チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 267

2019年12月13日 10時01分02秒 | 日記

昨日は小千谷縮みの新作発表会に顔を出した

麻は日本の夏には欠かせない それは日本の夏は湿気が多いからで、麻の衣類は肌に付かず離れずの距離感を持っていてそれがきていて心地よい

木綿より涼しいのでチャコちゃん先生は小千谷縮みを直接素肌に浴衣風に着る。これが夏の醍醐味だ

真冬に夏物の展示会をするのは、注文をもらってこれから制作に入るからだ

 

新潟小千谷市は豪雪地帯でもある

その雪を利用して麻の布を雪晒しをする手法があり布が真っ白に漂白される

こういう知恵を誰が何故知ったのかと追及する人もなく、永遠に続いている手法だ

土地の特徴を生かした物づくり、昔の人は自然から学ぶ姿勢を常に貫いている、だからこそ自然が教えてくれるのだと思う。

 

麻は夏に収穫し、皮を剥ぎ糸にする。その作業が雪が降る寸前まで続く

 

豪雪の中男達は都会へ出稼ぎ、女達は機の前に座り布を織り縮みに仕上げる

今はこの地方も都会と変わらない生活様式になっているが、長い伝統技術に育まれ、先祖達が残した財産が今もこの地にある

 

現在はその縮みの技術を駆使しそれを絹にも施して「絹縮み」をつくり単衣の着物として最もきやすいという評価を受けている

また絣の伝統を生かし摺技法を使ってまるで染めのような繊細な織物を作り上げた機屋もある。山に自生する葛布の織物など、見る人たちを飽きさせない

しかしいづれも手仕事ゆえ品数も少なく値段もいい

着物を着る人が「着物はフアッション」と考えず、自分自身の内面表現装束と考えてくれれば、着物選びも慎重で楽しくなる

 

江戸時代は江戸の町では縮が大流行し縮を取り扱う商人は大いに富んだ

豪商の館が今も小千谷に残っている

昔の豪商は地域貢献も半端ではない

地域に稼がせていただいた、だからその地のためになることをする

学校建てて全て寄付などというスケールだ

 

この館でまだ商売をしていた頃、チャコちゃん先生は3度ほどお邪魔をした

金持ちの真の姿を教えていただいた思い出がある

来年はその館は美しくなって公開を始めるようだ、四月にはみんなで行きたいと計画中

 

同じ場所で塩沢の組合の新作発表も開いていたので覗く

越後上布の素晴らしさ、それに塩沢はシンプルな柄に戻っていていいなあと思った

 

これらの着物は大向こう唸らせる派手さはないけど、その人の内面を輝かせる力を秘めている

 

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