チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

単もいろいろ

2008年05月19日 09時32分28秒 | 日記
先人たちの知恵は驚くばかりで、季節はもちろん気温にいたるまでの配慮が着物に託されている。

ココのところ私は単を着ているが、気温に合わせて先人たちの習慣を踏襲している。

たとえば20度きった場合は、人形仕立ての単、つまり袖口、上前の衽にだけ裏を付ける。人の目をごまかす?と言うのもあるが、其の一枚が温かい、またせぶせをした仕立ても背中腰が温かい。衿裏も胴裏生地と同じものに。

20度を超えると普通の仕立ての単がふさわしい。衿裏も絽のほうが涼しい。衿裏は奮発して絹にしたほうが、襟元が崩れにくいので念のため。

素材にも気温がある。

真綿つむぎ系は20度前後まで、それを越すとチョットしんどい。
平織りの紬、たとえば大島紬などは雨模様の日など持ってこいだ。最近は機械織りのものもありーこちらのほうが柄が斬新ーチョチョイ着にいい。

昔の人は柄がヨコソといって、横糸だけで柄を現した大島紬を普段着にしていたが、其のほうが柄に遊びがあって若やぐ、ちょうど銘仙のような感じ。それが今機械織りになり、結構なこと。

仕立て上げても単だったら15万円くらいか。こういうのプレタで売るといいね。そしてじゃんじゃん着るといい。結婚式や儀式めいた会以外だったらどんなところにも着て行ける。雨に濡れても縮む心配ないもの。

25度になったら帯を絽縮緬や紗袋にかえる。きものも絽縮緬や生絹がお出ましか。

素材が変るだけで着ている人も見る人も涼しそうになり、きものの単はナカナカおくが深い。

洋服でいうと単はワンピースを着たような心地かなあ。絹が風に揺らいで軽やかで嬉しい。

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