「家族」とは何なのかと問い続けるドラマだ。「子どもを生めない身体かもしれない」失意に沈む、彼氏のいないキャリア瞳子(深田恭子)。このふたりを中心に、生まれて来る子どもとの新たな関係を構築していく物語、だと思う。「私たち家族だから」とか「一緒に子どもを育てよう」というセリフが登場するのは、間違いないと思える。ひとりで有栖を育ててきた優しい父親(安田顕)が妊娠を知るのは、多分隠しおおせぬギリギリの時期。妊娠の告白を、有栖の気持ちが揺れるうちはしない。その気持ちが固まる頃か、その間際に、突然消えた元カレが「留学」先から帰って来て、「やり直そう」「僕たちの子どもだよね」と言い出す。ドラマは佳境に入る。って、初回を見ただけなのに妄想たくましいと我ながら思うが、予想総崩れの時は、赤面さらして謝罪いたします。今週の配信を見たところ、予想はまんざら外れてなさそうだと思えました。

 

 ☆おせっかい?☆

このドラマのどこがいいのか。「肯定的」であることだ。憎悪をまき散らすことを「正義」と言ってはばからない愚者どもが、ずい分と幅を利かせて来た。内容のない批判が到達するのは「目的としての批判=中傷」という場所だ。

「あなたは全世界を敵に回しても自分の行きたい道を進みなさい」

という瞳子のエールは、当事者の事情を分かってないものの勝手な言葉だ。しかし、何故かそれでもいいと思えるのは、私たちが「必要以上に相手に踏み込まない社会」をずっと作り続けてきたからだ。それとは違うものを、この言葉が持っていると思えたからだ。小さいけれど静かで確かなものを、この言葉が目指していると思えた。友人にこの見解を話したところ、そんな話のどこがリアルなもんか、一緒に家族になろうよだなんて突拍子もない、と目を剥かれてしまった。そうだろうかと私が思い出したのは、「赤ちゃんポスト」のことだった。熊本市の慈恵病院が始め、継続している「捨てない場所」である。自分で産む力・選択の出来ない女性をサポートする「内密出産」も開始した。里親の失敗例や命を救えなかったケースなども聞いている。しかし、今もこの事業は続いている。病院の大変な姿を「見たことか」と罵るのは簡単だが、大変な議論と苦悩の中で、このことが続いているのは間違いない。

「(18歳が成人という)法律が、あなたを大人にしてくれるなんて思ってるの?」

「(大会社のキャリアの)あなたに、お父さんと私の何が分かるっていうの?」

このドラマに「赤ちゃんポスト」を重ねるのは不謹慎と思いつつも、ふたりの会話に共感出来る。

 

 ☆何が幸福なのかと☆

水曜日のテレビ朝日は、三つの刑事ドラマをローテーションしているが、『刑事七人』だけ見ている。今回その番がめぐって来て、『18/40……』と重なった。一年以上ドラマを全く見てなかったことになる。刑事ものや医療ドラマが廃れないのは、正しいことは正しいという思いや、救われたい気持ちは報われないといけないという私たちの気持ちがあるからだ。一方、ありがちな設定としてメガバンクを敵に回すだの、東大卒と専門卒だの、あるいは重い障害を抱えるとか虐待とか、もう食傷気味と感じているのは自分だけだろうか(見てないけど)。なんかキャスティングの豪華さを、これ見よがしにと始まったドラマも気持ち悪くてしょうがない。良くないことは、これらがサクセスストーリーとして構成されていることだ。『二月の勝者』は、少し違ってたみたいだけど、頭の悪い子が慶応に入ったなんて話、別にどうでもいい。アメリカ流、もっと言えばウォルトディズニーの世界は、最後に出世・結婚・名誉・富、総じて「成功」への道に通じている。今のテレビは、そんなドラマばかりだと思える。アンデルセンや日本昔話は、ちょっと違う。私たちは人魚姫の不幸を見て、知らず知らず「他人の幸福を願う」気持ちを育てている。幸せは小さくていい、地味で静かでいい、そう思える人が不幸な人に寄り添える。

 では『18/40……』が、そんなささやかな幸福物語なのかどうか、有栖の夢が「なるのは大変でも、不安定で給料も安い」キュレーターなんだが、瞳子は大会社のキャリアだ。これから上司や社長やと様々な男が動くし、金を巡る話も友人の嫉妬も出て来るはず。安っぽい結末にならんことを願うばかりです。

 

 ☆後記☆

そんなわけでというか、私のささやかで贅沢な幸福。少し早かったけど、今年も土用の丑を味わいました。

残念だったのは、気が付いたら完食していたこと。もっと味わえよ、と反省しきりです。

こちらは先週のこども食堂「うさぎとカメ」で~す。夏野菜のごろごろソテー🍆🥕

スタッフの工夫と苦労の一品です。そして、ペペロンチーノ風スパゲティは、少しもたついた食感になってしまいましたが、そこはもう夏休みですから 昨日は終業式。通信簿は、まぁとりあえず、でしょ!

 万歳\(^o^)/夏休み ゆっくり楽しもう!夏休み


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